友だちとお弁当を食べていて、「このお弁当『しょうびん』やね」と私が言うと、「『しょうびん』ってどういう意味?」と友だちが尋ねました。「しょうびんな」と言う京ことばをご存知ですか?「しょうびんな」を始めとして、消えゆく京ことばについて紹介します。
<「しょうびんな」とは?>
「しょうびん(な)」は「思っていたより小さい・貧相な」と言う意味の京ことばです。「思っていたより小瓶(しょうびん)だった」→「思っていたより小さい」→「貧相な」になったのかな?と想像していましたが、違うようです。京ことば辞典によると「しょうびんな」は少分のなまりで、その転義でした。
尋ねた友だちは奈良県人で関西人です。その時、「しょうびん(な)」は、けっこうコアな京ことばなんだと感じました。
<聞かなくなった京ことば>
「しょうびんな」は、生きていたら130歳になっている京女の祖母がよく使っていました。祖母がよく使っていた京ことばで、最近はあまり使わなくなり、耳にすることもなくなった言葉がいくつか思い出されました。
【どくしょな】
「どくしょな」は、私が横着なことをしたり、行儀の悪いことをすると、祖母が「そんな『どくしょな』ことして、ほんまにこの子は『どくしょな』子や!」と言って「どくしょな」と言う言葉を使っていました。「どくしょな」は漢字で書くと「毒性な」だそうです。ほとんど聞かなくなりました。
【こうつと】
「こうつと」も使わないし聞かなくなった言葉ですが、祖母は口癖のように「こうつと」と言っていました。漢字で書くと「甲乙と」、「さてと」のような意味です。
【おやかまっさん】
「おやかまっさん」は、「お邪魔しました」の意味で、「やかましくして(騒がしくして)すいませんでした。失礼します」のようなニュアンスがありました。
私の祖父母の世代は使っていて、孫世代の私は耳にした言葉ですが、京都生まれで京都育ちの若い友人(私の子ども世代)は、上のどの言葉も聞いたことがないと言っていました。
<時代とともに変化>
言葉は生き物なので、時代とともにどんどん変化するのだなと感じます。京ことばももとは、お公家さんが使う「御所ことば」と庶民が使う「町方ことば」の2つがあったそうですが、この2つが混ざり合い、変化しながら、現在の京都弁になったそうです。
私はごく普通の京都庶民ですが、京ことばの尊敬語系の表現が優しく聞こるので好きです。「来ゃはった」「食べはった」「言わはった」等々。その他には、一般的ですが、「おおきに」「かんにんしてな」「さいなら」も好きでよく使っています。
これからどんなふうに京ことばが変化して行くのかわかりませんが、「~しゃはる」系の京ことばや、「おおきに」「かんにんしてな」「さいなら」は使われ続けて欲しいなと思います。
そしてまた、「京都の庶民はこんな京ことばを使っていたこともある」と言うようなことも、書き記して置きたいなと思います。
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