食べることは生きること~想像と工夫で困難を超える

先日、被災地での豚汁の炊き出しをめぐる投稿を目にしました。イスラム教徒の方が豚肉を食べられないことに関して「災害の非常時に文句を言うな」「嫌なら食べるな」といったコメントが目につきました。

 

 

そのやり取りを見つめながら、なんだか違和感を覚えたのです。

 

昔、韓国のソウルを旅したときのことを思い出しました。

私は食べ物への順応力があるほうです。ソウルの焼肉屋さんで、料理の最後に牛の血の塊が入った「ヘジャングク(酔い覚ましスープ)」が出されました。

友だち二人は、見た目や匂いに抵抗があって、どうしても口にできませんでしたが、私は「食べたら美味しいかもしれない」と思って食べてみました。ヘジャングクは旨味たっぷりでなかなか美味しかったのです。

しかし、東大門の市場を歩いていたときのことです。あたり一面に独特の強烈な匂いがただよっていました。正体は、屋台で湯気を立てて蒸されていた「ポンテギ(蚕の蛹)」でした。

韓国ではスナック感覚で一般的に好まれているようですが、食べ物に順応力のある私でも、見た目と匂いで、どうしても食べられませんでした。

 

 

もしあのとき、私が災害の非常時に置かれていて、食べ物がポンテギだけだったとしたら……。

お腹は減っていても食べられないか、空腹に耐えられなくなったら、しぶしぶ食べるか……。

もちろん信仰としての戒律の重みと、個人の味覚や心理的に受け入れられないことは、同じではありません。

イスラム教徒の方にとって豚肉を口にしないことは、単なる好き嫌いではなく、信仰や生き方の根幹に関わることです。

でも、ポンテギを食べられなかったときのことを思い出すと、「どうしても口にできないもの」を出された場合を想像してみることができて、それぞれの立場を想像することは大事だと痛感しました。

 

災害で非常時の炊き出しは、支援する側もギリギリの物資と人手で必死に動いています。

 

 

それでも「困っている人を少しでも助けたい」という思いがあるからできるのだと思います。

被災された人も様々です。男性も女性も、子どもも大人も高齢になった人も、いろいろな事情があります。

問題になっている豚肉を食べられない人がいたら、豚肉の代わりに「お揚げさん(油揚げ)」を使ってみるのはどうでしょう。

 

 

お揚げさんなら手に入りやすく、お肉よりも管理がしやすく、いいお出汁も出ます。鶏肉を使ってさつま汁風にする手もあります。

どうしても具材の変更が難しければ、最初からお肉を入れない鍋を別に用意しておく。固いものが食べにくい方のためにキッチンバサミを1本置いておく。そんな小さな工夫で救われる人がいます。

みんなが非常事態で不安を抱えるときこそ、「どうしたら空腹に悩まずにいられるか」「どんな工夫をしたら食べられるか」を考える力を持っていたい。

 

 

食べることは命を支える基本です。この時、「ともに生きる」という気持ちや工夫が災害の苦難を乗り越えさせてくれるのではないでしょうか?

(食べることは生きること~想像と工夫で困難を超える:村川久夢)

 

 

 

 

 

 

 

 

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あなたも、自分だけの「ワクワクの種」を、見つけてみてくださいね。

実はこの本、写真は一枚も載せていないんです。当時はデジカメへの移行期で、手元に画像が残っていませんでした。

でも、だからこそ、音や匂い、心の震えを精一杯ことばに込めました。

ぜひ、頭の中で当時の釜山を自由に思い描きながら、一緒に旅をしてほしい。そんな願いを込めています。

 

 

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