高市早苗総理率いる自民党の圧勝や、それにともなう憲法改正の議論を見ていて、私は不安を覚え、今までになく「自分ごと」として政治を考えるようになりました。

正直に言えば、私は自民党という組織に対しては、汚職や大企業との癒着、大企業優先の姿勢など、根強い不信感を持っています。
一方で、高市早苗総理が掲げる「国民の生活を本気で守る」という熱意や具体的な政策は一定認めています。
しかし、自民党が圧倒的な議席を持ち、いよいよ「憲法9条の改正」が現実味を帯びてきた今、私の心には強い不安が広がっています。
▶二つの「恐怖」の間で
私が今感じているのは、二つの異なる恐怖です。
1、「外からの恐怖」
他国に攻撃されたり、侵略されたりすること。
私は、昭和3年生まれの父から太平洋戦争中(第二次世界大戦中)のことをよく聞かされました。
当時、物資不足でまともな食事が食べられなくて、雑草やイナゴまで食べたと言っていました。また、燃料がなくてお風呂に入れず、みんな頭にシラミがわいていたことなども。
教員時代に長崎で語り部さんから原爆の被害を聞きました。

当時、10歳だった語り部さんは、原爆で両親を亡くし、身を寄せた叔母さんも白血病で亡くなってしまったそうです。
後に被爆した小学校の写真を見て、校門近くで焼け焦げていたのが、おそらく妹だろうと思うとも話されていました。
「私は若い頃、悪かったんです。よその畑や店からものをかっぱらって食いつないでいたんです。そうしなければ、生きられなかったんですよ……」と話されていました。
私は、つらい経験を話して下さった語り部さんに何も言えませんでした。
2、「内からの恐怖」
日本がまた、国際紛争で誰かを傷つけたり、戦争に加担したりすること。
教員時代、韓国ソウルにある西大門刑務所歴史館を訪れたことがありました。独立運動家が拷問を受け、処刑された痛ましい歴史を持つ場所です。

独房や拷問室、ろくに裁判も受けさせずに絞首刑を執行した死刑場、物のように遺体を運んだ通路などを見学しました。
「なんでこんなに恐ろしく酷いことができたんやろう……」と恐怖で震えたことを覚えています。
日本語ボランティアの方に説明を受けていた私は、韓国の方の視線が突き刺さるように感じました。
▶父のことばが教えてくれたこと
私が忘れられないのは、父のこんなことばです。
「戦争はある日、突然、飛行機が爆弾を落とすのではない。教育や思想がだんだんおかしくなるんやで……」
当時17歳で敗戦を迎えた父は、国全体が少しずつ、目に見えない形で「操作」されていった恐怖を肌で感じていたのです。
今の日本も、もしかしたら当時のように、私たちが気づかないうちにどこかへ誘導されているのではないか。そう思うと、背筋が寒くなります。
昨年の「終戦の日」に私は父が話してくれたことを下記ブログにまとめました。
*【終戦の日に寄せて】自分の頭で考える力~父が語った戦争の記憶に学ぶ
軍国教育を受け、大本営発表と現実の差を肌で感じていた父。
その父が一番恐れていたのは、爆弾そのものではなく、「人々が自分の頭で考えることをやめ、大きな流れに飲み込まれていくこと」でした。

今、憲法改正という大きな節目を前に、私たちはその「じわじわと変わっていく流れ」の入り口に立っているのかもしれません。
▶私たちが今できる3つのこと
政治家のことばは時に力強く、魅力的です。
でも、勢いや熱意にただ「踊らされる」のではなく、自分の足で立ち、自分の目で現実を見極めるために、私は次の3つのことを大切にしたいと考えています。
1、「極端なことば」から一歩引く
「これをしないと日本は滅びる」
「これさえ変えれば平和になる」
そんな、恐怖をあおることばや極端な二択には注意が必要です。世の中には必ず「別の見方」があります。
情報を鵜呑みにせず、「なぜこの人は、今このことばを放ったのか?」と背景を想像したり、事実関係を調べたりするようにしています。
2、「感情」を揺さぶられたときこそ、立ち止まる
人の心は「思想」によって少しずつ形作られます。怒りや不安で胸がいっぱいになった時は、誰かの「操作」を受けやすい状態だと思うのです。
一度深呼吸をして、客観的な事実(数字や歴史的な経緯)を調べる冷静さを持ちたいと思います。
3、「最後の一票」は自分が持っていると自覚する
どんなに巨大な政党であっても、憲法を変えるには最終的に私たちの「国民投票」が必要です。
政治家にすべてを任せきりにせず、改正案の「一文字一文字」が私たちの未来をどう変えるのか、読み解く努力を諦めないこと。
戦争は、無関心と盲信から始まります。父が教えてくれた「自分の頭で考える力」を、今度は私が、私の責任で守っていきたいと思います。
▶無関心の先にあるのは戦争
戦争は無関心から始まり、偏った確信によって加速します。
「自分にはわからないから」「どうせ何か言っても現実は変わらないから」と目を背けず、かといって誰かのことばを鵜呑みにもせず、事実を見つめ、考えること。
それこそが、私たちが今できることなのだと私は感じています。

(自民党圧勝に不安を感じる~憲法改正論議と私の立ち位置~:村川久夢)

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