掌編小説『もうどのように見えるかなんて気にしない!』

善子は真面目な

優等生タイプの女の子でした。

いつも取り澄まして

自分の素直な願望に蓋をしていました。

 

例えば、「可愛く見られたい」

「モテたい」

「誉めて欲しい」等々、

本当は禿げるほど真剣に考えているのに、

「そんなことは全然考えていません」

とばかりに取り澄ましていました。

 

若い女の子にとってそのような願望は

ごく素直な自然な願望です。

それなのに善子は

そういった願望を

素直に行動に移せる女の子がいると、

ものすごく反感を感じて、

 

「なんてかっこ悪いの!

私はそんなことしないわ!」

と毛嫌いしていました。

 

でも、それは嫉妬以外の

何ものでもありませんでした。

善子は自分が自意識過剰で人目ばかりを

気にして格好をつけていることに

気が付きませんでした。

 

でも、実際のところ、

まわりの人は善子が思うほど

善子に関心なんてないのです。

 

善子は虚しく何十年も

そういう生き方を続けてしまいました。

まわりからは

 

「謙虚で控えめなのにしっかりしている」

「頼りがいがあるいい人だ」

と言われました。

 

でも、いつも心には、

大きな空洞があるのを感じていました。

 

ある日、どうしてもそんな生き方が

息苦しくて耐えられなくなりました。

 

とても怖かったのですが、

善子は自分と向き合って

自分の願望に素直になりました。

 

文学少女だった善子に見えて来たのは

作家になりたい夢でした。

 

今から始めるなんて遅すぎる!

才能なんてないのに!

私の作品なんて誰も読んでくれないわ!

売れるわけない!

 

ネガティブな発想で

心がいっぱいになりました。

でも、やりもしないで

今以上に年をとって、

何もできないまま死んでしまうのは、

絶対に耐えられないと思いました。

 

20代でも、30代でも、40代でも

「今から始めるのは遅すぎる」

と思い込んでいました。

 

才能なんてあるかないか

作品を書いてみないとわからない。

作品を発表しなければ誰も読めない。

 

売る努力をする前から

売れないからと決めつけるなんて

言い訳以外の何ものでもありませんでした。

 

「とにかくやってみよう、

どんなにかっこ悪くてもいいから」

と思いました。

 

人にどう思われるかばかりを気にして

生きて来たので、

自分の願望を素直に行動に移すのに

ものすごく勇気が必要でした。

 

でも、善子は投稿サイトに作品を発表し、

自分の本を出版し、

ブログやSNSで本の宣伝をしました。

 

善子は作家になったのです。

 

作家と名乗ることに

抵抗が無かったわけではありません。

でも「誰に向けて何を書きたいのかを考え、

地道に発信を続け実績を作るだけだ」

と善子は考えるようになりました。

 

善子は今日も作品を書いて

ブログやSNSで発信し、

名刺やセルフマガジンを持って

 

「古川善子です。

エッセイや小説を書いています。

よろしくお願いします」と挨拶します。

 

もうどのように見えるかは気にしません。

自分の素直な願望に

蓋をするのは止めたからです。

 

・・・・・・・・・・<完>・・・・・・・・・・

 

*鬱・夫の死を克服した作家&

インナーチャイルドカードセラピスト

村川久夢(むらかわ くむ)

 

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