✿英文科に進学はしたけれど・・・✿
幼い頃から読書好きで
夢みる文学少女だった私は、
大学の国文科に進学して、
近代以降の作家を研究し、
いつか自分も小説を書きたいと思っていた。
ところが、大学での専攻を決める時に、
「就職には国文科より英文科が有利」
と言うアドバイスを受けて、
国文科進学の希望を変更した。
その時は
「英文学も文学だし～～」
と軽く考えていた。
これが間違いのもとだった。
大学で英文科の授業が始まると、
担当教授はその年度の学生の
英語力不足に仰天されていた。
基礎講読では、
もう文学的な学習にはほど遠く、
教授から徹底的に、
受験生並みの英語の指導を受けた。
高校の英語の授業とは桁違いに、
大量の英文を読まねばならなかった。
それでもまだ英文学系の講義は
なんとかしのげた。
だがアメリカ人教授の英会話の授業は
苦手で泣いた。
私の時代の中高の英語教育は、
英文和訳イコール英語学習の傾向が強く、
リスニング・スピーキングは
私の苦手中の苦手だった。
そして私はアメリカ文学を専攻していたが、
今ひとつアメリカに興味が持てなかった。
深く考えずに英文科を専攻したことを
何度も何度も悔やんだ。
今思うと表現手段が
日本語であろうと英語であろうと
私は文学に興味があり、
英語でコミュニケーションすることには
興味がなく苦手だった。
✿思いがけず英語教員になった私✿
それでもありがたいことに、
教授にガンガンにしごかれて
4年過ぎた頃には、
私の英語はずいぶん改善された。
私は教員免許をとり、
教員採用試験に合格することができた。
思いがけず、
公立中学校の英語の教師になった。
採用されてからも、
教える責任から英語の勉強を続けた。
プライベートでも
外国旅行に行った時など、
英語のありがたさを実感した。
だが必要に迫られた、
あるいは便宜上選んだ
ものはなかなか夢中になれず、
夢中になれない自分に悩み続けた。
小説を書く夢はすっかり諦めていた。
✿長い間悩み続けて✿
相当長い間、悩み続けていたけれど、
私はやっと
「英語も自己表現のスキルだ！」
と考えられるようになった。
英会話スクールで英文エッセイを
書くようになったことが、
そう思えるようになったキッカケだった。
「表現し発信したいことを、
日本語でも英語でも、
自由に発信すれば良いのだ」
と思い始めたからだ。
時代はインターネットの普及で、
自分のブログやホームページや
作家向けのウェブサイトに、
誰でも自由に作品を
投稿できる時代になっていた。
私は恐る恐る自分の作品を
投稿するようになった。
そう思えるまでずっと
「英語は生活するための手段、
あるいは便宜上使うツール
日本語での表現は叶わない夢」
というように英語と日本語を
対立的に考えてきた。
でも違うのだ！
どちらも自己表現の手段なのだ。
私はどちらの表現手段も好きなのだ。
私は日本語であれ英語であれ
言葉を使って自己表現したいのだ。
✿私を苦しめた固定観念の克服✿
今、考えてみると私を悩ませ、
苦しませてきたものは、
「生涯かけるものは
一つでなければならない」
「生活できる収入を得られない仕事は、
道楽か趣味で本物ではない」
と言う私の固定観念だったように思う。
ずいぶん長い道程だったけれど、
英語との付き合いを考えることが、
私の忘れていた夢、
諦めていた夢を思い出させてくれた。
「小説を書こう！エッセイを書こう！」
英語か日本語かと悩む段階は過ぎた。
これからの私は
何を発信したいのかと言うことで、
自分自身と向き合って行こう。
でも固定観念で自分を苦しめたりしない。
日本語でも英語でも自己表現し
発信することを常に楽しみたい。
英語教師から作家になれた。
やっと辿り着いた私の夢だ。
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