あなたは、自分の未熟さに打ちのめされたことがありますか? 私は「なんて下手なんだろう?」と心が折れそうになったことが何度もありました。
そんな時、私はいつも靴職人だった祖父のことばを思い出します。「自分を『下手や!』と行き詰まる時は、ほんまは上達する時なんや」と祖父がよく言っていました。「自分は下手だ!」と思う時は、本当は成長する時なのです。
<祖父は下手だと思う時は腕が上がる時だと知っていた>
私の祖父は腕のいい靴職人で、職人さんを何人か抱えている親方でもありました。祖父は何人も職人さんに教えていたので、どんな時に腕が上がるのかを、経験で知っていたのでしょう。
技量が上がって来ると、自分の技量を見る力が生まれて、自分の至らないところが目につくようになるのです。でも、それはそれだけ技量が上がって来たと言う証拠だと言うのです。
それに対して、少し上達しただけで「どうや~!上手いやろ!」と天狗になる人は、あまり伸びないそうなのです。
「自分は下手だ!」と思った時に、そこで嫌になって投げ出すと、進歩はそこで止まってしまいます。
たとえ自分の下手さに打ちのめされても、自分が上手くいかないところを追求して、「どうしたらできるだろうか」と試行錯誤して励むと、ある時、ぱ~んと弾けたように上達すると祖父は言っていたのです。
<自分の下手さに冷や汗が出た!>
私は祖父のことばを証明するような経験をしたことがありました。
私はカラオケなどで上手く歌えるようになりたいと思い、4年間、ボイストレーニングに通っていたのです。
プロに習うと、面白いように上達し、歌うことがとても楽しくなったのです。熱心にボイトレに通い、毎日のように自宅でも練習しました。
上手になってくると、「上手いね~!」と言って欲しくて、「人前で歌いたい」「ライブに出演したい」と密かに思うようになったのです。
ついに私はボイトレスクールのライブに出演することになりました。自分で言うのもなんですが、私はけっこう真面目なので、ライブまで本当に一生懸命に練習したのです。
一生懸命に練習したこともあって、ライブ当日は「どう、私、上手いでしょ~!」といい気持ちで歌いました。
ところが、後になってスクールライブの録画を見て、自分の歌の下手さに打ちのめされました。特にリズムがなってないのです。
「よくこの下手な歌を人前で歌ったな!」と思い冷や汗が出ました。
<上手だと自惚れると成長がない>
自分の下手さに落胆して、先生にそのことを話したのです。すると先生は、「それはあなたが、それだけ上達したということですよ。自分の歌を客観的に見る力がついたのです」と言われました。
そして、「『どう? 私、上手いでしょ!』と思っていては成長がないわ。『なんて下手なんだろう……。もっと上手になりたい!』と思って練習するからこそ上達するのよ」と先生は言われました。先生は、祖父と同じことをいわれたのでした。
確かに、習い始めは面白いように上達し、少々、天狗になっていました。でも、少し上達すると、天狗になっていたことが恥ずかしく感じたのです。
<ブッキングライブ出演>
ちょうどその頃、知り合いのライブハウスから「ブッキングライブに出ませんか?」と声をかけてもらったのです。自分の下手さに落ち込んでいた私は、迷いましたが、「自分が下手だと思う時は上達する時だ!」という祖父のことばを思い出しました。
私はブッキングライブに出演することを決意したのです。
できれば見たくないスクールライブの録画を何度も見直しました。自分のリズム感の悪さを痛感したのです。ブッキングライブに向けて、リズム感を改善するための練習を工夫しました。
先生のデモ音源に合わせて手を叩く。手を叩きながらデモ音源に合わせて自分も歌う。手を叩きながらオケで歌う。録音しながらオケで普通に歌う。そんな練習を繰り返したのです。ある瞬間、今までできなかったリズムが突然合うようになったのです。
ブッキングライブが近づいたある日、「リズムがきれいに取れるようになったね。自信をもってライブで歌ってね」と先生に言ってもらったのです。
ブッキングライブの観客は、ライブチャージを支払ってライブに来て下さっているのです。つまり、お金を頂いて歌うのです。
緊張しましたが、練習を重ねたことが自信になりました。その日のステージでは、自然にリズムに乗ってスイングし、本当に気持ちよく歌ったのです。
歌い終わった瞬間、全身の緊張が解け、観客の拍手が耳に入ってきました。その瞬間、これまでの努力が報われたと思ったのです。
ライブが終わると、観客の一人が「良かったですよ~! リズムに乗って気持ちよく歌ってましたね。私までリズムに合わせて体を動かしてました!」と言ってくれたのでした。
<嫌になってしまわないで!>
「自分は下手だ!と思う時は上達する時」、このことは製靴技術やボイトレだけでなく、物事の上達全般に言えることです。
たとえば、小さいころ、補助輪がないとグラグラして、練習しても全然乗れなかった自転車が、突然、ペダルが軽くなり、風を感じながらスーッと進んで乗れた経験はありませんか?
全然、聞き取れなかった英語のニュースが、勉強を重ねると、突然、クリアに聞き取れるようになったとか。
もし、あなたが自分の技量が「未熟だ!」「下手だ!」「ダメだ!」と感じる時は、視点を変えて下さい。
あなたは自分を客観的に見る力がついたのです。練習や訓練を重ねることで、技術が伸びて、成長する時なのです。だから、嫌になってしまわないで、「どうしたら上達できるか」を試行錯誤して下さい。
ある時、目の前が急に明るくなったように、できなかったことができるようになる時が来るのです。
偉そうに言っていますが、私も常々、私自身に言い聞かせていることです! 私たちは自分の未熟さに打ちのめされても、その先にある成長を信じて歩み続けるべきなのです。だから、今日も私は挑戦し続けます!
<関連記事>
*村川久夢著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』1章無料公開中
*----------*
【村川久夢ホームページ】
✿『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』✿
新著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』は、村川久夢が「年だから」「今さら遅いから」など様々な心の制限を外し、他の誰かのためではなく、自分の心が望むことにしたがって生きるようになった軌跡を描きました。私が自分軸で生きられるようになった成長の課程を描いています。
*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は550円です)下記ボタンよりお申込み下さい。
*紙の本は、880円(送料180円)です。下記ボタンよりお申込み下さい。
*----------*
*村川久夢ホームページトップには、新著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』に頂いた感想を多数掲載しています。