世の中には色々な「おもしろい話」がありますが、ホンモノの「天然ボケ」の人が放つボケ話の方が、絶対におもしろいと思うんです。
私の亡くなった夫は、絵に描いたような天然ボケの人でした。
ある日のこと。私が宮沢賢治の絵本を買って家に帰ると、それを見た夫が言いました。
「なんや、ええ年して絵本なんか買ってきて…」
私が「宮沢賢治の絵本やで」と答えると、夫は不思議そうな顔をしてこう言ったんです。
「宮沢賢治って誰や、それ」
「えっ、宮沢賢治も知らんの?」
私が驚いて聞き返すと、どうやら男のプライドにちょっと触れてしまったようです。
夫は胸を張って、こう言い返してきました。
「んなもん知ってるわ! 小学校の校門のところで、薪を背負って本読んでる人や」
「……それ、二宮金次郎さんやで」
私がすかさずツッコむと、
夫は「うっ……!」という何とも言えない顔に(笑)。
しかし、ここで引き下がる夫ではありません。慌てて体勢を立て直し、
「分かった、分かった!」と言います。
「え〜、ほんまに分かってる?」
「今度は間違いない!」
そこまで自信満々に言うので、「じゃあ、それってどんな人?」と聞いてみたら、夫はドヤ顔でこう言い放ちました。
「小さい時に手に大やけどして、ノーベル賞を取った人や!」
……いや、それ野口英世さんやし!
しかも野口英世、ノーベル賞は取ってへんし!!
宮沢賢治から二宮金次郎へ、そして野口英世へ。
夫の頭の中で、歴史の偉人たちがものすごいスピードでごっちゃになっていくドタバタ劇に、私はもう大爆笑でした。
本当に、天然ボケのかわいらしさには、どんな創作の笑いも敵いませんね。
今でも思い出すたびにクスッと笑ってしまう、我が家の愛おしい思い出話です。
京都在住セラピスト作家:村川久夢

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