鬱を患う家族がいるあなたへ

私は鬱を患った経験があるので、「鬱を患う家族にどう接したらいいのかわからず悩んでいる」と言う相談を受けることがよくあります。今日は、鬱を患う家族にどのように接したらいいかを一緒に考えたいと思います。

 

<黙って温かく見守る>

鬱を患う家族がつらそうな時、どうしてあげたらいいのかわからない」「つらさを訴える話をずっと聞いていると、一緒にしんどくなってしまう」と相談されることがあります。私自身が、鬱が苦しかった頃を振り返ると、父が黙って温かく見守ってくれたことが思い出されます。

 

「黙って温かく見守る」、これが一番ありがたかったです。でも、「黙って温かく見守る」は、言葉で言うほど簡単ではないのです。

 

夫が急死し鬱が悪化して、私は教師を辞めました。父は私が教師をしていることをとても自慢にしていたので、「教師を辞めた」となかなか言い出せずにいました。私が恐る恐る教師を辞めたことを父に話すと、父は非常にショックな表情をしました。

 

でもすぐに、「辞めたかったら辞めたらええ。親も兄弟もいるんやから心配せんでもええ」と言ってくれました。ものすごくほっとして、心に温かいものが流れて来ました。心強かったです。

  

<適度な距離を保つ>

私の脳は深い悲しみやダメージを睡眠で回復しようとしていたのか、私は食事とトイレ以外は、ほとんど眠って過ごしていました。生活に必要なことは全部、当時83歳だった父がしてくれました。

 

私が父の立場だったら、どんなに先のことが心配で不安だっただろうかと思います。実際、当時、父は「いつまで元気でいて娘の世話をしてやれるだろうか?」と何度も思ったそうです。でも、父はそんな素振りは見せず、「欲しいものがあったら何でも言いや」と言って、適度な距離を保って接してくれました。

父も私と適度な距離を置くことで、心の平穏を保っていたようです。

   

私のことが心配でも、散歩、エッセイの執筆、新聞の読者欄への投稿、読書等、自分の趣味や楽しみを持っていたのです。

 

<焦らず長い目で>

私は本当に寝てばかりで、食事の後、自分の食器を洗うことすらしませんでした。いい年をして、高齢の父に世話をしてもらっていることが、とても後ろめたくて、本当に父に申し訳なく思っていました。

 

「お父ちゃん、ごめんな、寝てばっかりで」と私が言うと、「寝られへんより、寝られるほうがええのんとちがうか?寝たい時は寝たらええんやで」と父は言って批難がましいことは、一切言いませんでした。

 

「『いつまでゴロゴロ寝てばかりいるつもり!』『仕事はどうするの?!』『いつまでこんな生活を続けるつもり!』と家族に責められることが一番つらい」と言う鬱患者仲間も少なくありません。

 

家族から見ると、目にあまるように見える態度も、本当は本人が一番苦しんでいるのです。鬱は一時、「心の風邪」と言われていました。風邪のように誰でもかかる可能性がある病気ですが、なかなか風邪のように早く治ってくれないのです。

  

どうか焦らず責めず長い目でみてあげて下さい。

 

<心に寄り添う>

私の鬱が酷かった頃を振り返ってみました。父は、私を温かく見守ってくれました。もし、私に娘がいて、その娘が夫を亡くして鬱を患い、部屋に引きこもって寝てばかりいたら、私は娘に対して何も言わずに優しく見守ってあげられるだろうか?と立場を変えて考えてみました。

父は大変だっただろうと思います。温かく見守ることも、適度な距離を保つことも、焦らず長い目で見ることも、言葉では簡単に言えますが、実行するのはとても難しいことだっただろうと思います。父の愛に改めて感謝しました。

 

父が温かく見守ってくれたおかげで、私は安心して心を安め、鬱から立ち直り元気になることができました。どうか、愛する人が心に鬱という傷を負い悲しみにくれていたら、その人が心の傷を癒やし、立ち直るのに寄り添い温かく見守ってあげて下さい。

 

 

 

【村川久夢ホームページ】

✿村川久夢著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』✿

  *電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は550円です)下記ボタンよりお申込み下さい。

 

*----------*

  

*村川久夢ホームページトップには、新著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』に頂いた感想を多数掲載しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA