幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の生涯を描いた歴史小説『燃えよ剣』。

一方で大義名分や侍の美学と関係なくこの時代に生きた京都の庶民は、どのように激動の時代を生き抜いたのかにも思いを馳せて読みました。
▶新選組ほど恐ろしいものはなかった
『燃えよ剣』と聞くと昭和36年(1961年)生まれの私は、栗塚旭さんが土方歳三を演じた昭和45年のテレビドラマ『燃えよ剣』(1970年)の印象が非常に強いです。ドラマが大ヒットして、新選組ブームが起こったことを覚えています。
私の曾祖父母は、リアル新選組を知っている世代です。私もブームに影響されて、祖父母に新選組のことを尋ねてみました。
祖母は曾祖母から「乱暴狼藉を働くので、京都の庶民にとって、新選組ほど恐ろしいものはなかった」と聞かされたと言うので、がっかりしたことを覚えています。
父は自分のエッセイ集『はるかなり「ふみのみち」』に以下のように書いています。

【西本願寺に一時、新選組の屯所が置かれ、市中見回りに行き交う隊員の姿は、一般町民にとっては恐ろしい存在であった。
切り捨て御免の時代に、東本願寺の別邸である枳殻邸(渉成園)の南の通りで、子供たちの遊び道具(かねの輪転がし)のかねの輪が、二人連れの侍の一人の足に絡まり転倒した。怒った侍は大声で、
「下郎!そこへなおれっ!」と叫んだ。子供は顔色を失い、その場に立ちすくみ震えていた。
それを見ていた朋輩の侍は、「貴公は倒れた、若し、これが敵の謀略であったら、貴公は既に命のないところだ。あんな子河童の仕草、赦されよ。」と取り成しがあり、「こらっ、子河
童、早く立ち去れっ!」の一言で、その場から一目散に逃げ帰り命拾いをしたというのである。
これは父方の古老が子供時代に経験した話で、父が聞き私にも話をしてくれたのであった。この内容は印象深く残っている。】

『燃えよ剣』を再読したのは、幕末の京都を知りたかったから、そして、幕末と言う激動の時代を京都の庶民がどのように生き抜いたのかを知りたかったと言う理由もありました。
▶関わりたくない
『燃えよ剣』に土方歳三が長州の浪人に尾行され、仏光寺門前の「芳駕籠」と言う駕籠屋に身を潜める場面がありました。
新選組副長に恐れをなす駕籠屋夫婦に、土方は駕籠に水を入れた大樽を乗せて、土方が行く方向と反対方向に行かせてほしいと頼むのでした。
新選組と関わりたくないけれど、断るのもまた恐ろしく、駕籠屋は土方の指示通りに水を入れた大樽を乗せて駕籠を行かせるのです。
土方は難を逃れるのですが、駕籠の中身が水を入れた樽だと気づいた長州の浪人は、今度は「芳駕籠」に難癖をつけ、ひと騒動になる場面がありました。
「芳駕籠」にとってはいい迷惑だったでしょう。このシーンは、この時代が京都の庶民にとっては、いかに生きにくい時代だったかを感じさせ印象に残っています。

▶近所で殺し合いが……!
また『燃えよ剣』を読み進めると、土方歳三が会津藩本陣から屯所不動堂村への帰途、刺客に襲われる場面がありました。重症を負った土方歳三が逃げ込んだのが「西洞院」あたりなのです。
描写から私の家のごく近所であることがわかりました。小説を読んで、見慣れた西洞院通や通りに面している茶道藪内家の趣のある建物を感慨深く眺めました。

でも、「もし、今が幕末だったら」と思うと怖くなりました。
家の近所で刀を持った新選組の隊士や浪人が切合をして、殺し合いをしているのです! 追われている血だらけの人が、助けを求めて飛び込んで来たら!
それは、どんなに恐ろしいことだったでしょう。下手に関わったら、報復を受けたり、罪を問われたりすることもあったでしょう。
▶勝てば官軍
徳川慶喜が大政奉還を行い、新選組は旧幕府軍に従って戊辰戦争に加わるのです。初戦の鳥羽伏見の戦いで敗北し、土方歳三は大阪で恋人雪と二日間だけ夫婦として過ごし、物語の舞台は江戸に移ります。
「鳥羽伏見の戦い」のことは、曾祖母が覚えていて、曾祖母から祖母に、そして孫である父に「落ち武者狩り」が語り伝えられたのです。父はエッセイ集に下記のように記しています。

【祖母は六、七歳位の頃鳥羽伏見の戦いの折り、落ち武者(幕府方)が逃げ込んだという事で、官軍方が大砲(おおづつ)を祖母等が住んでいる集落に向けて、「一発ぶちかます」という隊長の命令に、町の長役はびっくり仰天、まかり出た。
「そのような者は一人もおりませぬ」を繰り返し深々と地面に額をすりつけ、
「万一、落ち武者が現れました時は、手前どもの方から必ず、必ずお届けいたします」
という言葉と米つきバッタの土下座で、官軍の隊長は漸くにして赤鞘から抜き払った刀を鞘に納め、部隊を引き上げさせたという。】

もとは薩摩・長州からなる官軍、討伐する側だった幕府軍はいまや「落ち武者」となって追われる身。「勝てば官軍」と言うことばがしきりに思い出されました。
▶生き抜くための知恵
「鳥羽伏見の戦い」に敗れ、新選組に敗色が濃くなった時、土方歳三が近藤勇にこう語ります。
「時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ」と。土方歳三は非常に魅力的に描かれています。
『燃えよ剣』を再読して、大義名分や美学と関係なくこの時代に生きた庶民が、この激動の時代を生き抜くのはさぞや大変だっただろうと感じました。
「人は人、自分は自分」「裏表があって意地が悪い」「はっきりものを言わない」等々の京都人気質は、戦や政変絶え間ない王城の地で逞しく生き抜くための知恵でしょう。
京都人の生き抜く知恵について、私はぜひ書き残したいと思い、拙書『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』に書きました。

どんなに時代が変化しても、「自分は自分」と時代や人に流されず、自分の芯をもって生きる京都人気質は、AIの登場で激動の時を迎えた現代人に必要な力ではないでしょうか?
『燃えよ剣』を再読してそのように強く感じました。
新選組や『燃えよ剣』のファンの方、幕末の歴史ファンの方、ぜひあなたの意見や感想をコメントで教えて下さい。
(【ああ、京都人】『燃えよ剣』~幕末の京都で生き抜く知恵~:京都在住セラピスト作家:村川久夢)

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