夢が孤独を癒す~木香バラと私の成長~

 

 

 

夫の急逝は、私を暗黒の世界に放り出しました。誰にも見つけてもらえない、深い孤独に包まれ、私はただその闇をさまよっていたのです。

 

夫の急逝で、寛解していた鬱は悪化し、鬱をかかえて働くことは非常に苦しく、息をするのも精一杯な毎日だったのです。そんな中、救いになるかもしれないと、庭に木香バラの苗を植えたのです。14年前の2月頃でした。

 

 

孤独でつらい毎日

 

 

木香バラの世話をすることだけが生きがいのような、本当につらい日々でした。悪化した鬱や薬の副作用でふらつきながらも、必死に毎日を耐え、授業を続けていました。しかし、思うようにいかない日々が続き、心の中の孤独感は増すばかりでした。

 

本当に毎日が苦しかった。夜眠ったら、明日になるのが怖くて、深夜まで起きていたのです。朝は、絶望のどん底で、出勤するのが嫌で嫌でたまりませんでした。

   

その年の5月、苗が少し成長して、小さな黄色い花を咲かせました。

   

でも、悪化した鬱は良くならず、孤独感も増すばかりだったのです。次第に私は、お花の世話をする意欲を失ってしまいました。結局、私は傷心のまま早期退職せざるを得なくなったのです。

 

 

 

 

退職してからも、私は木香バラのことは、完全に忘れていました。長い間、闇をさまよいつづけていたのです。そんな自分がほとほと嫌になり、なんとか生活を立て直そうと、ヨガ教室に通い始めました。ヨガは楽しく心地よく、私は少しずつ元気を取り戻したのです。

  

同じ頃、偶然、出会ったカードを使った心理セラピーで、私は自分としっかり向き合うことができたのです。

 

 

自分と向き合う

 

 

文章を書くことが大好きで、密かに小説やエッセイを書いていた私は、作家になりたいという夢を持っていたのです。でも、「自分には才能がない」と思い込み、遠い昔に夢を諦めてしまいました。

   

しかし、セラピーを通して、自分自身の心と向き合うたび、長い間、閉ざされていた感情が少しずつ解放されていきました。忘れていた「作家になりたい」という夢が、まるで胸の中で再び息を吹き返したかのように、私の心を静かに照らし始めたのです。

 

夢を実現するために、ブログに自分の小説やエッセイを投稿するようになりました。書き溜めたブログ原稿をもとに、『大丈夫、きっと乗り越えられる~鬱・夫の死を克服した私からのエール~』という最初の本を出版することもできたのです。

  

本が出版された瞬間、私の心に灯った小さな光が、暗闇を完全に照らし出しました。『大丈夫、きっと乗り越えられる』――そのメッセージは、まさに私自身へのエールでもあったのです。

 

  

『大丈夫、きっと乗り越えられる~鬱・夫の死を克服した私からのエール~』

 

 

私は、希望に満ちていました。出版した本を一人でも多くの人に読んでもらい、タイトルどおり、鬱や愛する人の死を乗り越えてほしい。「大丈夫、きっと乗り越えられる」というメッセージを伝えるのに一生懸命だったのです。自分の夢を叶えることに夢中で、木香バラのことは、完全に忘れていました。

  

  

5月の快い風が吹く頃、何気なく庭を見ると、生い茂る雑草の間で、木香バラが、健気に咲いているではありませんか! 

 

 

 

荒れ果てた庭の片隅で、ひっそりと、しかし力強く咲き続けていた木香バラ。その鮮やかな黄色い花を見た瞬間、胸に温かいものがこみ上げ、孤独の中で必死に生き抜いてきた自分自身の姿が重なりました。

   

そして、もう一つ感慨深いことがありました。木香バラを植えた時、私は深い孤独感に苦しんでいました。木香バラの成長だけが、当時の私の癒やしでした。その木香バラのことを、私はすっかり忘れていたのです。自分の夢を叶えることに夢中だからです。

 

 

 

  

私たちは、夢を追い、今に夢中になることで、いつの間にか深い孤独から解放されていくのかもしれません。木香バラも、私も、それぞれの成長の中で、孤独を癒やし続けていたのです。

 

  

夢を持つことは、未来への一歩を踏み出すこと。それは、静かに、けれど確実に私の心に癒しと希望をもたらし、気づかぬうちに孤独を乗り越える力へと変わっていくのです。私が、そして木香バラが、そうして歩んできた道のりのように。

 

 

 

<「夢が孤独を癒す~木香バラと私の成長~」終わり>

 

 

京都在住セラピスト作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

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