私が幼かった頃、
父は私の手を引いて歩きながら、
「いつになったらこの子は
歩道の段差を越えるようになるかな?」
と思ったそうです。
今は、私が父の手を引いて、
「父はいつまで歩道の段差を
越えられるかな・・・」と思います。
「命は永遠やないし、
老いは容赦なくやって来るんやな」
とつくづく思う今日このごろ。
幸いまだ父は比較的元気でいます。
老人ボケの父と天然ボケの私、
天然父娘で面白おかしく毎日を
過ごしたいものです。
<自伝>
もうすぐ90才の父が自伝を書いていた。
タイトルを見ると『私の半生』だった。
え?まだ半生なの???
<杖>
足腰の衰えが激しく日課の散歩が
ままならない父。
「杖ついたら?」と私が言ったら。
「イヤや!そんなん年寄りみたいや!」
と即、却下された。
年寄りやなかってんね、オトーチャン!
<長生きしてね>
「オトーチャン、元気で長生きしてな」
と私が言うと、
「いやいや、まあ長うても
後10年くらいやろ~」と父。
って100才やん!
<貯金通帳>
オトーチャン、
「ワシの貯金通帳が盗まれた!」
と言って真夜中に私を起こすの
止めてくれへん?
どこになおしたか忘れただけやろ?
<カステラ饅頭>
父が「カステラ饅頭食べや~」と言った。
「カステラ饅頭ってなんやろ?」
と思って見たらチョコパイだった。
<みー>
父は子どもの頃、「みー」という名の猫を
飼っていたので猫好き。
うちの飼い猫のクムを「みーよ~」、
ピユを「みーよ~」、
クロを「みーよ~」と呼んで可愛がっている。
でもな、オトーチャン、
猫はみんな「みー」と言う名前と
違うねんけど・・・
<先生>
名前を忘れた人はみんな「先生」、
名前を忘れた猫はみんな「みー」と呼ぶ父。
父にとって「先生」は
「みー」同様便利な言葉らしい。
<カーキ色>
私がカーキ色の上着を着ていたら、
「そんな国防色の服着て、
どこの防空演習に行くんや?」
と父が言った。
本気で言ったのか?
ジョークだったのか?
<大相撲>
相撲が大好きな父は
相撲放送が始まるとテレビの前に座って
じっと取組みを見ている。
私:「オトーチャン、豪栄道はまだ?」
父:「どやったかいな?」
私:「次はだれの取組み?」
父:「さあ誰やったかいな?」
私:「どっちが勝ったん?」
父:「どうやったかいな?
どっちかが勝ったみたいやで~」
そらそやろ!!!
<宵っ張り>
11時前に父が私の部屋に来て、
「まだ寝えへんのんか?」と言った。
「まだもうちょっと起きてる」と私が答えたら
「12時頃まで起きてるんか~」
と驚いていた。
ホンマはいつも2時頃まで起きていることは
言わなかった。
こういう時は、多少ボケてくれている方が
助かる宵っ張りな娘でした。
<毛糸の帽子>
父が毛糸の帽子を被るようになった。
「箪笥の奥からこんな帽子が出て来てん。
誰がくれたんやろ?」
と父が私に尋ねた。
あんなオトーチャン、
それは私がオトーチャンの誕生日に
プレゼントした帽子やで!
<引き戸>
生協の個配の配達日を
けっこう楽しみにしている父。
配達の日は玄関の引き戸を
ちょっと開けて配達の人を待っている。
私が用事で戸を開閉すると、
「ちょっと開けといて」と父。
私が少し開けると、
「もうちょっと閉めて」と父。
閉めると、
「やっぱりもうちょっと開けて3センチほど」
と再び父。
開けておく何センチかに
何の意味があるのか私にはわからない。
<風呂上がり>
お風呂から出てきた父が、私に言った。
父:わしの先に風呂入ったんは、おまえか?
私:うん、なんで?
父:排水口に髪の毛がいっぱい
溜まってたがな!!
叱られると思って、
謝ろうとする私に父がひとこと言った。
父:もったいない!!
<パラリンピック>
父が、パラリンピック関連の番組を見ていた。
私:パラリンピック?
父:ん?ああ、それは、この前、
薬局で買ってきてもろた。
私:…????
父:ちごたかいな?(違ったかな)
私:薬局??
父:ほれ、入れ歯ひっつけるやつと
ちごたかいな?
私:それは、「ポリグリップ」!
「パラリンピック」と「ポリグリップ」、
オトーチャン、全然、違うやんか~
・・・・・オシマイ・・・・・
(2017年11月8日~11月16日)
私の父はごく普通のおじいさんですが、 70歳で立命館大に合格しました。単位取得に苦労し、 卒業には4年半かかりましたが、 無事に卒業しました。実は、父が69歳で初受験した時は 不合格でした。 でも、父は諦めませんでした。 本書には父の立命館大入学のことも 書いています。
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