やっとキッチンに立てるようになった!

夫の死後、私はずいぶん長い間、

キッチンに立つことができなかった。

当然のことだがキッチンは

賞味期限切れの食材だらけになった。

 

比較的賞味期限が長い調味料も

ほとんどが期限切れだった。

 

どの調味料の賞味期限も2009年…。

 夫が亡くなった年だ…。

夫が亡くなってから

私は料理できなくなっていたようだ。

 

キッチンに立って料理しようとすると、

「これは夫が好きだった料理だ…」

「美味しいといって食べてくれたよな…」

「頑張って作っても

食べてくれる夫はもう居ないんだ…」

と寂寥感と言うのか絶望感と言うのか

どうしようもない思いに襲われたものだった。

 

夫に先立たれ3年ほど経った頃だろうか、

なんとかキッチンに立って

料理できるようになった。

 

少しずつ賞味期限切れの食材の

整理も始めた。

ネットで調べて使えそうなものは使い、

使えなくなったものは

思い切って処分したのだ。

 

でも、賞味期限が

切れているのはわかっていても

処分しようとすると、

 

「このお醤油を買った時、

まだ夫は生きていたんだ…」

「このドレッシングの半分は夫が食べたんだ…」

 

と考え始めると

どうしようもなく胸が痛んで

なかなか処分できなかったことを覚えている。

 

整理が必要だったのは、

賞味期限切れの食品より

むしろ私の気持ちだった。

 

賞味期限切れ食材を整理出来た頃から、

やっと父との食事に

楽しさを感じられるようになった。

自分の生活を大切にしようと

思えるようになったと言うべきだろうか。

 

ネットでレシピを検索して食材を買い、

調味料を買い足したりしながら

少しずつ私は前向きになって来たようだ。

 

夫の死後、料理できなくなった時も、

辛い思いをして食材を整理した時も、

そして今も、

喜んで食べてくれる人の笑顔があるから

私は頑張って料理できるような気がする。

 

夫が亡くなって9年経った。

 

手作りの優しい味より、

手軽さ楽さに流れている昨今の私。

一人でご飯を食べるときでも、

自分のために

手間暇かけられるようになろうと思う。

黄泉の国で夫が

心配しているかも知れないから。

*鬱・夫の死を克服した作家&

インナーチャイルドカードセラピスト

村川久夢(むらかわ くむ)

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