【ああ、京都人】「しまつ」と「もったいない」~大根葉の炊いたん~

   

大根葉と竹輪の炊いたん

 

最近の京都は、すっかりブランド化されて、「京◯◯」「京都△△」と言うと、それだけでえらい値打ちがあがるようや。

 

今まで京都の家庭で普通に食べていた晩ご飯のおかずも、最近は「おばんざい」とか言うて、料理屋さんでけっこうな値段の一品になっているらしい。

 

生きていたらとっくに100歳を越えている私のお祖母ちゃんが聞いたら、目を回して驚くやろうな。お祖母ちゃんは生粋の京女で「しまつ」「もったいない」が口癖やった。

 

祖母と久夢

 

<「しまつ」が大嫌いだった>

「しまつ」と言うのは「節約」のことで、もとは「後始末をすること」やったらしい。「もったいない」と物を大事にして後始末する。もう役に立たなくなったものを、一手間加えることで、命を吹き込んで役に立つようにする。それが後始末、つまり「しまつ」することやったらしい。

 

私は、お祖母ちゃんが生きていた頃、この「しまつ」と「もったいない」が、しみったれているようで大嫌いやった。大人になって自由に出来るようになったら、物はバンバン捨てて、すっきりさっぱり暮らすつもりやった。

 

<生き返った大根葉>

ところがこの前、今時珍しくなった八百屋さんで大根を買(こ)うた。その時、八百屋さんのおっちゃんが「奥さん、大根葉つけときましょか?ホンマは、葉の方が栄養あるんでっせ」と言わはった。

 

それが綺麗な大根葉やったのでつい「そしたら、つけといてもらおかしら~」と言うてしもた。家に帰って来て、青々している大根葉を見て「どないしたもんかいな~?」と思(おも)た。

 

お祖母ちゃんやお母ちゃんは大根葉をどうしてたかいな?子どもやったし、関心もなかったし、はっきり覚えてへんけれど、お祖母ちゃんは大根葉を細かく切って、さっとごま油で炒めて、ダシをとったあとの昆布やちりめんじゃこと炊いていたようなそんな記憶がある。

 

私はだしの素を使うのでダシをとったあとのだし昆布もないし、今はちりめんじゃこを切らしているので、冷蔵庫にあった竹輪を代用にして大根葉を炊いてみることにした。

 

大根葉を洗って細かく刻んだ。竹輪も細かく切ってさっとごま油で炒めてダシで炊いた。お祖母ちゃんやお母ちゃんは、ちょっと濃い目の味にしていたけど、私はあっさり目の味付けにした。

 

「大根葉と竹輪の炊いたん」は、案外といけて晩ご飯の良い一品になった。最近では捨てられることが多い大根葉が、生き返ったようでなんかうれしかった。

 

   

<京の庶民の生きる知恵>

昔は京都の家庭で普通に食べられていたおかず、例えば私が作った「大根葉と竹輪の炊いたん」も、洒落た器によそって、料理屋さんで出されたら、値打ちがぐっと上がるのかも知れん。明治生まれのお祖母ちゃんやのうても、いささか驚きを感じる。世の中が変化しているということやろうか。

 

そやけど、もし京都の家庭料理が持ち上げられるのなら、捨てられるものに一手間加えることで、もう一回命を吹き込んで、役に立つようにする京都の庶民の知恵に注目して欲しいと私は思う。

 

それは、日々変化する王城の地京都で、地に足つけて、賢く工夫して生き抜いてきた京の庶民の知恵やから。どんなに世の中が変化しても、この知恵は変わらず残って欲しいもんや。

 

変化と言えば、「しまつ」や「もったいない」が大嫌いやった私も還暦が近くなったからか、「『しまつ』や『もったいない』も悪うないかも知れへんな」と思うようになりました。「血は争えへんねんな」とも思います。

 

 

作家:村川久夢

 

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