桜梅桃李~縁石の隙間に咲けど春は春

各地で桜が満開で美しい映像がSNSでも流れてきます。桜が咲く季節には、いつも「桜梅桃李」ということばを思い出します。

「桜梅桃李(おうばいとうり)」をご存知ですか?

「桜梅桃李」は、文字通り、桜・梅・桃・李(すもも)のことです。それぞれの木が独自の美しい花を咲かせるように、他人と自分を比べることなく、個性を磨こうという意味なんです。

 

桜の花・梅の花・桃の花・スモモの花

 

そして、桜の季節がやってくると、路傍のわずかな土に花を咲かせる外来種の草にも心を惹かれるのです。

歩道の縁やアスファルトのすき間に咲く小さな草花に目が留まることはありませんか?

心を酔わせる満開の桜を見に行った後、縁石の端で健気に咲く小さな花に、ふと心惹かれたことがありました。その草花の名は「ハルジオン」でした。

 

ハルジオン

 

それから、可憐な黄色い花は「カタバミ」、可愛い紫の「スミレ」、鮮やかなオレンジ色の「ナガミヒナゲシ」(毒性があるので触らないで下さいね)、清楚な白い花を咲かせる「ドクダミ」。

 

カタバミ

 

スミレ

 

ミナガヒナゲシ

 

ドクダミ

 

「雑草」と一括りにして呼ばれることが多いこれらの植物にも、それぞれの名前があり、それぞれの美しさがありますよね。

実は、その多くが「外来種」と呼ばれ、知らぬ間に私たちの生活に入り込んできた存在です。

 

外国から運ばれてきた植物たちは、精一杯生きています。

運ばれた土地、それが痩せた僅かな土であっても、そこに根をおろして、たくましい繁殖力で生き延びるしかなかったのでしょう。

気がつくと、自分自身に置き換えていました。生まれた家庭は名家でもお金持ちでもなく、植物にたとえるなら痩せた土地で私は育ちました。

しかし、両親から、環境が悪くても、華やかでなくても、置かれた場所でしっかりと根を張って一生懸命に生きる生き方を受け継ぎました。

私が道端で咲く草花に惹かれるのは、そんな背景があるのかもしれません。

 

私たちは、「なんでこんな人生なんだろう」「もっと別の場所に生まれたかった」と感じることがありますよね。

でも、外来種の草花は、過酷な環境で育ち、疎まれ、時には駆逐されても、たくましく適応して、根を張り花を咲かせます。

きっと適した場所で大切に育てられ、その美しさを愛でられる桜や園芸種の華麗な花を羨んだり妬んだりせず、自分のいる場所で春を謳歌しているのだと感じるのです。

その姿は、園芸種の恵まれた環境と自分の恵まれない環境を比較して、恨んだり、嘆いたりせず、わずかな土に懸命に根をはり花を咲かせるのです。

 

「縁石の割れ目で咲けど春は春 久夢」

 

これらの草花のように、私も誰に評価されなくても、自分が今いる場所で、自分の花を咲かせて実を結ぼう。そんなふうに感じたのです。

環境がどんなに悪くても、与えられた人生の中で、今できることをして、自分だけの花を咲かせること。それは口で言うほど簡単ではありません……。

でも、懸命に咲いている外来種の草花から、恵まれた他人と自分を比べるのではなく、今いる場所で今できるベストを尽くすことを学びたいですね。

 (桜梅桃李~縁石の隙間に咲けど春は春:村川久夢)

 

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