【一人にしてごめんな~夫の命日に~】

 

今日は夫の命日です。夫が亡くなって13年の歳月が流れました。死別してからの歳月が、一緒に暮らしていた歳月を追い越そうとしています。

 

<夫の急逝>

13年前、夫は社員旅行先で急逝しました。河口湖と山中湖の間にある温泉宿で、眠っている間に亡くなったのです。

   

夫を迎えに行った時のことは、13年経った今でもハッキリ覚えています。

 

私は夫の兄に付き添われて、山梨県にあるその温泉宿まで行きました。夫は変死扱いだったので、富士吉田警察署に搬送されていました。警察署で検死が済むのを、ずいぶん長い間、待たされました。

  

やっと許可が下りて、私は富士吉田警察署の遺体安置所で、夫と対面しました。想像すらしなかった無言の対面でした。

  

<特注棺桶を予め注文しろ>

その後、葬儀業者が用意した棺桶に夫を安置して、ワゴン車で帰ることになりました。

   

ところが、夫は大柄だったので、業者が用意した棺桶には収まらず、首を無理矢理曲げられて、棺桶に押し込められました。もっと大きな棺桶と変えてくれるように、私が抗議すると、

  

「これが一番大きい棺桶です。これ以上大きい棺桶が必要なら、予め特注の棺桶を注文して下さい」と言われました。

  

強烈な怒りを感じましたが、不慣れな土地で、緊張し疲れていたので、足元を見られた形になったのでした。 

  

<悲しいほど美しかった富士山>

京都を出たのは朝でしたが、夫を引き取り自宅に向かった頃には、日が翳り始めていました。首を曲げて棺桶にいる夫を気づかいながら、私は帰途につきました。車の窓から、美しい夕暮れの富士が見えました。悲しいほど美しかったです。

  

私は言いようのない怒りを覚えました。

   

「何故なんだ! 何故、この美しい夕暮れの富士山を夫は私の隣で見ることができないのか!何故、夫は車の後部で首を曲げて、無理矢理、棺桶に押し込まれているのか!」

  

苦痛なほど長い間、私たちは美しい富士のシルエットを見ながら走りました。

  

やっと富士山が見えなくなり、それからも長い間、車に揺られました。見慣れた京都の街並みが目に入り、自宅に戻って来た時は、心からホッとしました。

 

その後のことは、緊張が途切れて、はっきり覚えていませんが、夫を連れて帰って来た苦しい道中のことは、昨日のことのように思い出せるのです。

  

<一人にしてごめんな>

13年前の今頃、私は夫を自宅に連れて帰って、放心状態でした。頭の中が真空状態で、何も感じませんでした。

    

それから長い間、私は富士山を見られませんでした。映像であっても、画像であっても、富士山を見ると、夫を連れて帰って来た時のことがフラッシュバックするのでした。

   

この文章を書いていると、あの日の苦しかったことが、悪夢のように思い出されます。でも、夫のこんな声も聞こえるのです。

  

「夕暮れの富士山を隣で一緒に見てあげられんで、ごめんな。夕暮れの富士山はきれいやったな。一人にしてごめんな」

  

<信じた道を進んでいるよ>

夫の死から立ち直るのに、ずいぶん長い時間が必要でした。私が立ち直れたのは、インナーチャイルドカードセラピーに出会い、作家になりたい本心を自覚したからでした。そして、一歩一歩自分の夢に向かって歩き始めたからでした。

 

「私は大丈夫!自分の信じた道を進んでるよ。ありがとう。安心してな」

 

夫にはこう答えたいです。

 

作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

 

 

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