Aさんは自分を責める心に悩んでいます。Aさんが自分を責める心から、自由になるキッカケをつかんだお話です。
<「ねばならない」という義務感>
「久夢さんは、いいですね。いろんなことを楽しめて。私はね、楽しむことも『楽しまなければならない』なんです……。自分でも本当にしんどくなります」とAさんは言ったのでした。
Aさんは、ずっと一人で癌を患うお母さんを看護されました。お母さんのことを最優先にして、頑張って来られたのですが、お母さんは1年前に亡くなられたのでした。1年経った今も、お母さんを失った喪失感が酷く、何も楽しめない状態が続いているそうなのです。
そして「ねばならない」という脅迫的な義務感に悩んでいるのでした。
<自分を責める自分>
私と話した日も「今日はお朔日(おついたち)なので、お母さんのためにお経をあげなければいけないのに、お経をあげられませんでした。私はダメな娘なんです」と暗い顔なのです。
私が「そうなんですか?」と尋ねると、Aさんは溜まっていたものを吐き出すように、言葉を続けました。
「お経をあげなくても、別に誰も何も言わないんです。誰かが困るわけではないんです。自分で自分を責めているだけなんです。この『ねばならない』をなんとかしたいのです! もう疲れたんです」と。
<人に言われても納得できない>
「友だちや親戚に『自分を責めてはいけない』と言われます。でも、そんなのわかっているんです。またそこでも『ねばならない』なんです」
Aさんは「ねばならない」がよほどつらい様子でした。
「人にあれこれ言われても、自分が納得できないと気持ちが休まりませんよね?」私が言うと、Aさんは身を乗り出すようにして、「そうなんです!」と言われたのです。
「Aさんはお経をあげられなかったから、自分はダメな娘だと言われましたが、本当にダメな娘ですか? 癌のお母さんのお世話を一人で頑張ってこられたのですよね? それだけで十分にいい娘さんじゃないですか?」と私がAさんに尋ねると、Aさんはとても驚いた顔をされました。
<自分を受け入れる>
「一人娘の私が母の世話をするのは、当たり前だと思っていましたが、確かに一人で大変でした」と言われ、大変だったことを思い出されたのか、Aさんの目にうっすら涙が浮かんだのです。
「お母さんはAさんに一生懸命に看護してもらって、喜んでおられるのではないですか? お朔日にお経をあげられなくても、全く気にされないのではないですか?」と私はAさんに尋ねました。
「本当にそうですよね。私、頑張ってきましたよね?! 今まで自分が頑張ったことを自分で認められていませんでした。そうやわ~私、頑張ったやん!」と最後は独り言のように話すAさんは、さっきまでの暗く硬い表情がほぐれ、明るい表情になったのでした。
<出来たことを数える>
そしてAさんは「私、自分を受け入れていなかったんですね。自分が頑張って来たと思えたら、とても気持ちが楽になりました。自分が頑張って来たということを受け入れられたことが、今日は一番大きいです」と言われました。
「これからは、自分が出来なかったことを数えるのではなくて、出来たことを数えます。そうだ! 紙に書いておこう!」と言って、「自分を受け入れる。出来なかったことを数えるのではなく、出来たことを数える」と声に出しながら、そう紙に書かれたのでした。
<自分を受け入れてハッピーに>
Aさんだけでなく、人は自分が頑張っていることに気づかず、当たり前だと思ってしまうのです。そして、出来ていないことに目が行って自分を責めてしまうのです。真面目な人ほど、そうなってしまうようです。
私もその傾向が強かったのですが、「出来ないこともあるけれど、頑張ったこともある」と自分を認められるようになりました。出来たことに目を向けられるようになったのです。また、出来ない自分も「まあいいか~」と受け入れられるようになったのでした。
今は、とっても気持ちが楽です。あなたもぜひ、どんなに些細なことでもいいので、今日出来たことに目を向けて、自分を受け入れて下さいね。ハッピーな気持ちになれますよ。
【村川久夢ホームページ】
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