昼食が毎日、素麺になると、子どもだった私は「ああ、夏やな……」と感じたものです。
薬味として刻みネギと一緒に入れるのが、辛子・わさび・おろし生姜に変わるだけで、毎日の昼食が素麺は、正直、うんざり……。
大きなガラスの器に茹でた素麺10束ほどが氷水につけられていました。
それぞれダシが入った器に薬味を入れて、ツルツルと素麺を食べたのです。
何歳くらいのときだったか覚えていませんが、「どちらがたくさん素麺を食べられるか」を弟と競争したことがありました。

「そんなアホなことやめときや……」と母が言いました。
しかし、私も弟も闘志に満ちた相手の目を見ると、やめるわけにはいきません!
私はお腹いっぱいを通り越して、だんだん気持ち悪くなりました。
箸がだんだんのろくなり、すくう素麺も少なくなったのです。
そのとき、弟を見ると、なんだか顔色が青白くなっています。
しかし、弟は黙々と食べ続けているのです。
弟に負けるわけにはいかないので、食べ続けていると、突然、弟が立ち上がり、通り庭に向かって、カッと口を開きました。
すると弟の口から白い線がさぁ~と伸びたのです。
ゴジラが口から光線を吐くときのように!

私も母も唖然として見ていました。
ところが、通り庭に素麺はまったく見当たらないのです。
「どこ行ったんやろ……」と母が通り庭に降りて探しましたが、素麺が一本か二本、落ちているだけでした。
白い光線と化した素麺を見つけたのは私。
「いゃ~~!」
なんと、白い光線のように伸びた素麺は、私の新しいお気に入りの靴に全部入っていたのです!

母は靴を見て「うまいこと入ったんやな~!」と言って大笑い。
そのあと、母が靴の素麺を捨てて、靴を洗ってくれましたが、長い間、「素麺の靴」を履く気にはなれませんでした。
今でも素麺を食べると、弟が光線のように素麺を吹き出したことがありありと思い出されます。
お互い還暦を超えて、食も細くなり、素麺の大食い競争など思いつきませんが(笑)
(素麺大食い競争~怪獣のように白い線を吐いた弟:村川久夢)

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