『ローズマリー』は2003年に韓国で放送されたドラマです。当時、友人が録画したVHSを貸してくれました。
それから10年以上経ち、2作目の著書『50歳から夢を追いかけてもいい5つの理由』を執筆していたときのこと。「よい妻とは?」と考えているうちに、ふと『ローズマリー』のことを思い出しました。
改めて作中に登場する主婦の姿を振り返りながら、「いい妻・いい母って何だろう?」と考えたことを綴ってみたいと思います。
▶『ローズマリー』ってどんなドラマ?
幸せな結婚生活を送っていた30代の平凡な主婦・ジョンヨン(ユ・ホジョン)は、絵に描いたような「よい妻・よい母」です。
二人の可愛い子どもにとっては優しく賢い母であり、子どもたちも彼女を心から慕って甘えています。
一方、オンラインゲーム会社を経営する夫・ヨンド(キム・スンウ)は、子どもたち以上に手のかかる存在。賢く優しい妻にすっかり甘え、頼りきっていました。
ところが、そんなジョンヨンが末期の胃がんであることが判明します。突然の宣告に、夫は激しく動揺するばかりで何も手につきません。
▶「私は、本当は悪い妻なの……」
あらゆる手を尽くすものの、がんは進行していきます。余命いくばくもない彼女が親友に語った言葉が、とても印象的でした。
ジョンヨン:「私はね、本当は悪い妻なの……」
親友:「どうして? あんなにご主人や子どもたちに尽くしてきたじゃない」
ジョンヨン:「だから悪い妻なの。あの人は、私がいなければ何もできない。今、私にあるのは、残していく人たちへの後悔だけ。――自分の力で生きていけるようにしてあげられなかった後悔なの……」
(※記憶をもとにした要約ですが、このようなやり取りでした)
「自分の力で生きていけるようにできなかった後悔」――この言葉が、ずっと心に残っています。
▶身の回りのことが何もできなかった父
実は、私の母もジョンヨンのような人でした。
子どものころ、朝起きると枕元にはその日に着る服や下着が綺麗に畳んで置かれていました。父の枕元にも、同じように衣服が整えられていたのです。
しかし、母が狭心症で初めて入院したとき、父は自分の下着がどこにあるのかさえ分かりませんでした。
4人兄弟の長男で妹が3人いた父は、「長男だから」「男の子だから」と過保護に育てられ、身の回りのことが何も身についていなかったのです。カップ麺の作り方すら知らなかったときは、本当に驚きました。
「自分の力で生きていけるようにできなかった」というジョンヨンの悔恨は、まさにこういうことだったのだと実感しました。
▶困ったときに一緒に立ち直り、支え合える存在へ
母が退院すると、父は母に教わりながら、不器用な手つきで料理や片づけ、洗濯をするようになりました。
後に、私がうつ病を患って父と二人で暮らしていた時期があります。寝込んでばかりいた私のために、今度は父が食事を用意し、後片づけをしてくれました。
おかずのほとんどはスーパーのお惣菜でしたが、それでも十分ありがたく、心から感謝したのを覚えています。

そんな父が唯一作ってくれた手料理が、水菜とツナ缶をかつおダシで煮た「水菜の炊いたん」でした。味覚が少し鈍っていた父の味付けはちょっぴり塩辛かったものの、とても美味しかったのを今でもよく覚えています。
「よい妻・よい母」とは、相手のために何もかも先回りしてやってあげることではないのだと思います。
結婚式などで「病めるときも健やかなるときも」と誓いますが、まずはそれぞれが自分の足で立てること。そして家族が困ったときには、そっと手を差し伸べ合えることこそが大切なのではないでしょうか。
今の私が考える「よい妻・よい母」とは――
まず自分自身が自分の力で生き、家族が自立して生きていけるよう見守る。そして、何かに躓いたときには、一緒に立ち直る方法を考えて支え合える人。
そんな関係性こそが、本当の優しさなのかもしれません。
(良妻賢母の後悔から学んだこと~いい妻・いい母って何だろう?:村川久夢)

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