オトーチャン、まだ私を置いて行かんといてな・・・

90才を越えてから

父は目に見えて弱りだした。

 

梅雨とは思えないここ数日の暑さは、

高齢で体力が弱っている父には堪えたようだ。

 

普段、父の居場所は居間のテレビの前、

座卓の前だ。

昨日、父は、座卓の前から、

立ち上がれなくなっていた。

昼間は、私が支えて父も私も必死の思いで

立ち上がらせた。

 

椅子に座るか、

ベッドで横になるかするように

父に言ったけれど、

私が目を離したすきに

父は座卓の前に座ってしまったようだ。

 

夜中に父の様子を見に行くと、

父が居間で倒れていた。

立っていてバタンと倒れたのではなく、

座卓の前に座りテレビを見ている間に

居眠りをして倒れたようだ。

 

父は全く力が入らず、

私の力では父を起き上がらせることすら

できなかった。

 

ベッドから枕とタオルケットを運んで

そこで眠らせることにした。

 

近くに住んでいる弟に電話をして

泊まりに来てもらうことにした。

 

父にお茶を飲ませたり、失禁していたので、

下着を変えたりしながら、

「ああ、ついに来たか・・・」と思った。

 

弟がすぐに来てくれて、

父を起こしてベッドに寝かせ、

弟が横で寝てくれることになった。

 

ちょっとほっとして自分の寝室に行った。

 

もし朝になって、父の体調が悪かったら、

救急車を呼んで病院かな?

と考えたりしていた。

 

幸い、朝になると父は落ち着いて、

自分でベッドから起き上がって着替え、

新聞を取り行き、

私が様子を見に行った時は、

ラジオでニュースを聞いていた。

 

父と二人暮らしをして約9年。

 

私の鬱が酷かった時は、

父が私の面倒をみてくれていた。

 

重い鬱で一日中寝ている私に

非難がましいことは一言も言わず、

適度な距離感で接してくれた父。

 

最近の父は、幼い少年のようになって

親子関係が逆転している父と私。

 

お互い適度に無関心でいられた

9年間がなんと幸せで

ありがたいことだったのかをつくづく思う。

 

オトーチャン、

まだ私を置いて行かんといてな・・・。

*鬱・夫の死を克服した作家&

インナーチャイルドカードセラピスト

村川久夢(むらかわ くむ)

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