【ああ、京都人】「しっぽくうどん」とは?~食文化の伝播~

しっぽくうどん(ちから餅)

 

「しっぽくうどん」をご存知ですか?「しっぽくうどん」は、甘く炊いた椎茸、蒲鉾、湯葉や板麩、三つ葉などの具が乗せられたうどんです。京都のうどん屋さんでよく見かけますが、その起源は意外なところでした。「しっぽくうどん」の由来を探りました。

 

<しっぽくうどんとお稲荷さん>

「ちから餅」さんで「しっぽくうどん」と「お稲荷さん」を食べてきました。「ちから餅」さんの「しっぽくうどん」には、甘く炊いた椎茸、蒲鉾、板麩、三つ葉、刻み海苔が入っていました。薬味は柚子でした。「ちから餅」さんは自家製麺、麺が細くて腰があって、「しっぽくうどん」も美味しかったです。

  

「しっぽくうどん」だけではちょっと物足りないので、「お稲荷さん」を2つ頼みました。しかし、お稲荷さんはボリュームたっぷりで、1個で十分でしたが(汗)

 

 

<意外な由来>

ところで「しっぽくうどん」は、京都のうどん屋さんでよく見かけるので、京都発祥だと思っていました。でも、調べてみると、意外な由来がありました。

 

 

【「しっぽく」とは?】

しっぽくとは「卓袱」。元禄(1688~1704年)頃から長崎で盛んだった和風中華料理の卓袱料理のことである。

 

この卓袱料理のなかに、大盤に盛った線麺(そうめん、またはうどん)の上にいろいろな具をのせたものがあった。

 

これを江戸のそば屋が真似して、そばを台に売り出したのが「しっぽくそば」ということになっている。(「そばの散歩道」より)

 

 

 

でも、その時代に長崎で流行った料理を遠く離れた江戸のそば屋が直接取り入れたというのは、少々無理があるといえなくもないと「そばの散歩道」には書かれていました。

 

<江戸から京・大坂へ、京・大坂から江戸へ>

しっぽく料理そのものは、享保(1716~36年)頃に京に伝わり、それが京・大坂をはじめとする畿内に広まったとされています。

   

その頃、京・大坂のうどん屋がいち早く「しっぽくうどん」を売り出し、それが江戸に伝わって、そばの種になったと考えられるようです。

  

「しっぽく」の元は和風中華料理だったのです。この和風中華料理を江戸の蕎麦屋さんがアレンジして、「しっぽくそば」になったのでした。

  

その後、卓袱料理が京に伝わり、京・大坂のうどん屋さんが「しっぽくうどん」として広め、それがまた江戸に伝わって、そばの種になったようなのです。

  

<のっぺいうどん>

以前、本ブログで長浜名物の「のっぺいうどん」を取り上げたことがあります。「のっぺい」を考案された辻喜八郎さんは、「のっぺい物語」で下記のように述べられています。

 

「『名物のっぺいうどん』は、大阪のあんかけうどんに、京都の志っぽくうどんがくっつきましてな…」(「のっぺいうどん物語」より)

 

のっぺいうどん(三条更科)

 

大阪から「あんかけ」、京都から「しっぽく」が長浜(滋賀)に伝わって「のっぺい」になり、「のっぺい」はふたたび長浜から京都・大阪に伝わったのです。このように食べ物は、その時代や地域で姿を変えて伝わって行くのですね。

  

<食文化の伝播>

「ちから餅」さんの隣のテーブルで食事していた若い男性3人は、カレーうどんを食べていました。

 

「カレーうどん」も「1908年(明治41年)頃、東京都新宿区早稲田の「三朝庵」が、洋食屋に奪われた客足を取り戻そうと考案したものが起源とされる」(Wikipediaより)ようです。

 

「カレーうどん」も「カレーライス」同様、すっかり定着していますよね。

 

今日は、ちょっとオーバーかも知れませんが、「こうして食文化は伝わり、その土地や時代に合ったようにアレンジされて、変化して多様になるんやろうな~」と思いました。

 

京都在住セラピスト作家:村川久夢

 

 拙書『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』2章では、このように地元京都で愛されている食べ物(白味噌雑煮、粕汁、お茶漬け、たぬきうどん等)についても書いています。下記にて『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』のご案内をさせていただきます。

 

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』

 

 

<『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』ご案内>

ご購入は下記リンクをクリックして下さい

電子書籍

ペーパーバック

 

 

本書では、京都庶民の日常、いわば素顔の京都を描きました。京都好きな方にはより京都を好きになり、京都に縁のなかった方には、京都に親しみを感じて頂けると思います。

 

【村川久夢ホームページ】

【村川久夢新著ご案内】


 *村川久夢は、京都生まれの京都育ち。一人の京都人の目を通して、京都や京都人について、新著『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』に書きました。観光化されていない日常の京都や地元の人に愛されている京都の穴場、食べ物やお店についても新著に書きました。    

 

 

 

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます』

   

*電子書籍(Amazon Kindle「読み放題」に登録されている方は0円でご購読いただけます。一般価格は700円です)下記よりお申込み下さい。

 

*村川久夢著『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』1章無料公開中 

『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』Amazonページ

  

本書で、京都好きな方はもっと深く京都を好きになり、今まで京都と縁がなかった方は京都を身近に感じて頂けると思います。ぜひ「あなたの知らないもうひとつの京都」を見つけてください。

   

   

  

 

<関連記事>

*村川久夢さんの新刊!<京都の当たり前が覆される一冊> 

*村川久夢プロフィール

*----------*

*村川久夢ホームページトップには、『ああ、京都人~今を生き抜く知恵おしえます~』に頂いた感想を多数掲載しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA