掌編小説:封筒

数年前、私はふと思い立って、近所の書道教室に通うようになった。書道教室の先生は高校の書道教師を20年近く勤めた後、退職して書道家になった中年の男性だ。この先生、明治の文学青年のような風貌のちょっといい男だ。   先生の指...