西本願寺献菊展~阿弥陀如来さまへの菊と短編小説『菊』

晩秋の少し冷たい空気や快い快晴から、ふと菊を連想しました。

献菊展:盆栽「みかど」

西本願寺は毎年11月に献菊展を開かれていることを思い出しました。丹精を込めたみごとな菊が展示されている献菊展に行ってみようと思い立ったのです。

献菊展は「菊香る」という季語にぴったりの行事です。

 

西本願寺の献菊展は、単なる花の展示というだけでなく、古くからの法要の歴史と深く結びついています。

 

献菊展案内板と金の灯籠

 

西本願寺の献菊展は、大きく分けて三つの流れを汲んで、現在の形になったと言われています。

 

《献菊展の歴史と流れ》

①本願寺籠花(かごはな)

江戸時代以前から行われていた「本願寺籠花(かごはな)」という行事です。

寺院や御堂衆(お堂での仏事に従事する僧侶)が、それぞれ趣向を凝らしたデザインの花(主に四季の草花)を持ち寄り、御堂や書院の縁側に飾って、美しさを競い合うものでした。

ところが、この「籠花」の行事は、明治時代初めに一度廃止されてしまいました。

 

献菊展に出品されたみごとな菊

 

②京都菊花会

戦前に「籠花」の流れをくんだ「京都菊花会」が秋に菊の展示を始めました。しかし、戦争の影響により、残念ながらこれも途中で中止・廃止となってしまいました。

③献菊展

「戦後しばらく中断した後、昭和29年(1954年)に、第23代ご門主の勝如上人のお誕生日に合わせて、菊の展示が再開されました。

現在の献菊展は秋の法要に合わせて開催される「献花」、つまり阿弥陀如来さまへのお花のお供えとして位置づけられています。

 

献菊展の展示風景

 

私は「菊香る」という季語が大変気に入り、「菊香る」という俳句ばかり詠んだ時期がありました。「仲の良い姉妹のように菊香る」とか(笑)

 

 

さて、育てられた方の丹精が伝わってくる数々の菊の一部をご紹介します。

 

色とりどりの糸菊

 

以前、献菊展に来て「丹精を込めた糸菊競い咲く」と思わず詠みました。

 

 

絹糸で作られた手毬を連想させる大輪の菊

 

 

 

 

身を寄せ合うように咲いている小ぶりな菊がとても可憐で、晩秋らしい深みのある色だと思いました。

 

 

出展された方々の熱意と愛が込められたたくさんの菊を見ていると、大学時代に読んだスタインペックの『菊』という短編小説を思い出しました。

 


【スタインベック『菊』あらすじ】

『菊』の主人公・イライザは農場経営者ヘンリーの妻として菊を育てながら平和な毎日を送っています。

そんな彼女をその日暮らしの鋳掛屋が仕事をもらおうと訪ねて来るのです。相手にしなかったイライザですが、鋳掛屋が菊に話題を向けると、菊の新芽を持たせて、仕事を紹介してやります。

ところがイライザは、鋳掛屋が新芽を道端に捨てていることに気づくのでした。


 

安定しているけれど夢やロマンのない毎日、内に秘めた情熱を菊にだけ注いでいるイライザ。放浪する鋳掛屋にロマンを感じて託した菊の新芽が、捨てられていたことに、大学時代、胸を傷めたことも少しずつ思い出しました。

後に流行った映画『マディソン郡の橋』が、スタインペックの『菊』と似ているように感じたのでした。

 

深い赤色で玉のような菊

この一途で満たされないイライザの情熱が、20年前に『マディソン郡の橋』の、たった4日間の激しい愛とその後の静かな諦めを連想させたのかもしれません。

どちらも、内に秘めた情熱と、それを受け止める「静寂」の対比に胸を打たれます。

 

 

献菊展の菊は、阿弥陀如来さまに捧げられたものであり、多くの人の目を楽しませ、心を癒していることに、なんだかとてもホッとしました。

 

いつもは御影堂や阿弥陀堂に上がって、仏さまに手を合わせることもない罰当たりな私ですが、今日は御影堂に上がって、親鸞聖人の御真影に手を合わせました。

穏やかで静かな時間が流れ、すべてを受け入れられている安心感に包まれました。

御影堂の南側の廊下に出ると、床に魚を見つけたのです。廊下の木が古くなったり傷んだりした時、大工さんが、遊び心で埋木を魚の形にしたのでしょうか?

 

魚の埋木

菊、スタインペックの短編、魚の埋木、人は何かを創り出したい情熱をうちに秘めているのだなと感じた献菊展でした。

 


【明日への予告】

明日も、この西本願寺で感じた「寛容さ」と「穏やかさ」をさらに深掘りします。なぜ、親鸞聖人の御真影の前でこんなにも安心できたのか? そして、この静寂を生み出す親鸞聖人の教えと、京都人の個性を重んじる文化との繋がりについて考察します。どうぞお楽しみに。

(西本願寺献菊展~阿弥陀如来さまへの菊と短編小説『菊』:村川久夢)

 


 

 

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