🌿小説紹介🌿
こんにちは、村川久夢です。今日は、「短編小説」をお届けします。
この物語に登場するのは、恥ずかしがりでいつも仮面をつけている「いい人仮面」と、いつも失敗しないように“ほどほど”に生きてきた「ほどほど星人」。
誰かに褒められてうれしくなると、「調子に乗ってはいけない」と自分を制してしまったり、心の本音を出すのが怖くなったり。
「いい人仮面」と「ほどほど星人」の物語から、何かを感じ取ってもらえたらうれしいです。🍃
いい人仮面とほどほど星人~何事もほどほどが一番なの?
(1)
「いい人仮面、絵を描いているのかい」
「あ! ほどほど星人! 森があまりに美しかったからね」
「いい人仮面」と呼ばれた男は、絵を「ほどほど星人」と呼ばれた男に見せました。
いい人仮面はとても恥ずかしがりで臆病なのです。自分の素顔や本心を見られるのが怖くて、仮面をつけています。
「ほどほど星人」と呼ばれた男は、徹底してほどほどを守り、一度も失敗しない自信家です。
ほどほど星人が絵を見た時、一瞬ですが、彼は顔を歪めて暗い表情になったのでした。ほどほど星人は、すぐに平静な顔に戻しましたが……。
「どうだい? 僕の絵は?」
「ああ。いい絵だよ……」
ほどほど星人は笑顔で答えましたが、目は笑っていませんでした。いい人仮面は、ほどほど星人の笑わない目が、いつも怖く感じていたのです。いい人仮面は落ち着きませんでした。
(2)
そこへいい人仮面の友だちのまっすぐ星人がやって来て絵を見たのです。
「素敵な絵だね~! 僕にも描いて」
「いいよ。すぐに描くからね」
いい人仮面はスラスラと森の絵を描いて、まっすぐ星人にあげたのでした。
まっすぐ星人が帰るのを、ほどほど星人は笑顔で見送りました。
でも、イライラを必死で抑えているように、顔がこわばったのです。額に油汗がながれ、平静をよそおうように、いい人仮面に言ったのです。
「絵はいい趣味だよ。それで人を喜ばせるのもいいことだ。でも、舞い上がってはいけないよ。ほどほどにね」
ほどほど星人はそう言うと帰って行きました。
――そうだよな。僕はうれしいとすぐに舞い上がってしまう。ほどほどがわからないからな……。
いい人仮面は落ち込んでしまったのです。
ところが翌日、まっすぐ星人の友だちがやって来て「僕にも絵を描いて!」と言ったのです。それから「絵を描いて」と言う人が次々に現れました。
「素敵な絵だね! 部屋に飾るよ」
「眺めていると気持ちが落ち着くよ」
みんな大喜びで帰って行きました。いい人仮面はすっかりうれしくなって、絵を描き続けました。
すると、またそこへほどほど星人がやってきたのです。いい人仮面は彼の姿を見ると、心がザワつきました。
「きみも森の絵がほしいのかい?」
「いや、僕は遠慮するよ。でも、前も言っただろう? ほどほどってことを忘れちゃダメだって!」
「友だちが喜んでくれて……」
「友だちが喜んだからって、真に受けるなんて……」
ほどほど星人は呆れたように言って、冷たい表情で帰って行きました。
――友だちが僕の絵を好きだと言ってくれるとうれしくて……。僕の絵なんかたいしたことないのに……。僕はバカだ! でも、褒められてうれしくなることは、そんなにダメなことなのか!?
いい人仮面は頭を抱え込んだのでした。
みんなに森の絵を描いてあげた時の、みんなの笑顔がいい人仮面を元気づけました。
いい人仮面は、森の思い出やみんなの笑顔をポエムにしたのです。いい人仮面がポエムを朗読していると、
「いい人仮面、素敵なポエムね!」
「デリケート星人! 森の思い出をポエムにしたんだ」
「私にもポエムを書いて!」
ポエムを書くことが何より好きないい人仮面は、大喜びでポエムを書き、デリケート星人にあげました。しばらくすると、デリケート星人の友だちが、ポエムが欲しいと言って現れたのです。
「いい人仮面のポエムは癒される」
「心が落ち着く」
いい人仮面のポエムは評判になり、次々とポエムが欲しいと言う人が現れました。いい人仮面はうれしくてたまりませんでした。
そこへまた、ほどほど星人がやって来たのです。いい人仮面は、彼の姿を見ると、幸せな気持ちに、冷たい水をかけられたような気持ちになりました。
「ごきげんだね!」
「みんなが僕のポエムを『素敵だね』と言ってくれたんだ!」
「ポエムを作ることはいいことだ。でも、友だちは本当にきみのポエムをいいと思っているのか? すぐにほどほどを忘れるきみのポエムを……」
(3)
その時、さすがのいい人仮面もムッとした気持ちになりました。
――なぜ、ほどほど星人はいつも「ほどほど」って言って、僕を嫌な気持ちにさせるんだろう……。ひどいじゃないか!
森の絵を喜んでくれた友だちの笑顔、森の思い出のポエムを好きになってくれた友だちのうれしそうな顔が浮かんだのです。
いい人仮面の幸せそうな表情を見ていたほどほど星人は、皮肉っぽく顔を歪めていたのです。
いい人仮面は、ほどほど星人が皮肉っぽく顔を歪めているのを見ると、我慢しきれなくなって、叫んだのです。
「僕がほどほどだったら、森の絵もポエムも、あんなにお友だちを喜ばせなかったよ」
「ほどほどもわからないくせに! 僕はきみのために言ってあげているんだ!」
「きみの方こそ、人の楽しい気持ちに水をさすのは、ほどほどにしたらどうなんだい!」
「黙れ! ほどほどの大切さがわからないくせに!」
いつもは穏やかないい人仮面も冷静を装っているほどほど星人も、興奮して、ことばの調子がきつくなっていました。
「僕は芸術家の家系に生まれたんだ! きみのように、下手な絵を描いたり、ヘボポエムを書くことは許されないんだ!」
「僕のポエムがヘボだって! 友だちが喜ぶなら、僕は何度だって書くんだ!」
ポエムをけなされたいい人仮面の目から悔し涙がボロボロこぼれたのでした。
「すぐにほどほどを忘れるくせに! 人を芸術的に感動させる絵やポエムを作れるまで、僕はほどほどに徹して、調子に乗って下手っぴな作品を制作しない!」
「勝手にしろ! でも、絵もポエムも描かなかったら、人を喜ばせようがないよ!」
いい人仮面のことばがほどほど星人の胸に突き刺さったのか、ほどほど星人の顔がこわばったのです。
(4)
「黙れ! 芸術がわからないくせに!」
「芸術的でなくても、僕は人を喜ばせるポエムや絵をかいて生きる!」
思いもしなかったいい人仮面の反撃に、ほどほど星人は驚いたようでした。
お互いの興奮が治まった頃、いい人仮面はほどほど星人が哀れに感じたのです。
ほどほど星人は、いつもほどほどで失敗しません。でも、彼が何かに夢中になったり、誰かを喜ばせたりしたのを見たことがありません。
「ほどほど星人、僕は芸術的でなくてもいいから、誰かを喜ばせたり、癒せたりする絵やポエムを作り続けるよ」
ほどほど星人は、「ほどほどに」とは言わず、じっと地面を見つめていたのでした。
(終わり)
(【短編小説】いい人仮面とほどほど星人~何事もほどほどが一番なの?~:村川久夢)

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