幼い頃、私は同居していた祖母の昔話を聞くのが大好きでした。
当時、家にテレビはありましたが、カラフルな絵本も子どもが喜ぶようなおもちゃもなかったのです。
そんなこともあり、私は祖母の昔話を聞くのがとても好きでした。祖母は尋常小学校しかでていませんでしたが、腕のいい髪結いだったので、世の中のことをよく知っていました。

▶祖母の昔話~刀を差したお侍さん
①時代を超えた物語と想像力の訓練
祖母は明治24年生まれ、考えてみると、明治維新から24年しか経っていない頃に生まれたのです。曾祖母は幕末の文久2年の生まれでした。江戸時代です!
祖母の話の中では、着物に刀を差して丁髷(ちょんまげ)に髪を結ったお侍さんが、京都の町を歩いていました。祖母に「もっと話して」とねだったこともぼんやり覚えています。
今考えると、祖母の話だけでお侍さんの姿を思い浮かべる、想像力を養う絶好の訓練を受けていたのです。

②お月様と「命」の哲学
銭湯の帰り道、私が「お月さんがついてきはる」と言うと、祖母が「お月さんでは、うさぎがお餅をついているんやで」と祖母が教えてくれました。本当にうさぎがお餅をついているように見えました。
祖母が「お月さんには、まんまんさん(仏様)がいはる」と言って、二人で月に手を合わせたことも覚えています。
祖母は「おくどさんには、火の神様がいてはるし、お尻を向けたらあかん」「お米の一粒一粒に仏さんがいてはるし、粗末にしたらあかん」と言って、お茶碗にご飯が一粒も残らないように食べるように教えられました。
③「形式」を超えた祖母の深い知恵
祖母は、あまり信仰心がなくて、「仏さんは、『ほっとけ』や」と罰当たりな事を言って、お仏壇にお仏飯やお花をそなえるのは、お坊さんが来られる時だけでした。
祖母は仏壇には淡泊でしたが、道具や食べ物の中に「仏さんがいてはる」と語り、命あるものすべてへの敬意を忘れませんでした。
形式よりも、目に見えない存在への思いやり。その姿から私は、信仰とは「祈る形」より「生きる姿勢」なのだと感じました。
祖母の話と知恵は、私に人として守るべきことや、善悪を判断する心の基準を教えてくれたのです。
▶七並べの「破産」ということばが恐ろしかった
私は、このようにして想像性や感受性が豊かになったのだと思います。
しかし、この研ぎ澄まされた想像力と感受性は、時に私に強すぎる恐怖や痛みを伴う『影』ももたらしました。
でも、ちょっと過敏になってしまい、トランプ七並べの「破産」ということばが、ひどく悲しく恐ろしいことばとして、幼い私に響きました。
「破産」ということばを聞くと、両親と私と弟が、ボロボロの服をきて、七条大橋のたもとに立っている姿が想像されて、私は七並べが嫌いでした。
▶救いのない光景~傷痍軍人の姿
子どもの頃、両親に連れられて伏見稲荷神社に初詣に行きました。
その時、伏見稲荷の参道に傷痍軍人が二人。一人は膝から下がなく、手も片方がなく、四つん這いになって、もう一人の人がアコーディオンを引いて、お金を恵んでもらっていました。
私は、それが悲しくて哀れで、傷痍軍人の姿を見ると、怖いものでもみたように、父や母の後ろに隠れました。
初詣の伏見稲荷神社の人混み、市電も満員で、その上、傷痍軍人、私は初詣が大嫌いでした。
私が子どもだった、昭和30年代から40年代初頭、戦争で深い傷を負った方々の姿はまだ身近に存在していました。
幼く過敏な私にとっては、その光景は戦争への恐怖と傷を負った人びとへの悲哀を伴うものでした。
私の感受性と想像性が、残酷な現実と直面した結果として生じた、非常に深く重要な心の体験だったのだと思います。

▶現実を生き抜く人々の尊厳
私が傷痍軍人におびえていると、父が「戦争で傷を負わはったのは気の毒やけど、戦争で傷を負っても、ちゃんと働いて生きてはる人もいはる。悲しまんでもええ」と言ったことも思い出しました。
その時、並んで歩いている父がとても大きくて、つないでいる手がとても温かくて安心でした。父は、悲惨な現実の中にも、懸命に生きる人々の「尊厳」を、幼い私に示してくれたのです。

▶感受性と想像性が痛みと真の優しさを教えてくれた
祖母の昔話は、私に世界を想像して深く感じる力をくれたのです。
その力は時に「破産」ということばや「悲惨な現実」を目にする時、痛みも伴いました。
でも、その痛みがあったからこそ、痛みを生み出すものを想像し考え、他者の苦悩に寄り添い、懸命に生きる人々への敬意を持てるようになったのです。
豊かな感受性は、傷つきやすさと表裏一体。しかし、それは人生の奥行きを知り、真の優しさを持つための大切な贈り物だと思っています。
あなたもお子さんやお孫さんに昔話をしたり、読み聞かせをしたりしてみませんか? あなたの話が、子どもたちの想像して考える力や感じる力を育んでくれますよ。
(祖母の昔話が育んだ感受性と想像性~痛みと本当の優しさ:村川久夢)

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