
雅やかな平安の世界へようこそ。京都風俗博物館の『源氏物語~六條院の生活』展では、1/4の縮尺で再現された貴族たちの華麗な日常が、時を超えて私たちを迎えます。伝統的な衣装や装束が生活の中でどのように使われてきたのかを、京都風俗博物館の展示で見学してきました。
<風俗博物館>
風俗博物館は古代から近代にいたるまでの日本の風俗・衣裳を実物展示する博物館として昭和49年にオープンしました。平成10年には、これらの装束が具体的に生活の中でどのように使われてきたかを「源氏物語~六條院の生活~」と題して展示し、『源氏物語』の様々なシーンを選び、具現展示しています。

風俗博物館は、京都市下京区にあり、堀川通をはさんで、西本願寺の東側にあります。近くに住んでいるのに、行ったことがありません。現在、人気の大河ドラマ「光る君へ」の主人公は紫式部ということもあって、見学してきました。
<「源氏物語~六條院の生活」再現>
風俗博物館に入ると、藤原道長が三人の娘が皇后になり、「この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」と「望月」の和歌を詠んだ饗宴の様子を再現した展示が見えて来ました。「華やか! 豪華! 雅やか!」 1/4縮尺の人形でも華やかな世界を感じ取ることができました。実際はどんなに華やかだったのでしょうね。





<姫君の成人式と婚約・裳着>
裳着(もぎ)とは、平安時代の女子の成人式にあたる儀式です。


<かさね色目に見る平安王朝の美意識>
日本特有の細かで移ろいゆく四季の彩りをいかに機微にとらえて、装束の色目として表現するかという文化が平安時代に登場します。何枚も重ね着をした装束の襟元や袖口に見られる色のグラデーションやコントラスが、「衣」のかさねです。



<平安の遊び>
「偏つぎ」は、偏と旁(つくり)に分かれた札をつかった遊びで、様々な遊び方があったそうです。

<平安時代のお菓子>

「甘葛」
平安時代の貴族が、夏に暑さを和らげるために食べていたのが、氷室に保管しておいた氷です。この氷に甘葛をかけて食していました。甘葛は、ツタの樹液を採って、煮詰めて作った甘味料です。
「索餅」
小麦粉と米粉を練って、紐状に細長くし、縄のようにねじり合わせた唐菓子のひとつ。
「椿餅」
甘葛で甘みをつけたあんのない餅菓子。椿の葉で挟んだ。文献上もっとも古い純国産の和菓子。
展示されたお菓子には、見たこともないものが並び、特に「甘葛」は私にとって印象的でした。「当時の貴族たちが氷にかけて楽しんでいた甘さとはどんな味だったのだろう?」そんな想像が頭をよぎり、平安時代の生活が一瞬、身近に感じられました。
<王朝女性の身嗜みだしなみ・黒髪>
平安時代の容姿の美しさの中で、大きな比重を占めていたのが頭髪であり、豊かで長い髪がもてはやされました。


<婚礼仕度・冊子(そうし)作り>
『紫式部日記』には、帝(みかど)の寵愛を得るための文化教養の手段として、冊子作りの様子が記されています。書写される「物語」は、『源氏物語』なのです。



<重陽(ちょうよう)の節供(せっく)>
「菊の着せ綿」は、重陽の節句(9月9日)、前日の夕方に綿を菊の花にかぶせ、その菊の露に濡れた綿で節句当日の朝、肌を撫でると、老いを棄てるというものです。美しい十二単をまとった紫式部の人形が、「菊の着せ綿」を手に持ちながら微笑んでいる様子が目に飛び込んできます。鮮やかな色彩と、丁寧に再現された衣装の複雑なデザインが、当時の華やかさを物語っていました。


平安時代にも、『源氏物語』にも、あまり縁のない私ですが、1/4の縮尺で再現された『源氏物語』の世界は、雅やかな平安貴族の生活を垣間見させてくれました。特に、遊び、お菓子、衣の重なり合った色のグラデーションなどが、興味深く感じました。
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