近所に今は取り壊された小学校がありました。実は、この小学校、日本初の学区制小学校「番組（ばんぐみ）小学校」64校中の１校なんです。国家による学校制度（学制）の創設に先立つ、日本で最初の学区制小学校だったのです。学校制度ができる3年も前の出来事でした。
＜幕末の動乱で壊滅的な被害を受けた京都＞
「番組（ばんぐみ）小学校」は、明治2年（1869）に地域住民が出資者となり作った、すべての子ども（華士族以外）が通える日本初の学区制小学校です。
幕末の動乱で京都の町は火災などで壊滅的な被害を受けたのです。さらに明治維新により政治と経済の中心が京都から東京に移ったのでした。それに伴い天皇や公家、有力な商人たちも京都を離れることになり、京都の人口は最終的に3分の1にまで激減したと言います。
＜京都復興プロジェクトの一つ＞
その時、京都を復興するため、京都府、町民、有識者が一丸となり、さまざまな地域活性化プロジェクトを立ち上げ、成功させました。
＜京都復興プロジェクト＞
１、番組小学校（明治２年創設）
国による学校制度の創設に先立ち，京都の町衆が「地域による地域のための学校」として創設した日本初の小学校
２、市立芸術大学（明治13年創立 日本初の芸術大学）
市立京都工学院高校（明治19年創立 日本初の公立工業高校）
３、琵琶湖疏水（第一疏水：明治23年完成，第二疏水：明治45年完成）
水道水の原水としての利用のほか，かんがい用水，舟運，日本初の事業用水力発電など，近代化を牽引
４、市電（明治25年開業）日本初の市街電車
（「『明治150年・京都の奇跡プロジェクト』の推進について：京都市」より）
＜改革は人づくりから＞
京都復興プロジェクトの一つが小学校の設立だったのです。京都の先人たちが、京都の近代化事業を進めるにあたり、まず重視したのが人材育成でした。「改革は人づくりから」と考えたようです。その想いは様々な教育機関を生み出し、現代へと引き継がれています。
京都は大学・学生のまちです。そのはじまりも明治からだったのですね。
近所にあってごく普通の公立小学校だと思っていた学校は、幕末の動乱で衰退した京都を復興させた京都の先人たちの思い「改革は人づくりから」が込められた小学校だったのでした。
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