つらい出来事から復活した経験が人を癒せる

「この苦しみからどうしたら救われるか教えて欲しい!」とうつや夫の死に苦しんでいたころ強烈に思いました。

 

「病は気から結局は弱いからそんな病気になるのよ」「いつまでも悲しんでいたら、旦那さんが成仏できないよ」等々の心ない言葉をかけてくる人も多く、辛い気持ちをわかってもらえず、私は孤独にも苦しんでいました。

  

「この苦しみから立ち直った人に出会いたい!」とわかってくれる人、希望を与えてくれる人を痛切に求めていました。

うつを発病して16年、夫が亡くなって11年、私は現在、うつや夫の死から立ち直り、自分の夢に向かって一歩ずつ進めるようになりました。私の新著『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』には、「つらいできごとから復活した経験が人を癒せる」ことを書きました。

心の病と闘うあなた、愛する人の死に苦しむあなた、人に理解されない孤独に悩むあなた、夢を模索するあなたにぜひ読んで欲しいと思い、本ブログに抜粋しました

  

  

第4章 50代はつらかった経験から学んだことで人の役に立てる

   

  

(1)つらいできごとから復活した経験が人を癒せる

 

これまでの人生で一番つらい経験と言うと、やはりうつと夫の急逝でした。思い出すのがつらいできごとですが、この経験で私は、自分と真剣に向き合い、自分のこれからの人生をどう生きるかを考えることになりました。私は自分の心をじっくりと見つめ、諦めていた自分の夢を取り戻すことができました。その時、私は55才でした。

 

55才から夢を叶えるために歩きだした私は、思いがけず今までに感じたことがない充足感や幸せを感じたのです。夢を叶えることに夢中になり、人の役に立てる喜びが、悲しみや寂しさを癒やしてくれました。

 

ちょっと重い話になりますが、私がつらいでき事から元気になった経験が財産であると感じた経過をお話したいと思います。

  

<夫の急逝、うつ悪化、辞職>

私がうつを発病したのは2004年でした。病気は一進一退でなかなか良くなりませんでした。でも、やっと2008年に現在の主治医であるクリニックの院長先生に出会い、私は劇的に元気になりました。私は院長先生の勧めもあってデイケアに通うようになりました。そのおかげで生活のリズムができ、復職する体力もついて来ました。復職への不安はいろいろありましたが、決意を固め、2009年の4月に復職しました。

ところが復職して、やっと仕事に慣れた頃、夫が急死したのです。文字通り青天の霹靂でした。私のうつは急速に悪化し、仕事を辞めざるを得なくなりました。「なぜ私なの!? こんなに真面目に一生懸命に生きて来たのに、なぜこんなことが起きるの!?」と怒りさえ覚えました。

 

本当に、胸が焼けるような苦しい経験でした。真面目に一生懸命に働いてうつになり、一番頼りにしていた夫に先立たれ、苦労して得た教員の職を失い、自分が抜け殻になったように感じました。「私の人生はもう終わった」という虚しさでいっぱいでした。

 

<自分を責める言葉>

「いつまでも悲しんでいたら旦那さんが成仏できないよ」「寿命やと思って諦めなしかたないで」「子どもがいないからそんなにいつまでも悲しんでいられるんやで!子どもがいたらイヤでもしっかりせなあかんやろ」「ご主人を亡くした○○さんは、もうしっかり働いてはるえ~」

 

弱りきっている私に「よくそんなことが言えるな!」と思うようなことを平気で言う人がけっこうたくさんいました。しかしなにより、私自身が、同じ言葉を自分に投げかけ自分を責めていました。

 

また、なかなか元気になれない自分に焦りを感じました。気持ちに寄り添って話を聞いてくれる人、理解してくれる人を見つけられず、孤独にも苦しんでいたのでした。

 

<眠って心を癒やす>

孤独感に苛まれていた私に、主治医であるクリニックの院長先生は、「つらかったら毎日、診察に来てもいいよ。それにこのクリニックがある限り全面的にバックアップするから、孤独に悩まなくてもいいよ」と言って下さいました。10年近く経った今も忘れることができないありがたい言葉です。

 

院長先生に処方してもらった薬を飲んで、朝も昼も夜も眠って過ごしました。意識が目覚めていると、つらさに耐えられなかったからです。一般的に人が起きている時間に眠ることに罪悪感を覚える人は多いと思いますが、当時を振り返ると、私は眠ることで深い心の傷を癒やしていたのだと感じています。

 

ありがたいことに、父は眠り続ける私を黙って見守り、一度も非難がましいことは言いませんでした。そんな生活が半年近く続きました。

 

治療を受け続けることに加え、身体にも精神にも良い影響をもたらすヨガを始めたこともあって、私は次第に安定するようになりました。夫の死から5年の歳月が流れていました。

そんな時、私はカフェで偶然見かけたチラシがキッカケでタロットから生まれた「インナーチャイルドカード」というものを使う心理セラピー(心理カウンセリング)に出会ったのです。この出会いが、自分の本心を見つめるチャンスをくれました。

<自分の心を見つめる>

インナーチャイルドカードには、おとぎ話や童話をもとにした可愛く綺麗な絵が描かれています。インナーチャイルドカードセラピーは、その絵を眺めて感じたことを話し、セラピストと対話することで、自分を見つめるセラピーです。カードを使ったカウンセリングのようなものです。

 

 

セッションを初めて受けた時、私はインナーチャイルドカードのキレイで可愛い絵を眺めるだけで、心が癒やされるように感じました。セラピストさんから、カードの印象を書くように言われて、感想を紙に書きました。私が書いたことを読みあげると、セラピストさんが、感想の文章がメルヘンのようでとても素敵だとほめてくれました。

 

このとき、ドキリとしたことを覚えています。私は小さい頃から、物語を書くのが大好きだったのです。幼い頃から私は、親や周りの大人の期待に答えるよい子に育てられました。一切と言っていいほど自己主張・自己表現することは許されませんでした。唯一できた自己表現は、自分の考えや気持ち、自分の空想から生まれた物語を書いて表現することだったのです。作家になることが私の密かな夢でした。

何度かセッションを重ねる内に、「才能がないから」という言い訳をして、遠い昔に作家になる夢を諦めてしまったことに気づきました。「中学の英語の先生」という安定した生活に逃げていたことにも気づいたのです。口にすることもためらっていた作家になる夢でしたが、うつや夫の死で自分の今までの安定一辺倒の生き方を根底から覆され、やっとやっと私はその夢に向き合いました。ついに夢を取り戻すことができたのです。

うつや夫の死は、本当に思い出すのもつらい経験でした。でも、今振り返ると、その時期があったからこそ、私の上辺を覆っていた世間体や人の評価や様々な言い訳を取り去って、私は自分と向き合えたのです。そんな私の心にインナーチャイルドカードが、寄り添ってくれたのです。

<夢に向かって>

自分の夢を取り戻し、夢を実現する具体的な方法を考え、私はうつや夫の死から立ち直った経験をエッセイ集に書きました。エッセイを書きながら、病気が苦しくてもがいていた自分、理解されなくて孤独だった自分、自分自身を責め続けていた自分、なかなか良くならずに焦っていた自分、治る希望が見いだせなかった自分が蘇って来ました。

苦しかった経験を書くことは正直つらかったです。でも、文章にして徹底的に客観視すると、心が整理され、苦しみが浄化されたような気持ちになりました。エッセイ集を書き上げると、物凄くホッとしました。やり遂げたという達成感でいっぱいになりました。

 

 

<人の役に立つことが自分の心を癒やす>

少部数のささやかな出版でしたが、エッセイ集を出すと、うつや愛する人の死に苦しむ人から、たくさんの感想を頂きました。私が酷いうつに悩んでいた頃を知っている心療内科の患者仲間が、「元気になって、本を出版するまでになったことが、私の希望や励みになります。ありがとう」という感想をくれたことが、忘れられません。

 

私は、エッセイ集だけでなく、自分のブログにもうつや夫の死から立ち直った話を投稿しています。私と同じ苦しみに悩む人から、「元気をもらった」「勇気づけられた」「希望が持てた」と感想をいただくと、私の方が元気をもらい、勇気づけられ、希望が持てました。

 

苦しいできごとから立ち直った私の経験が、人の役に立てたという喜びが、私の心を癒やしているのを感じます。

 

(『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』4章1項より)

 

 

この文章があなたを癒やし、元気や勇気をあなたに与えることを心から望んでいます。

 

    

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