忘れていいのよ私のことは~老人性記憶障害の父と暮らす~

父は猫が好きで、

うちの猫たちをかわいがっていました。

なかでもミロは父に懐いて

いつも父の後をチョロチョロしていました。

ミロが死んだ時は、

父は大泣きして大変でした。

 

 

ミロが死んで8年経ちました。

父は、91才になりました。

父は、ミロのことを覚えていません。

私が猫を飼っていることすら

覚えていません。

 

91才になった父は

幼い少年のように

パズルゲームをしたり

駄菓子を食べたりして

機嫌よくすごしています。

 

 

穏やかな父を見ていると、

私は、これで良かったのかなと

思っています。

父が悲しいことやつらいことを忘れ

今を機嫌よくすごしてくれたら

それでいいかなと思います。

 

存在を忘れることは

悲しいことだと思っていました。

でも、別れの悲しさやつらさ

つらいこと全てを忘れるなら

忘れることも悪くないと思う私でした。

 

 

 

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