【無条件の愛】父の無条件の愛が激鬱の私を癒やしてくれた

   

インナーチャイルドカードを勉強していると、「無条件の愛」と言うことばがよく出てきます。無条件の愛は抽象的でイメージしにくいように感じていましたが、ふと激鬱だった頃の私を見守ってくれた父の姿が浮かびました。私が経験した「無条件の愛」のお話です。

   

<頑張れ!頑張れ!頑張れ!>

夫が急死して、私の鬱が悪化し、勤務が難しくなった時、周りの人は口を揃えてこう言いました。

「学校の先生の仕事を辞めるなんてもったいない!やめたらあかん!頑張れ!頑張れ!頑張れ!」

 

鬱が酷くて、勤務を非常に辛く感じている私には、「頑張れ!」と言うことばは苦痛以外の何ものでもありませんでした。

 

<もう辞めてもええんと違うか>

見かねた弟が、いろいろ調べてくれ、仕事を辞めても、夫の遺族年金や今までの蓄えで、何とか生活していけることがわかりました。

 

「今まで頑張ってきたんやし、もう辞めてもええんと違うか」と弟が言ってくれました。

 

私は退職することを決意しました。

 

そんな私の頭に父のことが浮かびました。父は私が中学の教師をしていることを、とても自慢にしているのです。父は退職に反対するだろうなと思うと、気が重く、同時に父に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

  

<親も兄弟もついている>

私は恐る恐る、父に退職を決めたことを話しました。すると父は、ものすごくショックを受けたような表情になりました。でも、すぐに父はこう言いました。

 

「辞めたかったら辞めたらええ。親も兄弟もついているんや。何にも心配せんでもええ!」

 

もう10年以上前のことになりますが、この時のホッとした気持ち、心強く感じた気持ち、ありがたく思った気持ちは、忘れられません。

 

<一言も非難がましいことを言わなかった>

退職すると、張り詰めていた気持ちが緩んだのか、私は、朝も昼も夜も寝てばかりいました。父の用意してくれた食事を取って、食べ終わると、片づけ一つしないで、ベッドに戻りました。

 

深夜に起き出して、父が買っておいてくれたお菓子を食べ散らかして、片づけもせず、またベッドに戻りました。目に余る生活だったと思います。

 

でも、父は一言も非難がましいことを言いませんでした。

 

私が「ごめんな、お父ちゃん」と言うと、

「欲しいもんや食べたいもんがあったら言いや」と言うだけでした。

  

 

当時、父は80代前半でした。

「いつまで元気でいて、この子の面倒を見てやれるかな…」とよく思ったそうで  す。

 

<無条件の愛を経験していた>

あの頃のことを思い出すと、父への感謝で涙が出てきます。父が適度な距離を保って、優しく温かく見守ってくれたことが、激鬱の私を癒やしてくれました。

 

 

 

私は「無条件の愛」をこんなにも身近で経験していたのです。

 

父の無条件の愛のおかげで、私は少しずつ回復し、自分の天職を見つけ、元気で楽しく暮らせるようになりました。

 

父の無条件の愛が激鬱の私を癒やしてくれたお話でした。

 

作家:村川久夢(むらかわくむ)

 

 

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