*ノルウェー:ベルゲンにて
25年前、北欧を旅した時のことでした。
ノルウェーでバスに乗ろうとした時、
乗降口に補助ステップが降りてきて
感激した記憶があります。
✿当然のことでしょ?✿
当時のヨーロッパでは
長身な人が多いからでしょうか、
バスや電車のステップが高く、
背が低く脚が短い私は、
ステップを上がるのに苦労していました。
補助ステップがありがたく感激しました。
すると、
「バスには子どもも、お年寄りも、
体の不自由なかたも乗られます。
(補助ステップは)当然のことでしょ?」
とノルウェー人のガイドさんは、
私が感激したことに驚かれました。
✿目からウロコが落ちる経験✿
当時の私は、
社会の基準に達しない人を
後押しして基準に達するようにするのが、
人権を保証することだと思っていました。
でも、2週間ほどの北欧旅行で、
高いステップが使いにくい人には、
補助ステップが出るように、
社会が個人の事情に対応するのが
自然なことだという認識に触れて、
目からウロコが落ちる経験をしました。
✿心のバリアフリーは進んだの?✿
今は私が日々利用する京都の市バスも、
乗降時には車体が低くなって、
乗り降りしやすいようになっています。
日本でもバリアフリーが進んでいます。
先日も、乗り降りしやすくなった
市バスの乗降口を眺めながら、
「考え方はどうなのかな?」
と思いました。
社会に基準があって、
それに達しないと切り捨てられるのが
当然という考え方が一般的なのか?
個々人の事情に社会が対応するのが
自然なのだという考え方なのか?
「どうなんだろう?」と考え込みました。
私は鬱で仕事を辞めた時、
基準以下になったような
惨めな感覚に陥りました。
働いてない自分に引け目を感じました。
メンタルな病気を患い
働けない友人の多くは、
「働いてない」ということに
強い抵抗や引け目を感じています。
中には無理をして働いて、
病気を悪化させた友人もいます。
✿一人ひとりを大切にする考え方✿
今の私はメンタルな病気が寛解し、
楽しく元気で暮らしていますが、
この先、何があるかわかりません。
そして、私だけでなく、
人は必ず老いて行きます。
体力も衰え、認知力も落ちていきます。
そんな時に切り捨てられる社会で
あってほしくはないです。
昔、教員だった時、
「一人ひとりを大切にする」
というスローガンによく接しました。
一人ひとりを大切にする考え方とは、
社会が個々人の事情に対応するのは、
自然なことだと考えることだと
私は考えるようになりました。
乗り降りしやすいように
車体が低くなる市バスを見かけると、
思うことです。
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*鬱・夫の死を克服した作家&
インナーチャイルドカードセラピスト
村川久夢(むらかわ くむ)
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