三十一文字という短い文字に思いを込めるのが、とても楽しくて短歌を詠むのに夢中だった頃、百人一首の儀同三司母「忘れじの行く末まではかたければ~」の歌をよく思い出しました。
「忘れない」と愛を誓ったクライマックスで、命が燃え尽きればいいという、ヒロインの情熱的な恋を歌った歌です。
60代になり、家族や友人との別れを経験するたびに、この和歌に若い頃とは違った印象を持つようになりました。
還暦をすぎて、この和歌に惹かれるようになった心境を綴りました。
▶忘れじの行末まではかたければ
百人一首とは、藤原定家が優れた歌人100人の和歌を1首ずつ集めた『小倉百人一首』を指すことが多く、この百首を歌った「かるた」として広く知られています。
子どもの頃は、「お正月のかるた遊び」だと思っていました。中学生になって、和歌の意味がわかるようになると、お気に入りもできました。儀同三司母の歌もそうです。
「忘れじの行末まではかたければ 今日かぎりの命ともがな」
儀同三司母
【お前のことは忘れない、とあなたはおっしゃったわね。ほんとかしら。そのお言葉、信じ られるのかしら。行末のことはたのみがたいわ。それよりいっそ、今日のこの恋の幸福の絶頂で死んでしまいたいわ。(田辺 聖子著『田辺聖子の小倉百人一首』より)】

この歌に詠われた恋愛に憧れた頃は、「忘れない」と愛を誓ったクライマックスで、「命が燃え尽きればいい」というヒロインにいたく共感していました。
▶現実にはクライマックスの「幕」はない
私がうつ病を患って休職していた46歳の時、SNSにこの歌のことを次のように書いています。
「映画や芝居ならクライマックスで『幕』を引けますが、現実はその後も続きます。悲劇的な『行末』を見ることもあります」
恋愛だけでなく友情もあるいは組織や国家も、芽生えがあり、上昇があり、クライマックスがあり、衰退があり、消滅があります。
現実は頂点のあとも延々とつづくのです。盛りを誇ったものの瓦解の悲劇を見ることもあるでしょう。
クライマックスで命が尽きることを願うヒロインに共感していた若い頃とは違い、むしろ「行末」ということばが、当時の私の心に深く刺さりました。好きな理由が変わったのです。
▶自分を信じて「今」を生き尽くす
さらに年齢を重ね60代になった今は、家族の死や友人との別れを経験して、この和歌の「行末まではかたければ」がリアルに感じられるようになりました。
自分も人も常に変化しているのです。
父が亡くなった時、葬儀場に父のエッセイ集や投稿を続けた同人誌、新聞の読者欄に採用されたエッセイのコピーなどを展示させてもらいました。

父は若い頃、経済的理由で立命館専門学校を中退して、70歳で立命館大学に社会人入学して、無事に卒業したのです。入学や卒業の時、新聞に報道された記事もありました。
また、文学青年だった父は、生活のために執筆を中断していましたが、退職してから文章教室に通い、同人誌にエッセイの投稿をつづけました。
米寿のお祝いに出版したエッセイを読むと、どんな困難の中でも自分を信じて「今」を一生懸命に生きる大切さを感じたのです。
その時、たとえ人や世の中が変わって、情熱的な恋が苦しく惨めな終りを迎えても、自分が老いて人生の終焉を迎えても、自分の信念をしっかり持って、最後を見届けたいと強く思ったのです。
▶儀同三司母~高階貴子
「忘れじの……」の和歌の作者・儀同三司母「貴子」は、中関白藤原道隆(なかのかんぱくふじわらのみちたか)の妻となりました。
藤原道隆は、「忘れじ」と誓った相手です。二人の恋はみのり、貴子は儀同三司伊周(これちか)や一条天皇の中宮・定子(ていし)を生みました。

定子に仕えた清少納言は、定子の美しさと才気を、あこがれこめて『 枕草子』で讃えています。その母である貴子も才気あふれる美貌の女性だったと思われます。
しかし、息子・伊周が失脚したため、晩年の貴子は不遇だったのです。彼女の不遇な晩年を、「賢すぎる女の末路はあんなものさ」と口さがない人々が言ったことでしょう。
しかし、この恋の歌は、定家によって百人一首に選ばれ不滅の命をあたえられることになったのです。
▶今この時間を懸命に生きよう
「今この時間を懸命に生きよう」ということではないでしょうか?
儀同三司母のように「クライマックスの誓い」を心に秘めて苦難を重ねながら、静かに年齢を重ねていくのもいいなと思います。
クライマックスで誓ったこと、現実はそれがままならぬことがよくありますが、自分を信じて「今」を生き尽くすことの貴重さを、60代になった今、この歌から感じます。
あなたは、自分の「今」をどのように見つめていますか? どんな困難が訪れても、自分を信じて生きたいことは何でしょうか?
(【百人一首】忘れじの行末まではかたければ~ 儀同三司母の歌と今を生きる心:村川久夢)

◆書くことで「本当にやりたいこと」が見つかる無料メール講座

今まで家族のために生きてきたけれど、そろそろ「✨️自分のために生きてみたい✨️」と思っているあなた。
とは言うものの、「どうせ私なんか無理よ。今からでは遅すぎる」「本当にやりたいこと」が何かわからない……。そんなふうに感じていませんか?
この無料メール講座は、「どうせ私には夢なんて見つからない…」「自分のために生きると言われても、本当にやりたいことがわからない……」と思っているあなたが、メールのワークにそって、自分の気持ちを書きます。
書くことで、自分自身と静かに向き合いながら、今まで気づかなかった「やりたいこと」や「本当の私」を見つけていきます。
「書くことで本当にやりたいことが見つかりました!」―そんな人が増えています。
講座は、無料でメールアドレスだけで登録できます。いつでも解除OKです。高額な商品やサービスの購入勧誘もありません。安心して下さいね。
メール講座の詳細やご登録は、下記ボタンをクリックして案内ページにお進み下さい。
<村川久夢プロフィール>
<関連記事>

村川久夢の作品ページです。心に響く小説や読む人の心に寄り添うエッセイ、書く力を磨く記事など、多数を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
👇️「村川久夢作品」ページはこちらから👇️

👇️ホームページトップこちらから👇️
*村川久夢ホームページトップでは、「最新ブログ7日間」や「村川久夢作品」、「ああ、京都人シリーズ」などを紹介しています。ぜひご訪問下さい。
*----------*
【村川久夢ホームページ】
<『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』紹介>
『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』

あなたは「どうせ私なんか……」「もう年だから」「今さら遅すぎる!」と思って夢を諦めていませんか?
私は、50代で夫の急死、うつ病の悪化、うつ病のため仕事を失うなど、つらい出来事が重なり、人生の目標を失っていました。
しかし、私が自分の夢を見つけ叶えはじめたのも、また50代だったのです。
「どうせ私なんか……」などの「心の制限」を外して、私が夢を見つけ、叶えてきた経験を本書に具体的に詳しく書いています。
本書を読むと、「50代は夢を実現する年代だ! さあ、やってみよう!」とあなたに実感していただけるはずです。
<『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』購入のご案内>
*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は550円です)下記ボタンよりお申込み下さい。
*紙の本は、880円(送料210円)です。下記ボタンよりお申し込み下さい。


