私の祖母は明治24年生まれです。祖母が生まれたのは明治維新から24年後で、祖母の母は文久２年生まれです。私は祖母からよく昔話を聞きました。その昔話は、祖母が曾祖母から聞いた話もあり、私は幕末の京都の暮らしを祖母からの口伝で知ることができたのでした。
＜京都のことは深く知っていた祖母＞
祖父母は再婚同士で結婚したので、父が生まれたのは祖母が37歳の時でした。また、父も当時としては遅い結婚で、私は父が33歳、祖母が70歳の時に生まれました。なので、私にとって明治生まれの祖母は曾祖母のような存在でした。
祖母は数回の旅行以外は、京都から出たことがありませんでした。実家も嫁ぎ先も下京区だったので、京都の中でも下京区から出る機会も必要もなかったようです。なので、世間は狭いですが、京都のことは深く知っていました。
また、祖母は腕のいい髪結だったので、裕福なお家の婚礼にもよく呼ばれて行っていたそうです。そんなこともあって、ご大家の生活の様子、京都のしきたりなどもよく心得ていました。
＜私の京都話のネタ帳＞
おばあちゃん子だった私は、祖母の昔話を聞くのが好きでした。その昔話には、祖母が文久２年（1862年）生まれ曾祖母から聞いた話などもあり、幕末の京都の暮らしを、書物からではなく、祖母からの口伝で知ることができたのでした。
でも、その祖母もずっと以前に亡くなり、父も高齢になり記憶がはっきりしません。曾祖母から聞いた話をよくしてくれた叔母も昨年亡くなりました。
そんな昔のことは、忘れ去られるのが普通なのかもしれませんが、私はかすかに覚えている祖母の昔話や生活の知恵、京都の決まりごとなどを書き留めておきたいと思っています。
幕末に活躍した著名な人物の記録は残っていても、戦乱や政争が絶え間ない幕末の京都で生きた名もない庶民 暮らしは、歴史の中に埋もれてしまうからです。
また、祖母は躾けの厳しい人だったので、昔はずいぶん窮屈に感じ、反発を感じた時期もありました。でも、祖母が生きた京都のことを書くことで、祖母のことを少しは理解できるようになりました。
祖母は私の京都話のネタ帳のような人です。頑張って思い出して、京都話を書きたいと思います。
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