皇居・桜田門と井伊直弼~歴史の流れの中で個人ができることは?

先日、東京三泊四日の旅で最後に訪れたのは皇居でした。午後7時ごろ、タクシーで皇居の周りをぐるっと回っただけですが(笑)

暗くなっていたので、皇居はほとんど何も見えませんでしたが、ライトアップされて美しく映える門がありました。運転手さんが「これが桜田門ですよ」と教えてくれたのです。

その時は、タクシーの窓を開けさせてもらって、写真を撮っただけでした。

皇居「桜田門」

でも、京都に帰って、桜田門の写真を見ていて、「桜田門外の変があった場所やな……」としみじみ思ったのです。

皇居桜田門と井伊直弼に思いを巡らせ、歴史の流れと個人の生き方を考えた記事です。

 

桜田門外の変は、歴史の教科書で習った記憶があるくらいでした。

でも、母の実家が滋賀県米原で、中学生のころ、従姉に連れられて井伊家の居城彦根城を見学に行ったことを思い出したのです。

当時の米原は、新幹線が停まるだけで、本当に何もない田舎でした。東海道線で京都から米原に行く、一つ手前の彦根も田舎だろうと想像していたのです。

でも、彦根は彦根城をいただく、趣のある城下町でした。

 

彦根は趣のある城下町だった

 

彦根城は、お掘りからお城にたどり着くまでかなり歩き、はしごのように急な階段を登ってやっと天守閣につきました。小さな窓から琵琶湖の青い湖面を見た記憶が蘇ったのです。

 

国宝「彦根城」

また、井伊直弼が青年時代を送った埋木舎(うもれぎのや)も見学しました。

直弼は藩主の十四男として生まれたので、生活費として三百俵の被進米(まいらされまい)を給せられて、慎ましく質素な生活を送っていたのです。

 

埋木舎(うもれぎのや)

 

直弼は、文武の修練に精進して、茶道をはじめとする諸芸に造詣深い人物であったことも、ぼんやり思い出されました。

 

井伊直弼や彦根のことはすっかり忘れていたので、国会図書館から梨木坂に出た時、ここに彦根藩井伊家の上屋敷があったことを知って驚きました。国会図書館は井伊家上屋敷の跡地に建てられているのです。

 

国会図書館(左:本館、正面:新館)は井伊家上屋敷の跡地に建てられている

 

井伊家上屋敷から江戸城桜田門までは、わずか徒歩10分ほどなんです。

「え! 江戸城にめちゃくちゃ近いやん!こんな場所に上屋敷があるなんて、彦根藩は有力な大名やたんや!」と。

静かな彦根の城下町や地味な埋木舎と、井伊家の格式や大老井伊直弼の権力が結びつきませんでした。

 

後で知ったのですが、彦根は中山道と北陸道が交わる交通の要衝であり、西国大名を監視する幕府の重要拠点だったのです。

加えて、豊かな江州米(ごうしゅうまい)の産地でもありました。特産品の『近江牛の味噌漬け』は、養生薬として将軍家へ献上されていたほどで、彦根藩がいかに特別な存在だったかがうかがえます。

 

井伊家は、江戸時代を通じて「譜代大名の筆頭」として、彦根藩35万石を領し、幕府の最高職である「大老」を輩出した徳川将軍家を支える最重要の家柄だったのです。

 

東京で桜田門を見たことがきっかけになって、井伊直弼や彦根にむくむくと関心が湧きおこりました。

偶然にも水戸藩士の関鉄之介の視点から桜田門外の変を描いた映画『桜田門外の変』を見る機会がありました。

時代背景は幕末。ペリーの黒船来航により、日本は開国か鎖国かという大きな岐路に立たされていました。

 

 

朝廷の許しを得ぬまま独断で開国を断行した大老・井伊直弼。その強引な政治手法に反対する水戸藩士らが脱藩して浪士となり、江戸城・桜田門の外で彼を待ち伏せて襲撃したのが『桜田門外の変』なのです。

映画では桜田門外の変以後のことが中心に描かれていました。映画の中で「井伊直弼の首を取って、一体なにが変わったんだ!?」というセリフがあり、私はハッとしたのです。

『桜田門外の変』は圧倒的な迫力で私を惹き込み考えさせる映画でした。

見終わって感じたことは、「権力者を暗殺してもなにも変わらない。むしろ余計にたくさんの犠牲者を生んでしまうのだ……」でした。

 

映画を見た後、「歴史の大きな流れの中で、個人はなんて無力なんだろう……」と少し虚しくなりました。暗殺や戦争で世の中がよくなるとは到底思えません。

 

清流を取り戻した鴨川

 

その時、ふと、高度経済成長期に工場廃水で汚染された鴨川が浮かびました。あの頃、小学生だった私は、世界は公害で滅びるだろうと思っていたのです。

でも、現在の鴨川は清流を取り戻し、鮎が生息しています。

鴨川が汚染されていた頃、鴨川の河原を掃除する人が現れたのです。とても小さな力でした。

でも、その輪が少しずつ広がり、大きな運動になって、鴨川に清流を取り戻せるように、自治体や国を動かしました。

結局、世の中をよくするために動かすのは、最初は小さな個人ではないでしょうか? 諦めたり、投げやりになったりするのは簡単ですが、虚しいですよね。

今の生活をよくするために、世の中を直視して、自分にできることに一生懸命に取り組む。それが始まりだと私は感じます。

桜田門から、桜田門外の変、井伊直弼、映画『桜田門外の変』と繋がって、私が得た気づきでした。

(皇居・桜田門と井伊直弼~歴史の流れの中で個人ができることは?:村川久夢)

 


 

 

 

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