あなたは「お稲荷さん(いなり寿司)」が好きですか?

甘く炊いたお揚げさんと小さく刻んだ椎茸、筍、人参、黒ゴマなどが入った酢飯が合って美味しいですよね。お手頃価格で手軽に食べられるので、私はお稲荷さんが好きです。
でも最近、スーパーやコンビニでお稲荷さんを買うと、俵型の時と三角形の時があるのです。

私はすぐに「なんで?」と思う「なんで魔」なので、「なぜお稲荷さんの形が違うのか?」を調べてみました。
▶いなり寿司は「ファストフード」として江戸で誕生
お寿司の原型は「熟れ鮨(なれずし)」です。これは奈良時代(8世紀)、魚の保存のために稲作とともに中国から伝わりました。
江戸時代に入ると、保存食としての役割から、より手軽な料理として、発酵の代わりに酢を混ぜる「早鮨(はやずし)」が広まります。
江戸後期になると、酢飯を一口大に握り、その上に魚の切り身を乗せる「握り寿司」が登場しました。
ちょうどその頃、稲荷神へのお供え物として使われていた油揚げの中に、当時手軽に作れるようになっていた酢飯を詰めるというアイデアが生まれたのです。

油揚げは安価で庶民でも手軽に入手できる食材。醤油や砂糖で甘辛く煮含めるので、生魚の握り寿司より日持ちが良く、また酢飯との相性も抜群でした。
握り寿司と同様、手軽につまんで食べられるファストフードとして、庶民の間で広まっていきました。こうしていなり寿司が生まれたのです。
▶【関東と関西】形だけじゃない!味付けまで違う地域差
明治時代以降、鉄道網の発達などにより、いなり寿司は全国に広まり、地域ごとに様々なバリエーションが生まれました。
✅️東日本(関東)では、一般的に俵型で甘からく煮た油揚げを使って、中には酢飯だけを詰めるのが主流です。

✅️それに対して、西日本(関西)では三角形が主流で、「きつね寿司」と呼ばれることもあります。

また、関西では油揚げを甘く煮含めるだけでなく、中にゴマやレンコン、人参などの具材を混ぜた酢飯を詰めることが多く、具沢山で彩り豊かなものが多いです。
いなり寿司は、豪華なネタを使う握り寿司とは対照的に、安価な食材を使いながらも、油揚げの甘みと酢飯の酸味が調和した、素朴ながらも味わい深い料理として発展したのです。
▶「なんで魔」核心に迫る!俵型は豊作、三角形は「狐の耳」?
では、いよいよ「なんで魔」のなんでの核心「なんでお稲荷さんには俵型と三角形があるの?」に迫ります。
関東と関西では、それぞれの地域の文化や信仰、食習慣に由来する、興味深い地域差からいなり寿司の違いが生まれたのです。
✅️関東が「俵型」である理由
稲荷神は元々、五穀豊穣の神様であり、「稲が成る」ことから「稲荷」と呼ばれるようになったとされています。そのため、関東では豊作を願う意味を込めて、米俵の形を模した俵型になったという説が有力です。
油揚げを袋状にして、酢飯を詰めて口を閉じるという作り方が、自然と俵型になったとも考えられます。
✅️関西が「三角形」である理由
稲荷神のお使いである狐の耳の形を模して、三角形になったという説があります。また、稲荷神社の総本宮である伏見稲荷大社がある「稲荷山」の形を模しているという説もあるのです。
正方形の油揚げを対角線で切ることで、自然と三角形になるため、この形が定着したという作り方上の理由もあります。
▶総本宮伏見稲荷・京都から広まった三角形の「お稲荷さん」
三角形の稲荷寿司は、伏見稲荷大社がある京都で生まれ、そこから関西地方に広まっていったと考えられます。

伏見稲荷大社は全国の稲荷神社の総本宮であり、その信仰の象徴として、お使いである狐の耳や、神聖な稲荷山の形を模した稲荷寿司が誕生したとされています。

三角形のいなり寿司は、信仰心の厚い地域の人々に受け入れられ、関西地方の主流となりました。
▶なんで?京都のスーパーで俵型が増えた「3つの理由」
最近は京都のスーパーやコンビニでも、俵型の稲荷寿司を見かけることが増えたのは、いくつかの理由があるようです。
1)大手メーカーやチェーン店の流通効率
日本の大手食品メーカーやコンビニエンスストアは、全国で統一した商品を製造・販売することで、コストを削減し、流通を効率的にするのです。
俵型の稲荷寿司は、機械での大量生産に向いており、安定した品質と生産量を確保しやすいです。
全国的にも俵型が主流であるため、関西地方もその統一規格に合わせることで、製造や物流のコストを抑えています。
2)消費者の好みの変化と多様化
インターネットやSNSの普及により、地域ごとの食文化の境界線が薄れていることも理由の一つです。
関西の人が俵型のいなり寿司に触れる機会が増え、形状への抵抗感がなくなってきています。
特に若い世代は、昔ながらの地域ごとの伝統的な形にこだわらず、味や見た目、手軽さを重視する傾向があります。
3)歴史的な背景
京都は古くから日本の中心地であり、全国から様々な文化や人々が集まる場所でした。そのため、もともと関東と関西の食文化が混ざり合う地域でもありました。
江戸時代の文化が関西にも浸透していったように、いなり寿司の形も、時代と共に変化し、両方の形が受け入れられる土壌があったと考えられます。
これらの理由から、京都のスーパーやコンビニでも俵型の稲荷寿司が並ぶようになったのでしょうね。
▶なんで魔が発見!いなり寿司は奥深い食べ物だった!
「なるほど~そんな背景があったんや~!」と興味深かったです。

そう言えば、コンビニで買った俵型のお稲荷さんを食べた時、「やっぱりコンビニは味つけが濃いな、甘いし醤油の味がちょっときついかも……」と思ったことがありました。
酢飯には黒ごまだけが混ぜられていたので、「材料をケチってるんかな?」と思いましたが、これも食文化の地域差のためだったのですね。
現在、いなり寿司は外国にも広がり「Sushi Pocket(寿司の袋)」「Tofu Sushi(豆腐寿司)」として、ヴィーガンやベジタリアンを中心に、ヘルシーな選択肢として人気があるそうです。
お稲荷さんは単なる食べ物ではなく、その地域の信仰や風土、そして食文化が反映された、奥深い料理なんですね。

見慣れたものでも「なんで?」と疑問を持つと、歴史や文化を深く考えられます。あなたも「なんで魔」になってみませんか?
(【ああ、京都人】関西と関東のいなり寿司~形だけじゃない!味付けまで違う:村川久夢)

《関連記事》
*なぜ稲荷神社というと油揚げなのか?~ホンマにキツネはお揚げさんが好きなんか?
<『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』>

*村川久夢は京都生まれの京都育ち。一人の京都人の目を通して、京都や京都人について、拙書『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』に書きました。
戦争や政争が絶えなかった京都で、生き抜いて来た京都人の知恵を、また、観光化されていない日常の京都や地元の人に愛されている京都の穴場、食べ物やお店についても新著に書きました。
*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます)一般価格は700円です。ペーパーバック(1,320円)もございます。下記よりお申込み下さい。
本書で、京都好きな方はもっと深く京都を好きになり、今まで京都と縁がなかった方は京都を身近に感じて頂けると思います。ぜひ「あなたの知らないもうひとつの京都」を見つけてください。

「ああ、京都人シリーズ」は、一京都人として、京都の魅力を描いたエッセイ集です。あなたの知らない素顔の京都についてお伝えします。下記ボタンからどうぞ。
◆書くことで「本当にやりたいこと」が見つかる無料メール講座

今まで家族のために生きてきたけれど、そろそろ「✨️自分のために生きてみたい✨️」と思っているあなた。
とは言うものの、「どうせ私なんか無理よ。今からでは遅すぎる」「本当にやりたいこと」が何かわからない……。そんなふうに感じていませんか?
この無料メール講座は、「どうせ私には夢なんて見つからない…」
「自分のために生きると言われても、本当にやりたいことがわからない……」
と思っているあなたが、メールのワークにそって、自分の気持ちを書きます。
書くことで、自分自身と静かに向き合いながら、今まで気づかなかった「やりたいこと」や「本当の私」を見つけていきます。
「書くことで本当にやりたいことが見つかりました!」―そんな人が増えています。
講座は、無料でメールアドレスだけで登録できます。いつでも解除OKです。高額な商品やサービスの購入勧誘もありません。安心して下さいね。
メール講座の詳細やご登録は、下記ボタンをクリックして案内ページにお進み下さい。

🎁無料メール講座の登録登録は「京ことばセラピーメッセージ」
*「10日間で『本当にやりたいこと』が見つかる無料メール講座」で夢を見つけよう。
*やわらかな「京ことばセラピーメッセージ」であなたに問いかけます。
▼詳しくは下記ボタンから
<村川久夢ホームページトップ>
*村川久夢ホームページトップでは、「最新ブログ7日間」や「ああ、京都人シリーズ」などを紹介しています。ぜひご訪問下さい。


