私を待ってくれる小さな存在

　

昔、勤め出したばかりのころ、私は採用されたものの、自分が何をすればいいのかわかりませんでした。職場は忙しく、仕事はいくらでもあったのですが、私は毎日退社時間が来るとさっさと帰っていたのです。

私は職場で実に影の薄い存在でした。居心地も悪かったです。

ある時、窓際に枯れかけた鉢植があるのに気づきました。カラカラに乾いて、葉も花も枯れていて、中心部分にわずかに緑の部分が残っています。私は枯れかけの葉や花がらを取り除いて、たっぷり水をやったのです。

数時間すると、よれよれだった葉が少しシャンとしたように感じました。

朝、いつもなら仕事に行くのが嫌で嫌で仕方がない私でしたが、翌朝はお花のことが気になって、仕事に行く足が少しは軽く感じたのです。

鉢植は、昨日、たっぷり水をやったからか、葉が水々しくなっていました。土は乾いてるので、私はその日もたっぷり水をやったのです。まるで鉢植が私を待ってくれているように感じました。

私は出勤すると、毎日、鉢植に光を当て、水をやりました。真ん中のわずかに残っていた緑の部分は葉やつぼみに育ってくれたのです。葉も花も少しずつ復活し成長し、鉢植はたくさんの花や葉がいきいきと咲いてくれたのです。

鉢植のような小さな存在でも、私を待ってくれるものがいるのは、嬉しいものです。そして、これからは私自身が、自分に光を当て、水をやり、私の花を咲かそうと思いったのでした。

　

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