京都の住所を調べたり、郵便物を送ったりする時など、「京都の住所は独特だし、長いな~!」と思われたことがありませんか? 京都の住所は「上る・下る」といった独自の言い方が特徴です。たとえば,寺町御池上る…?』という京都の住所を初めて見た時、驚いた方も多いのでは? その理由と京都ならではの背景をご紹介します。
<京都の住所の「上る下る」とは?>
京都は東西の通り、南北の通りが碁盤の目のように通っています。そのため、京都の住所は独特なのです。「〇〇通◯◯上る(あがる)~町~番地」「〇〇通下る(さがる)~町~番地」のように。京都の住所は「上る・下る」といった独自の言い方が特徴です。
例えば、京都市役所の住所は、「京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488」です。
この住所を聞くと、古くから京都に住んでいる人や京都に馴染みの深い人は、地図を見なくても、市役所がどこにあるかだいたいわかるのです。
住所の通り名から、市役所があるのは、寺町通と御池通が交差する地点から、上がればいいのだとわかるからです。
ちょっと待って! 「『上る(あがる)』ってどういう意味?」と思われましたか?
京都では、「上る(あがる)」は、京都旧市内の通りを北に行くこと。「下る(さがる)」は、南に行くこと。「上る下る」は、御所を起点にしていると言われています。ちなみに、「北」は「上(かみ)」、「南」は(しも)と言います。
「北へ行く」ことを「上る(あがる)」、南へ行くことを「下る(さがる)」と無意識に言う人は、京都の人でしょう。日々使う場所の表し方にも天皇の住まれる所「御所」が影響しているのも京都らしいですね。
<通名を歌ったわらべうた>
通り名を歌ったわらべうたにも、御所を中心とした文化が、京都人の生活に深く根ざしていることが感じられます。京都の住所を調べる時、通名を歌ったわらべうたを知っていると、とても便利です。ご存知ですか?
このわらべうたは、碁盤の目になっている京都の東西の通り名を北から順番に歌う「丸竹夷のわらべうた」と南北の通り名を東から順番に歌う「寺御幸のわらべうた」があります。
【丸竹夷と寺御幸】京都の通り名の唄(動画)
<東西の通り名のわらべうた>
丸竹夷二押御池 (まる たけ えびす に おし おいけ)
姉三六角蛸錦 (あね さん ろっかく たこ にしき)
四綾仏高松万五条(し あや ぶっ たか まつ まん ごじょう)
雪駄ちゃらちゃら魚の棚(せきだ ちゃらちゃら うおのたな)
六条三哲とおりすぎ(ろくじょう さんてつ とおりすぎ)
七条こえれば八九条(ひっちょう こえれば はっくじょう)
十条東寺でとどめさす(じゅうじょう とうじ で とどめさす)
丸太町通、竹屋町通、夷川通、二条通、押小路通、御池通、姉小路通、三条通、六角通、蛸薬師通、錦小路通、四条通り、綾小路通り、仏光寺通、高辻通、松原通、万寿寺通、五条通、雪駄屋町通、鍵屋町通、魚の棚通り(六条通の別名?)、六条通、三哲通(現:塩小路通)、七条通、八条通、九条通、十条通
※五条以後は、通り名と実際の場所が違っていることがあるので、ご注意下さい。
<南北の通り名のわらべうた>
寺御幸麩屋富柳堺(てらごこふやとみ やなぎさかい)
高間東に車屋町(たかあいひがしに くるまやちょう)
烏両替室衣(からすりょうがえ むろころも)
新町釜座西小川(しんまちかまんざ にしおがわ)
油醒ヶ井堀川の水(あぶらさめがい ほりかわのみず)
葭屋猪黒大宮へ(よしやいのくろ おおみやへ)
松日暮に智恵光院(まつひぐらしに ちえこういん)
浄福千本果ては西陣(じょうふくせんぼん はてはにしじん)
寺町、御幸町、麩屋町、富小路、柳馬場、堺町、高倉、間之町、東洞院、車屋町、烏丸、両替町、室町、衣棚、新町、釜座、西洞院、小川、油小路、醒ヶ井、堀川、葭屋町、猪熊、黒門、大宮、松屋町、日暮、智恵光院、浄福寺、千本、西陣
※「西陣」は通りの名ではありません。
<省略されることが多い通り名>
でも、最近、検索エンジンで住所を調べると、通り名が省略されていて、町名と番地だけが表示されていることが多いのです。京都に長く住んでいても、町名だけでは全然わからないのです。京都市役所も「京都市中京区上本能寺前町488」だけでは、見当もつきません。
反対に、「上る・下る」の意味を知らない人が京都に来て、探しているお店の住所「烏丸塩小路上る」がどこなのかわからなかったようです。京都駅は烏丸塩小路にあります。その人は「上る(のぼる)」だと勘違いして、京都駅にある大階段をのぼって来たそうです。
京都人の友人が、京都駅の大階段で「烏丸塩小路上る(のぼる)」ってどこですか?」と尋ねられて大笑いになったと言っていました。
スマホのナビ機能に慣れている人は、「通り名のわらべうた」よりも、ナビで住所を調べる方が、便利かも知れないですね。
でも、ナビに頼っていて、スマホのバッテリーが切れたり、ナビが上手く機能しなかったりする時は、大変です。
<京都の奥深い歴史と人々の暮らしを知る>
「通り名のわらべうた」を知ることは、自分の頭で京都の土地勘をえられます。さらに、京都の奥深い歴史と人々の暮らしの文化を知ることができます。
実は、生粋の京都人でも南北の通り名のわらべうたを完全に歌える人は、意外に少ないのです。知っていると「おお~! 京都ツウ!」と驚かれますよ。
「通り名のわらべうた」は、なんとも言えない懐かしい響きがいいです。京都の通り名を覚えるのに役立ちます。ぜひ覚えて下さいね!
拙書『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』でも、「通り名のわらべうた」のことを書いています。また、同書には観光化されていない日常の京都や地元の人に愛されている京都の穴場、食べ物やお店についても書いています。
秋は京都が一番美しい季節です。この本を片手にぜひ京都を散策して下さい。大急ぎの有名観光地旅行ではなく、深く心に残る京都旅を楽しんで下さいね。京都人にはおなじみのわらべうたで、あなたも一歩深い京都を見つけてみませんか?
<京都人の今を生き抜く知恵について書きました!>
*村川久夢は、京都生まれの京都育ち。一人の京都人の目を通して、京都や京都人について、拙書『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』に書きました。戦争や政争が絶えなかった京都で、生き抜いて来た京都人の知恵を書きました。また、観光化されていない日常の京都や地元の人に愛されている京都の穴場、食べ物やお店についても新著に書きました。
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本書で、京都好きな方はもっと深く京都を好きになり、今まで京都と縁がなかった方は京都を身近に感じて頂けると思います。ぜひ「あなたの知らないもうひとつの京都」を見つけてください。
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