一番素敵なクリスマスプレゼントは何でしょうか?~『賢者の贈り物』に寄せて~

みなさんはオー・ヘンリーの

『賢者の贈り物』をご存知ですか?

 

<あらすじ>

 

愛し合う若く貧しい夫婦の

ジムとデラが主人公です。

貧しい二人はクリスマスプレゼントを

用意することができません。

 

美しく長い髪が自慢のデラは、

髪を切って売り、

ジムの宝物の金時計に合う金鎖を

買います。

 

一方、ジムはデラの美しい髪を飾る櫛を

買うために金時計を売ってしまいます。

 

お互いに相手の喜ぶ顔を期待して、

プレゼントを交換した二人は・・・

 

 

*****

 

このような粗筋でした。

子どもの頃、

初めてこのお話を読んだ時、

私は悲しくて泣いてしまいました。

 

今は大人になったので、

愛する夫を喜ばせたい

愛する妻を喜ばせたい、

二人の愛を理解出来るのですが・・・

 

もし私がデラだったら、

夫が大事にしている金時計を売って、

自分に櫛を買ってきてくれたら、

素直に喜べるだろうか?

 

もし、私がジムだったら、

妻が自慢にしている髪を売って買った

金鎖を喜んで使えるだろうか?

 

自分の大切なものを犠牲にしても

愛する人を喜ばせたい。

美しい行為に見えますが、

行為を寄せられる立場はどうでしょう?

 

愛する人に犠牲を払わせたことに、

胸が痛むのではないでしょうか?

私はそのように感じました。

 

貧しくとも愛し合っているジムとデラ。

特別な物なんて必要ないと思います。

クリスマスと言う特別な日を

貧しくとも穏やかに

共に過ごすことができる。

これ以上のプレゼントがあるでしょうか?

 

でも、オー・ヘンリーは『賢者の贈り物』を

以下のように締めくくっています。

 

 

【東方の賢者は、ご存知のように、

賢い人たちでした ――

すばらしく賢い人たちだったんです

―― 飼葉桶の中にいる御子に

贈り物を運んできたのです。

東方の賢者がクリスマスプレゼントを贈る、

という習慣を考え出したのですね。

 

彼らは賢明な人たちでしたから、

もちろん贈り物も賢明なものでした。

たぶん贈り物がだぶったりしたときには、

別の品と交換をすることができる

特典もあったでしょうね。

 

さて、わたくしはこれまで、

つたないながらも、 アパートに住む

二人の愚かな子供たちに起こった、

平凡な物語をお話してまいりました。

二人は愚かなことに、

家の最もすばらしい宝物を互いのために

台無しにしてしまったのです。

 

しかしながら、今日の賢者たちへの

最後の言葉として、

こう言わせていただきましょう。

 贈り物をするすべての人の中で、

この二人が最も賢明だったのです。

贈り物をやりとりするすべての人の中で、

 この二人のような人たちこそ、

最も賢い人たちなのです。

世界中のどこであっても、

このような人たちが最高の賢者なのです。

彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。

(『賢者の贈り物』 結城浩訳 より)

 

 

『賢者の贈り物』の物語を

クリスマスプレゼントとして

私からあなたに贈りたいと思います。

 

*『賢者の贈り物』

(オー・ヘンリー作 結城浩訳)

 

 

 

 

 

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