上手にボケたな~オトーチャン!

 

父が圧迫骨折で入院して半月経った。

順調に回復し、

昨日リハビリのために転院した。

 

父は昔、とてもネガティブだった。

何か自分の思うように行かないことがあると、

「しゃ~ない、ワシはこういう定(さだめ)に

生まれてきたんや」

と言ってすぐに諦めた。

 

自意識過剰で変なプライドだけ高く、

人が自分を優待してくれるのが、

当たり前だと思っていた。

その当てが外れるとすぐに拗ねた。

 

ところが、ちょっとボケた今、

父は家族が驚くほどポジティブになった。

 

父が入院した日、

 

「90にもなって生意気なようやけど、

ワシはまた歩けるようになると思うねん。

90才言うても100才の人からみたら

10才若いしな~!」

 

と、父は笑いながら言った。

 

食事の時間等に、

看護師さんに身体を起こしてもらう時も、

 

「ちょっと待ってや。

一人で立てるかどうか一遍ためしてみるし、

ちょっと待っててな」

 

と言って自力で立とうとする。

「どうせ立てへんわ」とは決して言わない。

時間がかかってもやろうとする。

 

 

でもできない時は、

焦ったり落ち込んだりせずに、

「年いってあきまへんわ~」

と自然に受け止めている。

 

父の回復の速さはこのポジティブさに

よるところが大きいように思う。

 

90才という年齢が、

父から自意識過剰、過大なプライド、

焦り、我欲などを

上手に削ぎ落としてくれたようだ。

 

今日も面会に行くと、

孫のような年齢の若い看護師さんに、

「ちょっとオネーサン、

これが私の娘ですねん」

と自慢げに私を紹介してくれた。

 

いやいやホンマ、

上手にボケたな、オトーチャン!

 

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*鬱・夫の死を克服した作家&

インナーチャイルドカードセラピスト

村川久夢(むらかわ くむ)

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