祖母と母の「おはぎ」、私の「ことば」~受け継いだ幸せ

もうすぐお盆ですね。母方の祖母や母が健在だったころ、お盆休みにはよく母方の祖父母のところに帰省していました。そのとき、祖母はいつもおはぎを作ってくれました。

祖母も母もお盆やお彼岸にはいつもおはぎを作っていたのです。

 

1回だけ私が作ったおはぎ

 

お盆におはぎをつくることには、信仰に基づいた意味があることを私はまったく知りませんでした。

小豆の赤色には「邪気を払い、魔を祓う力」があると考えられていたので、ご先祖様をお迎えするのに、悪いものが寄ってこないようにという意味があるのです。

また、昔は砂糖やもち米が貴重な高級品だったので、年に一度帰ってこられるご先祖様に対して、手に入る最高のごちそうである「甘いおはぎ」を作り、感謝の気持ちを込めてもてなしたのが始まりだそうです。

お仏壇にお供えしたあと、家族みんなでお下がりを頂くのは「ご先祖様と同じものを分かち合って食べることで、絆を深め、無病息災を願う」という意味もあります。

そういえば、おはぎを作ると祖母も母もまずお仏壇に供えていました。二人とも信仰心が深かったように思います。

 

お盆やお彼岸のたびに、祖母や母とおはぎを作ったことが懐かしく思い出されます。祖母も母もおはぎを作って人に喜んでもらえることに、幸せを感じていました。

母方の祖母はおはぎを作るのが上手でした。祖母は畑で育てた小豆やそら豆で餡を作り、「へっついさん(かまど)」で、うるち米ともち米を混ぜて炊いていました。

炊きあがるとすりこぎ棒で餅状にして準備できると、母や10歳くらいだった従姉と私も加わって、餅を丸めて餡で包むのです。100個以上は作っていたと思います。

祖母は作ったおはぎを折箱に詰めて、私たちに持たせたり、近所の人に配ったりして、本当にうれしそうでした。

 

 

私はおはぎを見ると、いつも祖母や母や従姉とおはぎを作ったことを思い出します。

 

母が京都でもおはぎを作り始めた頃、初めは失敗つづきで、私や弟はよく失敗作を食べたものです。

でも、すぐに母はおはぎ作りが上手になり、小豆から程よい甘さの餡を作り、形の良いおはぎを作っていました。

母は張り切って100個以上のおはぎを作っていたので、私もよく手伝わされました。

でも、おはぎ作りを手伝うと、餡ときなこの匂いに酔ってお腹がいっぱいになるのですよね。おはぎなんて見たくなくなるほど……。

 

 

おはぎを作りがやっと終わって、昼食の時間になると、なんと昼食としておはぎが出て来るのです! そんなこともあって、私はおはぎ作りを手伝っていた頃、おはぎが苦手であまり食べませんでした。

 

母の手伝いをしておはぎを作ったことは何度もありますが、私一人で作ったことはありません。私は祖母や母のおはぎ作りを受け継がなかったのでしょう。

でも、おはぎが好きなわけでもないのに、おはぎを見かけるとつい買ってしまいます。

 

 

祖母が亡くなって約40年、母が亡くなって約20年経ちました。おはぎを見ると、張り切ってたくさんおはぎを作って、うれしそうに配っていた祖母や母の笑顔が思い出されます。

 

祖母や母のおはぎ作りを私は受け継ぎませんでした。でも、考えてみると、張り切って書いたブログや小説に「良かった!」と言ってもらうと、私はうれしくて、またせっせと文章を書くのです。

自分が書いた文章を読んで「よかった」「元気づけられた」ということばをもらった私は、きっと祖母や母のように、本当にうれしそうな顔をしていることでしょう。

 

祖母と幼い久夢

 

祖母や母は「おはぎ」、私は「ことば」と形は違っても、「喜んでもらう幸せ」は、祖母・母・私と三代にわたって受け継がれています。

 

祖母のおはぎも母のおはぎも、お店で売っているもののように垢抜けていませんでしたが、懐かしい手作りの甘さで、食べるとホッとするのです。

祖母や母のおはぎのような、読んだ人がホッとして温かい気持ちになれることばを、私は紡ぎたい。

 

 

「おはぎ」と「ことば」、形は違っても祖母や母と同じように「喜ばれる幸せ」を、私は引き継いでいるのです。

 

 

だから、今日も祖母や母の「おはぎ」のような、読む人の心が温かくなることばを紡ぐ私です。

 

 (祖母と母の「おはぎ」、私の「ことば」~受け継いだ幸せ:村川久夢)

 

 

 

 

 

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