逆境の私を救った『ジェーン・エア』――人生を切り拓く一冊

 

 

 

鬱、夫の急死、そして休職――そんな人生のどん底にいた私が、再び立ち上がる力を得た一冊。それが『ジェーン・エア』でした。この本は、孤独な心に寄り添い、いつも理解してくれる友人のように、私の心を支えてくれたのです。

 

『ジェーン・エア』の物語は、今の時代にも通じる普遍的なテーマを持っています。特に「困難な環境でも自分の価値を信じ抜く」というメッセージは、多くの人にとって励みになるでしょう。私もジェーンの生きざまに支えられた一人です。

 

 

私が高校生の頃に買った新潮文庫『ジェーン・エア』(大久保康雄訳)

 

 

私が持っている『ジェーン・エア』は、大久保康雄訳の新潮文庫版です。高校生の頃に買って、何度も何度も繰り返し読んだので、カバーはすっかり擦り切れボロボロになっています。

 

 

『ジェーン・エア』は、貧しい孤児のジェーンが自らの力で運命を切り拓き、愛と自由を勝ち取る物語です。その生き方は、苦難に直面する誰にとっても力強いメッセージを送ってくれます。ドラマチックで感動的な物語なので、何度も映画化、ドラマ化されました。

 

 

BBCドラマ「ジェーン・エア」

 

 

主人公のジェーンがどんな試練も乗り越えて、自分の人生を切り拓く姿に強く惹かれ、『ジェーン・エア』は、私の一番の愛読書です。

  

ある日、BBCでドラマ化された『ジェーン・エア』を見る機会がありました。ドラマを見て久しぶりに翻訳本を読んでみる気になったのです。その時に何を思ったか、英語版でも読んでみる気になりました。

  

実は当時、私は夫に先立たれ、鬱が悪化して休職中でした。私の英語は悲惨でもうボロボロ、私が休職に追い込まれた大きな要因に、まともに英語を教えられなくなったことがあったのです。

 

 

英語は、私にとって教師としての自負や熱意が全否定された象徴だったのです。思うように英語を教えることができなかった自責の念で胸が痛く、思い出すことすらつらい存在でした。

 

それでもジェーンの姿に触れたい! その想いが、私の心に小さな光をともしてくれました。

 

 

英語版が一章読めると、翻訳で一章読むというスタイルを楽しむようになりました。何より「読んでみよう」と思えたことが大きな一歩でした。

 

 

英語版『ジェーン・エア』

 

 

ざっくりと大体の意味が分かればいいという感じで、ベッドに寝そべって楽しみながら読みました。この「楽しむ」と言う感じが良かったのかもしれません。英語版を読んでみようと思えただけでもうれしかったのです。

 

『ジェーン・エア』を英語で読むことで、英語への精神的な苦痛が緩和され、英語を再び学習する意欲が湧いて来るかもしれないと、当時の私は感じていたのでした。

 

ボロボロの英語力でしたが、一番感銘を受けたジェーンのことばを読み直しました。ジェーンがロチェスターに自らの価値を主張する場面でした。

 

翻訳版と英語版を交互に読み進めながら、ジェーンの「私もまた、あなたと同じように魂を持ち、愛情を持っているのです!」ということばに胸が熱くなりました。まるで彼女が私自身に熱く語りかけているようでした。

 

 

  

 

鬱で無気力になっていた私に、「あなたの人としての価値を見失っては駄目よ!」とジェーン自らが語りかけてくれたのを感じたのです。「鬱で英語を教えられなくなったからと言って、私の人としての価値がなくなったわけではないわ!」と勇気が湧いてきたのでした。

 

ジェーンが社会的地位や経済的格差の壁を越え、平等な存在として自分の価値を主張する姿に、私も自分を信じる勇気を取り戻すことができたのでした。

   

ジェーンのことばに、鬱で立ち止まっていた私の心は再び動き出しました。重い扉で閉ざしていた心が、開くのを感じたのです。私の心は生きていました。力強く鼓動を打っていたのです。「私には何かをする力があるのだ!」と気づいたのでした。

   

こうして、夫の死や悪化した鬱でお先真っ暗な当時の私に、『ジェーン・エア』は再び挑戦する気力を与えてくれたのです。

  

   

少女の頃にも、鬱や夫の死でボロボロになった時にも、そしてまた、50代半ばになって、やっと自分の信じた道を歩き始めた時も、『ジェーン・エア』は、私を奮い立たせてくれるのです。

 

 

どんな艱難にも屈せず、自分の人生を自分で切り拓くジェーンの姿が、私の憧れであり理想です。

 

60代になった今は、老眼が進み、メガネをかけても文庫本を読むのがつらくなりました。しかし、文字を拡大できる電子書籍や朗読動画で『ジェーン・エア』を楽しんでいます。特に、老眼や集中力低下が深刻な今は、朗読動画がありがたいです。

  

朗読動画では、声のトーンや間の取り方によって、ジェーンの感情がこれまで以上に鮮やかに浮かび上がります。朗読者の優しい声は、まるでジェーンが私に語りかけてくるようで、心がじんわりと温かくなるのです。

 

   

朗読動画『ジェーン・エア』(朗読:紗野玲空)

 

 

朗読をどこから聞いても、「ああ、だいたいあのあたりだな~」とわかります。「次は、◯◯が~と言うんだった」とわかるほど、『ジェーン・エア』を何度も読んだのです。

 

老眼や集中力の衰えなど、加齢という人生の不自由に出会っても、夢を叶え続ける私の心に、自らの人生を切り拓いたジェーンの姿が生きています。

 

ジェーンは、いつも私の心の中で語り続けています。「苦境に負けない強さを持って、あなた自身の人生を切り拓いて」と。

 

 

人生の荒波に翻弄されるとき、あなたを支えてくれる一冊があれば、それだけでまた歩き出せるかもしれません。『ジェーン・エア』が私にとってそうだったように、あなたもぜひ、心を奮い立たせてくれる一冊を見つけてください。

 

 

 

 

私にとって、『ジェーン・エア』は単なる一冊の本ではありません。それは人生の岐路に立つたびに、何度も背中を押してくれたかけがえのない存在です。そんな一冊をあなたも見つけてみてください。

 

 

京都在住セラピスト作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

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