【ああ、京都人】『燃えよ剣』読了~幕末の京都で生き抜く知恵~

   

幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の生涯を描いた歴史小説『燃えよ剣』、引き込まれるように読了しました。一方で大義名分や侍の美学と関係なくこの時代に生きた京都の庶民は、どのように激動の時代を生き抜いたのかにも思いを馳せて読みました。

  

<新選組ほど恐ろしいものはなかった>

『燃えよ剣』と聞くと昭和36年(1961)生まれの私は、栗塚旭さんが土方歳三を演じた昭和45年のテレビドラマ『燃えよ剣』(1970年)の印象が非常に強いです。ドラマが大ヒットして、新選組ブームが起こったことを覚えています。

   

小説は高校生の頃に読んだ記憶があります。私の曾祖父母は、リアル新選組を知っている世代です。私もブームに影響されて、祖父母に新選組のことを尋ねてみました。

   

祖母は曾祖母から「乱暴狼藉を働くので、京都の庶民にとって、新選組ほど恐ろしいものはなかった」と聞かされたと言うので、がっかりしたことを覚えています。

 

不動堂明王院:まぼろしの屯所

  

『燃えよ剣』を再読したのは、幕末の京都を知りたかったから、そして、幕末と言う激動の時代を京都の庶民がどのように生き抜いたのかを知りたかったと言う理由もありました。

    

<関わりたくない>

『燃えよ剣』の上巻に土方歳三が長州の浪人に尾行され、仏光寺門前の「芳駕籠」と言う駕籠屋に身を潜める場面がありました。

   

新選組副長に恐れをなす駕籠屋夫婦に、土方は駕籠に水を入れた大樽を乗せて、土方が行く方向と反対方向に行かせてほしいと頼むのでした。

   

新選組と関わりたくないけれど、断るのもまた恐ろしく、駕籠屋は土方の指示通りに水を入れた大樽を乗せて駕籠を行かせるのです。

   

土方は難を逃れるのですが、駕籠の中身が水を入れた樽だと気づいた長州の浪人は、今度は「芳駕籠」に難癖をつけ、ひと騒動になる場面がありました。

  

「芳駕籠」にとってはいい迷惑だったでしょう。このシーンは、この時代が京都の庶民にとっては、いかに生きにくい時代だったかを感じさせ印象に残っています。

   

築地塀の小路

  

<身近で殺し合いが…!>

また『燃えよ剣』を読み進めると、土方歳三が会津藩本陣から屯所不動堂村への帰途、刺客に襲われる場面がありました。重症を負った土方歳三が逃げ込んだのが「西洞院」あたりなのです。

    

私の家のごく近所のようです。小説を読んで、見慣れた西洞院通や通りに面している茶道藪内家燕庵の趣のある建物を感慨深く眺めました。

  

西洞院通と茶道藪内家燕庵

   

   

でも、「もし、今が幕末だったら」と思うと怖くなりました。

   

家の近所で刀を持った新選組の隊士や浪人が切合をして、殺し合いをしているのです。刃を持った人に追われている血だらけの人が、助けを求めて飛び込んで来たら。それは、どんなに恐ろしいことだったでしょう。

   

下手に関わったら、報復を受けたり、罪を問われたりすることもあったでしょう。

   

<勝てば官軍>

徳川慶喜が大政奉還を行い、新選組は旧幕府軍に従って戊辰戦争に加わるのです。初戦の鳥羽伏見の戦いで敗北し、土方歳三は大阪で恋人雪と二日間だけ夫婦として過ごし、物語の舞台は江戸に移ります。

  

「鳥羽伏見の戦い」のことは、当時5歳だった曾祖母が覚えていて、孫である父に当時のことを話していたそうです。

   

伏見で大砲が打たれると、下京区にあった曾祖母の家のあたりでも「大きな音がして、障子が震えた」と父は曾祖母から聞いています。

   

また、幕府軍の落ち武者が、曾祖母の村落に逃げ込んだ言う疑いをかけられ、落ち武者を成敗するため、大砲を打ち込んで村落ごと破壊すると脅された時のことは、父がエッセイに書き残しています。

 

同時代の大砲

  

「勝てば官軍」と言う言葉がしきりに思い出されました。

 

<生き抜くための知恵>

「鳥羽伏見の戦い」に敗れ、新選組に敗色が濃くなった時、土方歳三が「時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ」と近藤勇に言う場面があります。土方歳三は非常に魅力的に描かれています。

   

『燃えよ剣』を再読して、土方歳三の生き様に魅了されながら、大義名分や美学と関係なくこの時代に生きた庶民が、この激動の時代を生き抜くのはさぞや大変だっただろうと感じました。

 

『燃えよ剣』で幕末の京都の様子を知って、「人は人、自分は自分」「裏表があって意地が悪い」「はっきりものを言わない」等々の京都人気質は、政変絶え間ない王城の地で逞しい生き抜くための知恵なのだと感じたのでした。

 

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