【エッセイ:京都人】村川久夢新著『ああ、京都人』1章公開ページ

  

 こんにちは。作家の村川久夢(むらかわくむ)です。この度、新著『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』を出版しました。本ページは、新著の1章公開ページです。

 

作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』は、京都生まれで京都育ちの村川久夢が、京都や京都人について書いたエッセイ集です。本ページで本書1章1項を公開いたします。本ページからでも「あなたの知らないもうひとつの京都」を感じていただけると思います。

    

<村川久夢新著ご案内>

 

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます』

 

*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は700円です)下記よりお申込み下さい。ペーパーバックは1,320円です。

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』(電子書籍)

 『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』(ペーパーバック)

 

 

  

   

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます!~』ってどんな本?

 

 

<はじめに>

「ねえねえ知ってる?京都人が『ぶぶ漬けどうどす?』って言ったら『帰れ』って意味らしいわよ!」「京都人が『先の大戦』って言ったら、それは応仁の乱のことらしいわ」「京都人は裏表があって腹黒いんだって」等々、まことしやかに取り沙汰される京都人。

   

春には春の、秋には秋の、そして蒸し暑い夏にも、底冷えがする冬にも、それぞれの趣深い味わいがある京都は、多くの人に愛されています。しかしながら、そこに住む京都人は、あまり良いイメージを持たれていないようです。

  

こんにちは。京都生まれで京都育ちの作家村川久夢(むらかわくむ)です。

   

私の家系は少なくとも三代、百年以上、京都に住んでいます。また、私の近い先祖(曽祖父母世代)から、京都についての言い伝えや、先祖が経験した歴史的な出来事について伝え聞いています。私は書物から知ったのではなく、生きた京都人の知恵を知ることが出来る環境に生まれ育ちました。

    

冒頭で書いた「ぶぶ漬け」「先の大戦は応仁の乱」「京都人の裏表」は、確かに事実の部分もありますが、説明不足に感じることや、面白おかしく脚色されているように感じる部分もあります。京都で生まれ育った私は、大変違和感を覚えるのです。

     

私がこの本を書いたのは、脚色された京都人ではなく素顔の京都人について知って欲しい、京都人が生きづらい都で生き抜いて来た知恵を知って欲しいと感じたからなのです。上記の三大都市伝説についても、この本を読んで頂いたら、なぜそんな都市伝説が生まれたのかわかって頂けると思います。

    

「何やら堅苦しい本…」と感じられましたか?いえいえ、実はこの本には、観光ガイドには載っていない、地元の人に愛されているおすすめのお店や観光スポット等も紹介しています。

   

それに、「優しく柔らかく響いて可愛い!」と人気の「京ことば」についても紹介しています。「京ことば」で遊んで頂けるように「京ことばクイズ」も用意しています。インターネットで調べても出てこない、コアな京ことばの意味やニュアンスについても書いているんです。

    

私はこの本を書いて、身近な京都の食べ物や京ことば、京都人の暮らしの知恵には、戦乱や政争が絶えなかった長い歴史を持つ京都で、生き抜いて来た京都庶民の知恵が、つまっていることに気づきました。京都庶民の時代を生き抜く知恵は、何かと生きづらい現代を生き抜く知恵になると気づいたのです。

    

京都人は、難儀していることや悩んでいることに対して、自分の考えをしっかり持ち、「人は人、自分は自分」と人と適度な距離を保ったのです。そして時には、内外(うちそと)を使いわけ、本音を言わず、遠回しに言いたいことを伝えたのです。そして、「もうだめだ!」と思える時も、活かせる部分を探して、粘り強く、創意工夫して生き抜いて来たのです。

   

本書で、京都好きな方はもっと深く京都を好きになり、今まで京都と縁がなかった方は京都を身近に感じて頂けると思います。ぜひ「あなたの知らないもうひとつの京都」を見つけてください。

  

 

<本書にはこんなことが書かれています~目次~>

 

はじめに

1章

1項:京都では長居する客に本当に「ぶぶ漬けどうどす」と言うのか?

2項:京都人が先の大戦というのは「応仁の乱」のことなのか?

3項:京都人は裏表があってつき合いにくい

ちょっと一息「1」

*東本願寺となまこ壁が美しい花屋町通

*西本願寺伝導院

*西本願寺と水吹き銀杏

*明治レトロな龍谷大学大宮キャンパス

*京都通(つう)の京都土産

  

2章

1項:縁起を担いだ京都の白みそ雑煮

2項:初午(はつうま)に食べる「畑菜の辛子和え」

3項:和菓子「水無月」

4項:京都の朝はあっさりのお茶漬けや!

5項:粕汁は大人の味

6項:残したい京都庶民の家庭料理

7項:大根葉の炊いたん

ちょっと一息「2」

    

3章

1項:京ことばクイズ

2項:なぜ京都人は豆、芋に「お」や「さん」をつけるのか?

3項:消えゆく京ことば「しょうびんな」

4項:消えゆく京ことば「けんずい」

5項:消えゆく京ことば「冥加が悪い」

ちょっと一息「3」

    

4章

1項:政変絶え間ない京都で生き抜く知恵

~司馬遼太郎『燃えよ剣』~

2項:京都人は良くも悪くも公家の影響を深く受けている

~有吉佐和子『和宮様御留』~

3項:美しい京女の幻

~川端康成『古都』~

4項:京都の深い深い闇

~水上勉『五番町夕霧楼』~

5項:京都が育んだ美意識

~宮尾登美子『序の舞』~

ちょっと一息「4」

    

5章

1項:気が利く

2項:京女の攻防

3項:銘仙着物のリメイク

4項:京都人気質

5項:京都人~奥深い魅力~

おわりに

 

<1章>

 

「京都ではお茶漬けを出されたら『帰れ』って意味らしいわよ」「京都人が『先の大戦』って言ったら、それは応仁の乱のことらしいわ」「京都人は裏表があって腹黒いんだって」等々、まことしやかに取り沙汰される京都人。1章では京都人の3大都市伝説についてお話します。

 

 

 

1項:京都では長居する客に本当に「ぶぶ漬けどうどす」と言うのか?

~野暮を嫌う京都人~

  

フリー素材集で「京都」と入力して素材を検索すると、「お茶漬けを出す人」のイラストが一番に出てきたではありませんか!京都、京都人と言うと「ぶぶ漬けどうどす」の印象が強いのでしょうか?京都では長居する客に本当に「ぶぶ漬けどうどす」と言うのかについて、お話したいと思います。

   

  

 

<「帰れ」って意味なの?>

私は京都生まれの京都育ちです。よく他府県の友人に「京都では今でも『ぶぶ漬けどうどす』って言うんですか?」と尋ねられます。でも、私は「ぶぶ漬けどうどす」と言われたこともないし、言ったこともありません。

  

一般的に京都では「ぶぶ漬けどうどす」と言われたら、「帰れ」という意味に解釈されているようです。確かに長居する客に対して、「もうそろそろ帰ったらどうですか」ということを暗に示すフレーズだと言われています。でも、「ぶぶ漬けどうどす」には、もう少し説明が必要だと私は思うのです。

  

<水分が不足しているのか?>

京都人を象徴すると言われる「ぶぶ漬けどうどす」というフレーズは、「気が利く」ということと深く結びついています。京都では「気が利く」ことは、とても大切なことなのです。

  

先日、こんなことがありました。昼ごはんを食べようとすると、父が「この家は水分が不足してるのんか?」と言うのです。私が父のお茶を入れるのを忘れたのです。父は生粋の京都人です。「お茶入れて」とはっきり言わず、お茶を入れることを要求しているのです。

  

でも、「この家は水分が不足してるのんか?」という表現には、お茶を入れて欲しいことを主張する以外に、もう一つ大事なポイントがあるのです。それは「お茶を入れて」と言われないとお茶を入れない私の「気の利かなさ」を遠回しに批難しているのです。

 

<気が利く>

父と私の場合は親子なので、「久夢、お茶入れて。ワシのお茶を入れるのを忘れているで」と言っても特に問題ないでしょう。

  

でも、例えばご近所にちょっとした用事で出かけて、思いがけず話が盛り上がり、食事時まで長居してしまったとしましょう。「もうそろそろご飯の時間なので・・・(帰ってもらえますか)」と言うと、言う方も言われた方も角が立つし、気まずく感じるでしょう。

  

そこで、「ぶぶ漬けどうどす」というフレーズが登場します。「特に食事して行ってもらうほど、何の準備もしておらず『ぶぶ漬け』しかないですが、いかがですか?」という意味なのです。

  

つまり「ぶぶ漬けどうどす」は「食事の時間だけれど、十分にもてなす準備ができていないのです」と長居されて困っている状況を暗に示しているのです。言う方はあからさまに「そろそろ帰って下さい」と言わずにすみます。「ぶぶ漬けどうどす」と言われた方も「食事の時間も考えず長居してしまった」と気づくことができるのです。

  

<野暮を嫌う>

「もうそろそろご飯の時間なので、帰ってもらえますか?」とハッキリ言った方が良いのか、「ぶぶ漬けどうどす」のようにほのめかして、お互いに気を利かせるのが良いのかは、状況によって変わって来るでしょう。

   

でも、京都人は「気が利く」ことをとても大事にしていて、気が利かない人、はっきり言われないと分からないのは「野暮」なことだと考える人が多いのです。

  

京都人の特質のように言われる「ぶぶ漬けどうどす」ですが、このようにお互いに気を利かせて、気まずい思いをしなくてもすむようにする配慮から来た表現だということを知って欲しいと思います。

  

次項では、「ぶぶ漬けどうどす」と同じくらい有名な京都人に関する都市伝説「京都人が先の大戦というのは『応仁の乱』のことなのか?」についてお話しますね。

 

本書で、京都好きな方はもっと深く京都を好きになり、今まで京都と縁がなかった方は京都を身近に感じて頂けると思います。ぜひ本編をご購読頂き、「あなたの知らないもうひとつの京都」を見つけてください。

 

 

 以上『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』より1章1項を公開しました。『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』のご購入のご案内は下記よりご覧下さい。

   

   

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます』

 

*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は700円です)下記よりお申込み下さい。ペーパーバックは1,320円です。

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』(電子書籍)

 『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』(ペーパーバック)