【ああ、京都人】関西と関東のいなり寿司~形だけじゃない!味付けまで違う

あなたは「お稲荷さん(いなり寿司)」が好きですか?

 

お稲荷さん(いなり寿司)

 

甘く炊いたお揚げさんと小さく刻んだ椎茸、筍、人参、黒ゴマなどが入った酢飯が合って美味しいですよね。お手頃価格で手軽に食べられるので、私はお稲荷さんが好きです。

でも最近、スーパーやコンビニでお稲荷さんを買うと、俵型の時と三角形の時があるのです。

 

「なんで魔」の私

 

私はすぐに「なんで?」と思う「なんで魔」なので、「なぜお稲荷さんの形が違うのか?」を調べてみました。

 

お寿司の原型は「熟れ鮨(なれずし)」です。これは奈良時代(8世紀)、魚の保存のために稲作とともに中国から伝わりました。

江戸時代に入ると、保存食としての役割から、より手軽な料理として、発酵の代わりに酢を混ぜる「早鮨(はやずし)」が広まります。

江戸後期になると、酢飯を一口大に握り、その上に魚の切り身を乗せる「握り寿司」が登場しました。

ちょうどその頃、稲荷神へのお供え物として使われていた油揚げの中に、当時手軽に作れるようになっていた酢飯を詰めるというアイデアが生まれたのです。

 

ファストフードとして庶民に広がる

 

油揚げは安価で庶民でも手軽に入手できる食材。醤油や砂糖で甘辛く煮含めるので、生魚の握り寿司より日持ちが良く、また酢飯との相性も抜群でした。

握り寿司と同様、手軽につまんで食べられるファストフードとして、庶民の間で広まっていきました。こうしていなり寿司が生まれたのです。

 

明治時代以降、鉄道網の発達などにより、いなり寿司は全国に広まり、地域ごとに様々なバリエーションが生まれました。

✅️東日本(関東)では、一般的に俵型で甘からく煮た油揚げを使って、中には酢飯だけを詰めるのが主流です。

 

関東では俵型

✅️それに対して、西日本(関西)では三角形が主流で、「きつね寿司」と呼ばれることもあります。

 

関西では三角形

 

また、関西では油揚げを甘く煮含めるだけでなく、中にゴマやレンコン、人参などの具材を混ぜた酢飯を詰めることが多く、具沢山で彩り豊かなものが多いです。

いなり寿司は、豪華なネタを使う握り寿司とは対照的に、安価な食材を使いながらも、油揚げの甘みと酢飯の酸味が調和した、素朴ながらも味わい深い料理として発展したのです。

 

では、いよいよ「なんで魔」のなんでの核心「なんでお稲荷さんには俵型と三角形があるの?」に迫ります。

関東と関西では、それぞれの地域の文化や信仰、食習慣に由来する、興味深い地域差からいなり寿司の違いが生まれたのです。


✅️関東が「俵型」である理由

稲荷神は元々、五穀豊穣の神様であり、「稲が成る」ことから「稲荷」と呼ばれるようになったとされています。そのため、関東では豊作を願う意味を込めて、米俵の形を模した俵型になったという説が有力です。

油揚げを袋状にして、酢飯を詰めて口を閉じるという作り方が、自然と俵型になったとも考えられます。

 

✅️関西が「三角形」である理由

稲荷神のお使いである狐の耳の形を模して、三角形になったという説があります。また、稲荷神社の総本宮である伏見稲荷大社がある「稲荷山」の形を模しているという説もあるのです。

正方形の油揚げを対角線で切ることで、自然と三角形になるため、この形が定着したという作り方上の理由もあります。

 

三角形の稲荷寿司は、伏見稲荷大社がある京都で生まれ、そこから関西地方に広まっていったと考えられます。

 

総本宮伏見稲荷

 

伏見稲荷大社は全国の稲荷神社の総本宮であり、その信仰の象徴として、お使いである狐の耳や、神聖な稲荷山の形を模した稲荷寿司が誕生したとされています。

 

きつねの耳の形から三角形のいなり寿司が生まれた

 

三角形のいなり寿司は、信仰心の厚い地域の人々に受け入れられ、関西地方の主流となりました。

 

最近は京都のスーパーやコンビニでも、俵型の稲荷寿司を見かけることが増えたのは、いくつかの理由があるようです。

1)大手メーカーやチェーン店の流通効率

日本の大手食品メーカーやコンビニエンスストアは、全国で統一した商品を製造・販売することで、コストを削減し、流通を効率的にするのです。

俵型の稲荷寿司は、機械での大量生産に向いており、安定した品質と生産量を確保しやすいです。

全国的にも俵型が主流であるため、関西地方もその統一規格に合わせることで、製造や物流のコストを抑えています。

 

2)消費者の好みの変化と多様化

インターネットやSNSの普及により、地域ごとの食文化の境界線が薄れていることも理由の一つです。

関西の人が俵型のいなり寿司に触れる機会が増え、形状への抵抗感がなくなってきています。

特に若い世代は、昔ながらの地域ごとの伝統的な形にこだわらず、味や見た目、手軽さを重視する傾向があります。

 

3)歴史的な背景

京都は古くから日本の中心地であり、全国から様々な文化や人々が集まる場所でした。そのため、もともと関東と関西の食文化が混ざり合う地域でもありました。

江戸時代の文化が関西にも浸透していったように、いなり寿司の形も、時代と共に変化し、両方の形が受け入れられる土壌があったと考えられます。

これらの理由から、京都のスーパーやコンビニでも俵型の稲荷寿司が並ぶようになったのでしょうね。

 

「なるほど~そんな背景があったんや~!」と興味深かったです。

 

✨️「なんで魔」も納得✨️

 

そう言えば、コンビニで買った俵型のお稲荷さんを食べた時、「やっぱりコンビニは味つけが濃いな、甘いし醤油の味がちょっときついかも……」と思ったことがありました。

酢飯には黒ごまだけが混ぜられていたので、「材料をケチってるんかな?」と思いましたが、これも食文化の地域差のためだったのですね。

現在、いなり寿司は外国にも広がり「Sushi Pocket(寿司の袋)」「Tofu Sushi(豆腐寿司)」として、ヴィーガンやベジタリアンを中心に、ヘルシーな選択肢として人気があるそうです。

お稲荷さんは単なる食べ物ではなく、その地域の信仰や風土、そして食文化が反映された、奥深い料理なんですね。

 

 

見慣れたものでも「なんで?」と疑問を持つと、歴史や文化を深く考えられます。あなたも「なんで魔」になってみませんか?

(【ああ、京都人】関西と関東のいなり寿司~形だけじゃない!味付けまで違う:村川久夢)

 


 

 

 

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