「おはぎ」と「ことば」––祖母や母から受け継いだ「喜ばれる幸せ」

 

春のお彼岸ですね。お彼岸と聞くと、張り切っておはぎを作っていた祖母や母の姿を、必ず一緒に思い出します。

 

 

春のお彼岸なので「おはぎ」ではなく、本来は「ぼたもち」ですが、おはぎという呼び方が私には馴染み深いです。

 

お彼岸のたびに、祖母や母とおはぎを作ったことが懐かしく思い出されます。祖母も母もおはぎを作って人に喜んでもらえることに、幸せを感じていました。

 

私はおはぎをつくることはありませんが、「ことば」を紡ぐことで人に喜んでもらうことに、幸せを感じるのです。

 

母方の祖母はおはぎを作るのが上手でした。祖母は畑で育てた小豆やそら豆で餡を作り、「へっついさん(かまど)」で、うるち米ともち米を混ぜて炊いていました。

 

炊きあがるとすりこぎ棒で餅状にして準備できると、母や10歳くらいだった従姉と私も加わって、餅を丸めて餡で包むのです。100個以上は作っていたと思います。

 

祖母は作ったおはぎを折箱に詰めて、私たちに持たせたり、近所の人に配ったりして、本当にうれしそうでした。

 

 

私はおはぎを見ると、いつも祖母や母や従姉とおはぎを作ったことを思い出します。

 

母がおはぎを作り始めた頃、初めは失敗つづきで、私や弟はよく失敗作を食べたものです。

 

でも、すぐに母はおはぎ作りが上手になり、小豆から程よい甘さの餡を作り、形の良いおはぎを作っていました。

 

母は張り切って100個以上のおはぎを作っていたので、私もよく手伝わされました。

 

でも、おはぎ作りを手伝うと、餡ときなこの匂いに酔ってお腹がいっぱいになるのですよね。おはぎなんて見たくなくなるほど……。

 

 

おはぎを作り終わって、やっと昼食の時間になると、昼食としておはぎが出て来るのです! 私はおはぎ作りを手伝っていた頃、おはぎが苦手であまり食べませんでした。

 

母の手伝いをしておはぎを作ったことは何度もありますが、私一人で作ったことはありません。私は祖母や母のおはぎ作りを受け継がなかったのです。

 

一度だけ作った私の「おはぎもどき」

 

でも、おはぎが好きなわけでもないのに、おはぎを見かけるとつい買ってしまいます。

 

祖母が亡くなって42年、母が亡くなって18年経ちました。おはぎを見ると、張り切ってたくさん作ったおはぎを、うれしそうに配っていた祖母や母の笑顔が思い出されます。

 

私はおはぎこそ作りませんが、張り切って書いたブログや小説に「良かった!」「心に響いた!」と言って頂くと、うれしくてまたせっせと文章を書くのです。

 

 

「良かった!」「心に響いた!」ということばをもらった時の私は、きっと祖母や母のように本当にうれしそうな顔をしていることでしょう。

 

祖母や母は「おはぎ」、私は「ことば」と形は違っても、「誰かに喜んでもらう幸せ」は、三代にわたって受け継がれています。

 

祖母のおはぎも母のおはぎも、お店で売っているもののように垢抜けていませんでしたが、程よい甘さで、食べるとホッとして温かい気持ちになれました。

 

 

祖母や母のおはぎのような、読んだ人がホッとして温かい気持ちになれることばを、私は紡ぎたい。

 

「おはぎ」と「ことば」、形は違っても、祖母や母と同じように「喜ばれる幸せ」を、私は引き継いでいるのです。

 

 

だから、今日も祖母や母の「おはぎ」のような、読む人の心が温かくなることばを紡ぐ私です。

 

 (「おはぎ」と「ことば」––祖母や母から受け継いだ「喜ばれる幸せ」:村川久夢)

 

京都在住セラピスト作家:村川久夢

 

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