【ああ、京都人】ほいろかかる~消えゆく京ことば

最近、モフモフの服は着火しやすくて、衣服に火がついてやけどをする事故が増えているとニュースで見ました。

それを見て、ふと祖母のことばを思い出しました。

私が子どもの頃、ストーブに近づくと、祖母は必ず言いました。

 

「ほいろかかる」と言っていた祖母と久夢

 

「ああ、あぶない! 『ほいろ』かかる!」

当時の私はかなり幼かったので、「ほいろ?」の意味が分かりませんでした。

今思うと、あれは「火の色が移る=焼ける、焦げる、危ない」という意味だったのだと、私は思っています。

 

65歳の私が幼かった頃なので、60年くらい昔の話ですが、当時、わが家の暖房器具は、なんと火鉢でした。

 

 

祖母は明治24年生まれで生粋の京女。明治の京都人がそうであったように祖母は「庶民は倹(つま)しく生きるのが美徳」と信じ切っていたのです。

その祖母が家を仕切っていたので、祖母は炭をケチって少ししか焚いてくれませんでした。

今は「京町家」が人気ですが、京都の町家は半端なく蒸し暑い夏仕様で作られているのです。だから、風通しが良いぶん、冬はすきま風で寒いんです。

そこへ手を温める程度の火鉢しかないので、本当に寒かった記憶があります。

 

でも、祖母は幼い私を気づかって、「でんち」や「かめのこ」を着せてくれました。

「でんち」は電池ではありません。

「でんち(丁子・殿中)」は、袖なしの綿入れ半纏のことなんです。語源は諸説あるようですが、武士が着た「殿中羽織」からきているらしいです。

 

室内なのにもこもこに厚着している久夢(1歳ごろ)

 

「かめのこ(亀の子・亀の子はんてん)」は、背中を重点的に温める、まさに「亀の甲羅」のような形の防寒着です。小さい子どもが動きやすいように、袖をなくして背中と肩をしっかり覆うタイプです。

 

「かめのこ」を着てレトロな絵本を見ている久夢

   

幼い頃の写真を見ると、私は

「イヌイットもびっくり!」

というような厚着をしています。

 

肌シャツを2枚重ねで着て、ブラウスを着て、セーターを着て、その上から「でんち」を着て、時にはまだその上に「かめのこ」を着る。

それだけ厚着をしていた私。祖母は、火鉢の火そのものよりも、「火の色(熱気)」によって綿がじわじわと熱を持ち、焦げてしまうことを恐れたのでしょう。

「ほいろかかる」ということばから、祖母が、火鉢と厚着をした私に、気が気ではなかったことがうかがえます。

 

手には「手っ甲」をしている

 

祖母なりの気遣いであり、愛情だったのでしょうが、大きくなるにつれて、そんな祖母が窮屈で古くさく感じたものでした。

 

何かと「京都ではこう決まってるんや!」と古い習慣を守ろうとした祖母は、石油ストーブが普及しだした頃、それが気に入らなかったようでした。

 

きっとスイッチひとつで温まるファンヒーターやエアコンを見たら目を回すでしょう。

ちなみに、96歳で亡くなった昭和3年生まれの父は、ガスファンヒーターを嫌って、最後まで赤い火が見えるガスストーブを好んでいました。

ファンヒーターも十分温かいのですが、父は火の赤い色が見えないと、「温かい」と実感できなかったようです。

家に暖房器具が火鉢しかないなんて、なんだか江戸時代みたいですが、60年ほど前は、うちの実家はそんな感じでした。

 

モフモフの服に火がつく話から思い出した消えゆく京ことば「ほいろかかる」。

それは、火に近づきすぎて、衣服に火が着くことを恐れた昔の人のことばなのでしょう。いえ、火そのものに怖れを感じていたのでしょう。

もっとも暖房器具はガスファンヒーター、調理は電子レンジばかり使っている私には、ちょっとピンときませんが……。

でも、本当に火を怖れる気持ちを忘れてはいけないと思います。

「ほいろかかる」から思い出した、消えゆく京ことばや京都の昔の暮らしでした。ことばが消えても、そこに込められた暮らしの知恵は、どこかで生き続けているのかもしれません。

(【ああ、京都人】ほいろかかる~消えゆく京ことば:村川久夢)

 


 

 

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