父のいないお正月~白みそ雑煮と家族の記憶

 

元日の朝、父は白みそ雑煮を一口食べると「ああ、美味しいな~お正月の味やな」と言っていました。その姿を今年はもう見ることができません。

 

父は生粋の京男、京都の白みそのお雑煮がとても好きでした。わが家では、毎年、お正月に家族そろって「おめでとうさん」を言って、白みそのお雑煮を頂いていました。

 

笑顔で白みそ雑煮を食べる父

 

父がお餅を喉に詰まらせないように、私が小さく切ったお餅を入れたお雑煮を食べていた姿が、懐かしく思い出されます。昨年、父は施設でお正月を迎えましたが、私と弟は二人でお雑煮を頂き、新年を迎えました。

 

父は今年の9月、96歳で亡くなりました。私たちは、父がいない初めてのお正月を迎えます。弟も私も、改めて父の存在の大きさを感じています。

 

 

元日の朝、父は白みそ雑煮を一口食べると「ああ、美味しいな~お正月の味やな」と言って、おかわりをして食べていました。

 

父も私も大好きな白みそ雑煮

 

父は昭和一ケタ世代だからか、私の作った料理をあまり褒めてくれませんでした。でも、白みそのお雑煮は「美味しい!」と言って、おかわりをして食べていたのです。

 

何年か前にニュースで、餅を喉に詰まらせて救急搬送されたり、亡くなったりする高齢者が正月に急増することを知りました。予防するには、まず餅を小さく切って食べやすくすることも報道されていました。

 

それ以来、お雑煮を頂く時は、私が父のお雑煮のお餅を切っていました。お雑煮を食べながら、父がお餅を喉に詰まらせていないかを気にしたものでした。

 

私も父と同じで、京都の白みそ雑煮が大好きです。「新年は弟と二人でお雑煮やな」と思っていたのです。

 

ところが、弟は「おせちはいらない。お雑煮もお姉ちゃんが食べたかったら作って、僕はどっちでもいい」と言うのです。

 

父がいる時のお正月は、弟も「おせちはいらない」なんて言いませんでした。白みそ雑煮を囲むことが、家族の当たり前だったからです。

 

それが今年は、「お雑煮もどっちでもいい」と言われ、90歳を過ぎて幼い子どものようでも、父が家族の中心だったことを改めて感じました。白みそ雑煮を囲む温かな時間は、父がいたからこそ家族の形を保っていたのだと思います。

 

 

私たちが子どもだった頃、滋賀県にある母の実家に行くと、祖母が母にこう言いました。「今をよ~う味わっときや。子どもが大人になって家を離れたら寂しいもんやで……」と。

 

私は生まれた時から、父方の祖父母と同居していました。祖父母も両親も「家族団らん」をとても大切にしていました。私は、そんな家族が窮屈に感じることもありました。

 

私は60代半ばになっても、幸い夢中になって打ち込めることがあり、一人の時間を寂しいとは感じませんが、昔は窮屈で束縛のように感じた家族と過ごした時間が、貴重だったことを今は実感しています。

 

 

母は17年前に、私の夫も15年前に亡くなり、父も96歳まで長生きしましたが、今年の9月に亡くなりました。今は弟と同居していますが、お互いに独り身で子どももいません。私の家族は弟一人だけになったのです。

 

 

最近、よく家族の夢を見ます。父や母、夫、時には祖父母まで登場する夢です。黄泉の国に旅立った家族が、昔のままの姿で私を訪れてくれるのです。父や母、夫、そして祖父母たち……。家族の姿が懐かしく恋しく思えるのです。

 

あなたにとって、お正月の味や思い出はどんな形をしていますか?

 

お雑煮やおせち、お正月の恒例行事––その中に、大切な人との時間が刻まれているのではないでしょうか?

 

 

一人の時間も家族と過ごす時間も、それぞれ大切に味わえる一年にしたいですね。

 

 

 

 

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