「にぬき」って知ってる?~ことばに込められた地域の歴史と魅力~

 

 

 

あなたは『にぬき』って聞いたことがありますか? 実は、これ関西だけで通じることばなんです。昔、高校の遠足で、東京から転校して来た友だちとこんな会話をしました。

 

 

 

 

 

「にぬき食べる?」

「え~! それ何? 食べたことない!」と友だちが興味しんしんで言うのです。

「え~! にぬき食べたことないの?」驚いた私がリュックサックから「にぬき」を出すと、

「な~んだ! ゆで卵じゃないの!」と彼女はがっかりして言いました。

 

 

 

「にぬき」とは、関西でゆで卵を指すことばです。「煮抜く」からきた方言だと言われています。最近は、関西でも「にぬき」と言わなくなりましたが、地域によって同じものでも呼び方が違うことってよくありますね。

 

 

「にぬき(ゆで卵)」

 

 

同じものなのに呼び方が違う食べ物に限定して、私が思いつくまま書き出してみますね。左は、私が思いついた食べ物の呼び方で、右は私がふだん使わない呼び方です。私は根っからの関西人なので、左は関西でよく耳にする呼び方です。

 

 

 <こんなに違う!関西と関東の食べ物の呼び方>

 

①ぐじ    甘鯛

②てっぱい  ぬた

③糸こんにゃく しらたき

④菊菜    春菊

⑤回転焼き  今川焼

⑥あて    つまみ

⑦かしわ   鶏肉

⑧他人丼   開化丼

 

 

 

①ぐじ:甘鯛(あまだい)

『ぐじ』とは主に関西で使われている呼び名で、甘鯛のことです。 「ぐじ」の名の由来は、諸説ありますが、屈折した頭で屈頭(ぐず)から、「ぐじ」に変わっていったというのが、説得力がありそうです。

 

②てっぱい:ぬた

「てっぱい」とは「鉄砲和え」のことを言い、味噌や酢を混ぜたものを魚の切り身や野菜を和えたものです。京都の郷土料理。「ぬた」とは、「沼田(ぬた、ぬまた)」の意味で、ぬるぬるした感じが沼田に似ていることからつけられています。「ぬた」は、地域によってさまざまな発祥の地や由来があります。

 

③糸こんにゃく:しらたき

「しらたき」は、こんにゃく芋をすりおろしたものに、凝固剤を加えて固め、穴の空いた専用の筒に入れて、押し出される様子が白滝のように見えることから「しらたき」と名付けられました。「糸こんにゃく」と「しらたき」は、同じ原料を使って作られますが、呼び方が関西「糸こんにゃく」と関東「しらたき」で異なります。

 

④菊菜:春菊

「菊菜」と「春菊」は同じ種類ですが、株の形状や出荷方法、地域での呼び名に違いがあります。「春菊」は株の部分を切り落とし、東日本へ出荷されますが、「菊菜」は根のついたまま、西日本へ出荷されます。

   

⑤回転焼き:今川焼

「今川焼」は、江戸時代、今川橋付近の店で、「今川焼き」として発売し評判となったため、一般名詞化して広がったと言われています。「今川焼」と呼んでいる地域は主に関東地方で、全国的には「大判焼き」という名称がよく使われています。 また関西より西の地方の多くでは「回転焼」と呼ばれ、日本各地で様々な名称が付けられています。

 

⑥あて:つまみ

「あて」の語源は「酒にあてがう料理」、関西の方言。「つまみ」は、つまんで食べられるようなかんたんなものを指します。主に関東地方で使われることばです。

 

⑦かしわ:鶏肉

日本在来種のニワトリは白いブロイラーとは異なり茶色い羽色をしており、落葉した柏の葉に似ていることから「かしわ」と呼ばれるようになりました。関西地方で鶏肉の一般名称としても「かしわ」と呼ばれるようになりました。

 

⑧他人丼:開化丼

「開化丼」は関東で呼ばれる名称で、牛肉と玉ねぎが文明開化の時期から広く食べられるようになったことに由来しています。「他人丼」は関西で呼ばれる名称で、「鶏と卵は親子だけど、牛肉や豚肉は卵とは他人だ」という意味が込められています。

 

ちなみに、私は「他人丼」のことを関東では「開化丼」と言うことは、このブログを書くまでまったく知りませんでした。由来や「何故違うのか?」を調べてみて、とても興味深く面白く感じました。

 

 

 

 

このブログを書いて、関西のおばちゃんの私でも、最近は、「かしわ」や「にぬき」と言わなくなったことに気づきました。。テレビやコンビニの普及で、地域差が少なくなってきたのかも知れないですね。関西のおばちゃんは、ちょっぴり寂しい気がします。時代の流れで、地域のことばや文化が失われることは避けられないのかもしれないですね。

 

あなたの地域では、まだ残っている独自のことばや文化がありますか? 独自のことばは、今でも使われていますか?

 

私は、地元京都の失われゆくことばや文化について、その由来や意味を調べて自分のブログに書き残しています。祖父母や両親が実際に使っていた時のことをエッセイで表し、ニュアンスも伝わるようにしているのです。

 

今こそ、独自のことばや文化を大切にするべきだと感じています。まずは家族や友人との会話の中で、地域のことばを話題にしたり、意識的に使ったりしてみるところから始めてはいかがでしょう? 私も、時々、祖父母が使っていたことばを思い出し、懐かしい気持ちになります。

 

 

京都在住セラピスト作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

 

 

 京ことばや京都の独特な文化には、時代の流れの中で消えつつあるものが多くあります。しかし、その背後にある意味や歴史は非常に深く、今の私たちにも多くの知恵を授けてくれます。

 

 

私自身も、祖父母や両親から伝えられてきたことばや文化を記録に残し、未来に伝えたいと考えています。『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』では、京都人として生きる知恵やその根源にあることばの意味を紹介し、現代にどう生かせるのかを探ります。ぜひ、一緒に学び、考えてみませんか?

 

 

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