【自己再生に絶対必要なもの】『秘密の花園』から学ぶ

　

子どもの頃に読んだ本を再読すると、子どもの頃とは違う感動や気づきがありますね。『秘密の花園』は子どもの頃の私の愛読書でした。『秘密の花園』を再読し、親から無条件の愛を得られず、幼い日に傷ついた自己の再生に欠かせないものは何かを考えました。

　

＜『秘密の花園』あらすじ＞

主人公のメアリー・レノックス はイギリス植民地時代のインドで、官吏の父と遊び暮らす母に放任され、我儘で気難しい少女に育ちます。ところが両親がコレラで相次いでなくなり、イギリスのヨークシャーの邸宅に住む伯父に引き取られるのでした。

　　　

最初はイギリスの暮らしに馴染めないメアリーでしたが、素朴で温かい召使のマーサや、その弟ディコンと仲良しになります。また、メアリーと同様に親から愛されず屋敷で孤独に暮らす従兄のコリンとも仲良しになるのでした。

　

そして、タイトルにもなっている「秘密の花園」の鍵を偶然に見つけます。マーサ、ディコンの姉弟、そして従兄のコリンと一緒に荒れ果てた「秘密の花園」を復活させます。

　

花園復活の過程で自然に触れるようになったメアリーは、いつしか、心も身体も健康な、明るく優しい少女に変貌するのでした。

　　　

　

　

＜「最悪」だったインド時代のメアリー＞

「お母ちゃんが言ってたけど、子どもにとって最悪なのは、ひとつは何も望みどおりにならないことで、もひとつは何でも望みどおりになっちまうことだって。『どっちのほうが不幸かわからない』って、お母ちゃんは言うよ。」（『秘密の花園』より）

　

この言葉は、マーサ＆ディコン姉弟の母の言葉です。私は『秘密の花園』再読中、マーサの母の言葉に何度もはっとしました。

　

インド時代のメアリーは、両親から放任され世話係にわがまま放題に振る舞っていました。表面的には、何でも望み通りになっているように見えます。

　

でも、無条件な親の愛を受けることもなく、誰からも愛されていなかったメアリーの心は満たされず、彼女がわがままになればなるほど孤独でした。メアリーが本当に求めていたのは、両親の愛だったのです。でも、その望みは両親の死で最後まで叶えられませんでした。

　

マーサの母がいう両方の「最悪」状態だったのです。

　

　

＜自己再生の物語＞

そんなメアリーを優しく明るく健康な少女に変えたのは、ヨークシャーの自然と貧しいけれど愛情豊かな母の元で育ったマーサ、ディコン姉弟との交流でした。メアリーはマーサたちと一緒に荒れ果てた「秘密の花園」を復活させ、愛に飢え孤独だったメアリー自身を復活させたのです。

　

　　　

子どもの頃は、メアリーたちが「秘密の花園」を復活させる様子にわくわくしながら読みました。再読してみて子どもの頃に読んだ時とは、また違った感動がありました。

　

幼い頃に伸び伸びと自然にふれる大切さ、自ら行動して得た達成感、親から無条件に愛されることの大切さを痛感しました。

　

　

　

『秘密の花園』は、メアリーがディコン姉弟やコリンと協力して荒廃した花園を復活させたように、友情や自然にふれることでメアリーが、自分自身を再生させる物語だと感じました。大人が読んでも十分に楽しめる物語でした。いえ、大人になった今こそ読む価値があると感じました。

　

　

　

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