「お豆さん」「お日さん」「おはようさん」等々、京都では食べ物や自然、果てはあいさつまで、「お」や「さん」を付けて丁寧に呼びます。温かみのあるやさしい言葉ですが、その歴史や背景を調べると京都人の気質も理解できたのでした。
<お豆さん、お芋さん、おたまさん>
京都人は様々なものに「お」や「さん」をつけて呼んでいます。思いつくままあげてみました。
お豆さん、おたまさん(卵)、お稲荷さん(いなり寿司)、お揚げさん、おくどさん(かまど)、お月さん、お星さん、お東さん(東本願寺)、お西さん(西本願寺)、おはようさん、おまっとうさん(お待ち遠様)、他にもいろいろあると思います。
温かみがあって優しく響くと思っていても、あまりにも自然に使っているので、なぜ「お」や「さん」をつけるのかについては、考えたことがありませんでした。
いろいろ調べてみて、京都で「お」や「さん」を様々なものにつけることが多いのは、御所言葉の接頭敬辞の「お(御)」、接尾敬辞の「さん」に由来することを知ったのでした。
<雅やかな御所言葉>
御所言葉とは宮家や公家に仕えた女房(女官や侍女)らが用いた言葉で、「御所言葉」は「女房言葉」ともいうのです。「お○○」という丁寧語も、御所言葉が由来とされています。
最初に「さん」付けしたのは食物ではないかと推察されているようです。女房たちは、皇族や公家が「召し上がる」ものを自分たちの食物と区別し、敬意を示し別の呼び方をしたのではないかと考えられているのです。
これが次第に庶民にも広まったのではないかと考察されているのでした。
<町方ことば~先人のプライド~>
また、京ことばはは、「御所ことば」(女房ことば)と庶民が使う「町方ことば」の2つがあったそうなのです。また「町方ことば」も西陣などの職人のことば、中京の商人のことば、祇園などの花街のことば、八瀬、大原、高雄、桂などの農家のことばがあるようです。
伝統工芸の技を磨き伝えて来た職人たちも、皇室や将軍家の御用まで勤めた商人たちも、京都の伝統野菜を守り伝えて来た農家の人たちも、技芸を磨いた花街の人たちも、慎ましやかで控えめに見えても、プライドが高かっただろうと思います。
京都の先人のプライドが、京ことばに表れているのでしょう。
<笠に着るのではなく>
食べ物や自然、果てはあいさつまで、「お」や「さん」を付けて丁寧に呼ぶ京ことばの、温かみのあるやさしい響きが好きです。でも改めて、京ことばの歴史や背景を調べると、その長い歴史や奥深い背景に驚きを感じました。
しかし、京ことばの歴史や背景を調べながら、京都人としていただけない京都人気質も感じました。長い歴史を守り伝統を伝えて来たことは、大変尊重すべきことだと思います。でも、それを笠に着て他人を見下す京都人が少なくないことは、一人の京都人として残念に思います。
言葉は生き物なので、時代とともにどんどん変化します。御所言葉の雅やかな響きを受け継いだ「お」や「さん」の温かみのあるやさしい響きの京ことばは、残って欲しいなと感じました。
これからどんなふうに京ことばが変化して行くのかわかりませんが、歴史や伝統を笠に着るのではなく、京ことばに表れた先人の思いを大切にしたいです。
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<参考記事>
*お豆さん・天神さん…関西人はなぜ「さん」付けが好き?(日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西)
*「京都の暮らしことば~おいど~」(オンライン辞書・事典検索サイトジャパンナレッジ)
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