【掌編小説】いい人仮面と腹ペコ星人~本当に飢えているのは?~

吹き抜ける風が爽やかなある日、いい人仮面がお昼ごはんを食べていると、知り合いの腹ペコ星人がやって来ました。

 

       

「いい人仮面、美味しそうなお昼ごはんだね。僕はお腹がペコペコなんだ。きみはいいね。いつも美味しそうなものが食べられて幸せだね」と腹ペコ星人が言いました。

 

いい人仮面のスパゲッティ

 

「腹ペコ星人、僕が作ったスパゲッティは美味しいよ。食べていかないかい?」といい人仮面は食事を勧めました。

    

「いやいいよ。スパゲッティはカロリーが高いから僕は食べないんだ」と言って腹ペコ星人は帰って行きました。

 

数日後、いい人仮面がお昼ごはんを食べていると、また腹ペコ星人がやって来ました。

       

「いい人仮面、美味しそうなお昼ごはんだね。僕はお腹がペコペコなんだ。きみはいいね。いつも美味しそうなものが食べられて幸せだね」と腹ペコ星人が同じことを言いました。

      

「腹ペコ星人、いい人印のハンバーガーは美味しいよ。きみも食べないかい?」といい人仮面が勧めました。

 

「いやいいよ。僕は添加物が入っている市販のハンバーガーは食べないんだ」と言って腹ペコ星人は帰って行きました。

 

そのまた数日後も、そのまたまた数日後も、腹ペコ星人はやって来ました。

  

いい人仮面のカレー

 

いい人仮面が、カレーを勧める「辛いからイヤ」、サンドイッチを勧めると「パンは嫌い」、おにぎりを勧めると「ご飯が嫌い」と言って何も食べませんでした。

    

でも必ず、「僕はお腹がペコペコなんだ」と言うのです。

 

そしてある日、お腹がペコペコになった腹ペコ星人は怒った表情でいい人仮面に言いました。

 

「いい人仮面!僕はお腹が空いてとても辛いんだよ!きみはそれでも平気なんだね!自分さえ満腹で幸せだったら良いんだね!」

 

いい人仮面は驚きましたが、腹ペコ星人にこう言いました。

 

「腹ペコ星人、きみは本当にお腹がペコペコなんだね。僕はきみのために料理を作ったり、食べ物を買って来てあげらるよでもね」

  

「食べるのはきみしかできないよ」

 

「いい人仮面!僕が苦しんでいるのによくそんな酷いことが言えるね!」と腹ペコ星人はカンカンになって怒りました。

 

いい人仮面は、腹ペコ星人とは反対に落ち着いていました。

 

「腹ペコ星人、きみはお腹も空いているけれど、もっとペコペコに飢えているのはきみの心じゃないかい?きみの心に生きる糧を与えるのは、きみしかできないよ。僕はきみの心の飢えを満たすことはできないんだよ」

 

といい人仮面は穏やかに言ったのでした。

  

 

 

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