【傷ついた幼い自分】何でもダメって言わないで欲しかった

１

これは昔からあるビスケット。でも、私は子どもの頃、このありふれたビスケットを「絶対に」買ってもらえなかった。そう、絶対に……。

同居していた父方の祖母が、許さなかったからなのです。祖母は「質素倹約は美徳」「贅沢は卑しい」と頑なに信じていました。

でもこのビスケットは、高級ビスケットなんかではなく、スーパーやコンビニで買える、ごく普通のビスケットです。でも、祖母の基準では贅沢なのです。

私が祖母から与えられたビスケットは、たくさん入っているのと、安いのだけが取り柄の、美味しくない割れたビスケットでした。

祖母が私にくれるおやつは、徳用の割れたかき餅、徳用の割れた八ツ橋、徳用の割れたビスケット、色つき水かと思うほど水で薄めた善哉、子どもがわくわくするお菓子はありませんでした。

祖母は「絶対」でした。

頑固な祖母は、どんなにねだっても「絶対」に買ってくれませんでした。祖母は一家の権力者だったので、父も母も祖母には逆らえず、私の願いを聞いてくれませんでした。一事が万事そうだったのです。

２

その結果、私がどうなったかと言うと、私は人に期待することをすべて諦めてしまったのです。

割れたかき餅、割れた八ツ橋、まずいビスケット、色つき水の善哉を、私は黙って食べました。諦めることと、我慢することが私の性質になってしまったのでした。

昔ながらのありふれたビスケットをスーパーで見かけて、私は引き寄せられるように買いました。

「あの時、買ってほしかった。食べたかったこともあるけれど、願いを聞いてほしかった！　何もかも諦めて我慢するまで、押さえつけないでほしかった！―」

私の中で突き上げるような激しい感情が湧き上がりました。

幼い頃に刷り込まれたことは、なかなかなおらないのです。私は、後々までも自分の中にある諦めと、我慢する癖に悩まされたのでした。

３

でもね、人生の折り返し点を越えた頃、私は不思議なカードに出会ったのです。おとぎ話や童話をもとにした絵が描かれているとっても綺麗なカードなんです。眺めているだけでも癒やされ、心がなごみました。

そのカードを眺めながら、幼い私に「どうしてほしかったの？　何がしたかったの？　何が悲しかったの？　何が悔しかったの？―」と尋ねてみたのです。

私は、カードのおかげで、私の中にいる幼い私と会話できるようになったんです。

初めは胸が締め付けられるように感じて、涙が流れたりしました。私は、幼い私の気持ちをとことん聞いてあげたのです。「もう諦めないで！　もう我慢しないで！　あなたには私がついているから！―」って言ってあげたのです。

今まで蓋をして、その声を聞いてあげなかった幼い日の傷ついた私の声を聞いて、してほしかったこと、したかったことを叶えてあげたのです。

すると、不思議なことに、今の私の心が少しずつ少しずつ軽くなったのでした。何でも諦めて、何でも我慢する私の癖から、私は自由になることができたのでした！

　カードに出会ったことで、心を解放できたお話でした。

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